出産は女性にとって、そして家族にとって一大イベント。待ちに待った赤ちゃんの誕生に喜びがあふれてくることでしょう。
ただ一方で、子育てにはお金がかかるのも事実。しかも、夫婦共働き家庭の場合、それまで働いていた女性が育児に専念している期間の収入減は避けられません。
出産後の収入減には、どのように対応すれば良いのでしょうか?
産休は法律で定められているが、給与に関しては決まりがない
出産を控えた働く女性の中には出産前後の仕事について悩む方もいますが、心配はいりません。休みが取れるように、産休(産前産後休業)が労働基準法で定められています。
・産前休業
なお、妊娠・出産、産前・産後休業、育児休業などを理由とした解雇や不利益な異動、減給、降格などは法律で禁止されています。気兼ねなく休み、しっかりと体調を整えて出産を迎えましょう。
ただ、産休中の給与に関しては特に決まりがなく、それぞれの企業に任されています。企業によっては、産休・育休中の給与を100%保障しているところもあれば、一方で、休業中には給与が支払われないところもあります。その場合、夫婦2人で家計を支えている家庭では、家計に大きな影響を与えかねません。
出産後の収入減を支える給付金
給与の保証はありませんが、社会保障制度としてさまざまな給付金があるため、活用しましょう。※それぞれ要件があります。
・出産育児一時金
42万円
・出産手当金
出産予定日以前42日~出産日の翌日以降56日まで。
1日あたりもらえる金額=12か月の報酬月額を平均した額÷30日×2/3
・育児休業給付金
産休期間終了後から子どもが1歳になる誕生日の前日まで(パパママ育休プラス制度を利用した場合は1歳2か月まで。「保育園が見つからない」などの理由がある場合は最長2歳まで)。1か月あたり=休業開始時賃金日額×支払日数の67%(6か月経過後は50%)
厚生労働省の委託で自動計算ツールが用意されているので、確認してみましょう。
また、産休中は健康保険や厚生年金保険の保険料を支払う必要がありません。
勤務先によっては、出産に伴う給付金などの知識が乏しいことがあるため、早めに働きかけて必要な申請を行うことをおすすめします。
出産前にライフプランシミュレーションを行い、余裕を持った資金計画を
国では「短時間勤務制度」「所定外労働の制限」「子の看護休暇」「時間外労働・深夜業の制限」を法律で定めるなどして、育児と仕事を両立しやすくする環境を目指しています。
しかし、その分、給料については妊娠前と比較すると少なくなる可能性も否定できません。また、給付金制度を活用しても、すべてを補てんすることは難しいケースもあります。
そのため、産休や育休、短時間勤務などで収入が少なくなったときのライフプランシミュレーションを行い、あらかじめ貯金をしておくなどの対策を検討するようにしましょう。例えば、住宅ローンも、夫婦2人でギリギリ支払える金額を借り入れるのではなく、余裕を持った資金計画を立てたいものです。
※上記の情報は記事公開時の情報です。詳細は政府サイトなどを確認しましょう。
この記事を書いた人
佐々木茂樹
ファイナンシャルプランナー
1968年、北海道旭川市生まれ。1986年に旭川北高校を卒業、旭川市内の老舗ホテルに勤務。1988年より道内の郵便局に転職、郵便・貯金・保険業務を経験。在局した17年間のうち10年間保険業務に携わり、その間にAFP、2級FP技能士資格を取得。2006年より、三井住友海上きらめき生命でファイナンシャルコンサルタントとして勤務。2011年、同社を退職し、ファイナンシャルサービス株式会社を設立。
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