長期優良住宅って?税金や住宅ローン金利が優遇される4つのメリット
「長期優良住宅」。この言葉を聞いたことがある人は多いかもしれません。
しかし、どういった住宅が該当し、どのようなメリットがあるのか、具体的にご存知でしょうか?
今回は、長期優良住宅と、その優遇制度についてご紹介します。
長期優良住宅に認定されるための9条件
長期優良住宅とは、その名のとおり「長期にわたって良好な状態で使用することができる優良な住宅」のことです。以下のような複数の条件を満たすことで、長期優良住宅に認定されます。
・家の骨組みなどの構造部分
⇒構造がしっかりしており、少なくても100年程度数世代にわたって使用できること。
・耐震性
⇒地震に強く、大きな地震でも倒壊しない、または損傷が少ないこと。
・維持管理
⇒家のメンテナンスが容易に行えること(配管などの耐用年数が短い設備や内装の維持管理が行いやすい)。
・リフォームおよびリノベーション
⇒ライフスタイルの変更に応じて間取りの変更が可能であること。
・バリアフリー
⇒将来のバリアフリーに対応できるスペースが確保されていること。
・省エネ
⇒一定の省エネルギー性能が確保されていること。
・居住環境
⇒周りの景観を損なわず、調和が図れていること。
・広さ
⇒良好な生活を送るための一定規模以上の面積(一戸建て75平方メートル以上 共同住宅55平方メートル以上)があること。
・維持保全のための計画
⇒建築時から将来を見据えて点検・補修の計画が立てられていること。
長期優良住宅で利用できる代表的な優遇制度
長期優良住宅と認められた住宅には、税金や住宅ローン金利が優遇される4つのメリットがあります。
1.住宅ローン減税
住宅ローンで家を購入した場合、年末時点の住宅ローン残高の1%が10年間にわたって税控除される「住宅ローン減税」を利用できます。一般的な住宅では、控除される金額は年間40万円が限度ですが、長期優良住宅では年間50万円まで控除されます。4,000万円を超える住宅ローンを組む場合は、長期優良住宅の方が有利です。
2.住宅ローン減税以外の所得税控除
長期優良住宅を自己資金で建てた場合、性能強化費用(優良住宅にするために一般の住宅よりかかってしまった費用)相当額の10%(65万円まで)が所得税から控除されます。
3.税金の軽減措置
家を購入すると、一般的に「保存登記(新築など)」「移転登記(所有権の移転など)」「抵当権設定登記(住宅ローン利用など)」などを行う必要があります。それぞれには税金がかかりますが、長期優良住宅だと税率が1000分の0.5~1000分の2程度に軽減されます。また、不動産取得税は控除額が大きくなり、固定資産税は控除される期間が延長されます。
4.住宅ローンの金利優遇
住宅金融支援機構が提供している住宅ローンには、住宅性能に優れた家を対象に金利が優遇される「フラット35S」があります。性能により5年間、もしくは10年間、利息が0.25%優遇されます(一般の金利が1.37%の場合、1.13%に)。長期優良住宅に認定された場合は、金利引き下げ期間は10年間となるため、利息の軽減効果はかなり高く、支払額に大きな違いが生まれます。
さらに、ローン期間が最長50年の全期間固定金利「フラット50」を選択することも可能。長期間価値が維持できる、長期優良住宅だからこその選択肢といえるでしょう。
初期投資は大きい長期優良住宅。長い目で見れば、決して高い買い物ではない
多くのメリットを享受できる長期優良住宅は、当然ながら一般住宅より価格は高くなってしまいます。
しかし、地震大国ともいわれる日本では、特に「耐震性能が高い」というのは魅力でしょう。また、長期優良住宅なら、自分の子どもや孫の世代まで利用できます。
初期投資は大きい長期優良住宅ですが、長い目で見て検討すれば、決して高い買い物ではありません。
この記事を書いた人
佐々木茂樹
ファイナンシャルプランナー
1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。
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