マンションを下見して、契約書に署名・捺印し、住宅ローンの契約を済ませて入居する。ほっと一息つきたいところですが、最後にもうひとつやらなければいけないことがあります。
それが「確定申告」。
今回は、住宅ローン控除を受けるための確定申告の方法について解説します。
WHEN? 住宅ローン控除を受けるための確定申告は翌年3月15日を過ぎても大丈夫!
所得税の確定申告の期限は、原則として住宅を購入した翌年の2月16日から3月15日まで。ただし、税金の還付を受けるための手続きは、3月15日を過ぎても問題ありません。実は、5年間までさかのぼって手続きできるのです。
「年明けは忙しくてなかなか時間がとれない」という場合でも、ゴールデンウィーク明けやお盆休みに手続きをすることが可能です。住宅ローン控除の手続きに必要な書類は多く大変ですが、時間がかかってもひとつひとつきちんと揃えましょう。
WHAT? 住宅ローン控除の手続きに必要な書類は?
住宅ローン控除の手続きに必要な書類は以下のとおり。
1. 給与所得の源泉徴収票 ※原本提出(勤務先から年末に受け取っています)
2. 売買契約書 ※コピー提出(売買契約時に取り交わしています)
3. 金融機関などからの借入金残高証明書 ※原本提出(10月から12月末頃に金融機関から送られてきます)
4. マイナンバーの通知カードまたは個人カード ※コピー提出
※これら4つは手元にあるはずです。
そして、以下の書類はご自身で入手してください。
5. 確定申告書(サラリーマンは確定申告書AでもOK。自営業は必ず確定申告書B)
6. (特定増改築等)住宅借入金等特別控除の計算明細書
※上記の2つの書類は税務署のほか、国税庁のサイトから入手することもできます。
7. マンションの登記事項証明書 ※原本提出(法務局で入手できます。マンション購入時に業者から受け取っている場合も)
その他、印鑑(確定申告書の提出時に捺印が必要)、通帳(確定申告書に還付金の振込口座を記入)も準備しておきましょう。
なお、中古マンション(鉄骨造や鉄筋コンクリート造)で築25年超の場合は、「既存住宅性能評価書」、「耐震基準適合証明書」または「既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約に係る付保証明書」のいずれかも求められます。
HOW? 新築マンションの取得事例をもとに住宅ローン控除に係る確定申告書の書き方を解説
上記の書類が揃えば、確定申告書の作成・記入に進みましょう。手続きの詳細は、国税庁のホームページを参考にしてください。
ここでは、新築マンションの取得事例をもとに記入例をご紹介します。
・居住開始日:平成29年7月13日
・取得金額:40,000,000円(全部が居住用)
(家屋30,000,000円、土地等10,000,000円)
・総(床)面積:70.00平方メートル
・持ち分:本人100%
・借入金年末残高:34,567,890円
・消費税:8%
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書は以下のとおり記入します。
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki01/shinkokusho/pdf/h29/05.pdf
・本人の住所および氏名を記入
・新築または購入した家屋等に係る事項を記入
イ.居住開始年月日 平成29年7月13日
ロ.取得対価の額 家屋30,000,000円 土地等10,000,000円
ハ.総(床)面積 家屋70.00 土地等70.00
ニ.うち居住用部分 家屋70.00 土地等70.00
・増改築等をした部分に係る事項を記入
⇒空欄
・特定取得にかかる事項を記入
⇒「特定取得」に「〇」
・家屋や土地等の取得対価の額を記入
②家屋30,000,000 土地等10,000,000 合計40,000,000
・居住用部分の家屋または土地等に係る住宅借入金等の年末残高を記入
③住宅及び土地等 34,567,890
④住宅及び土地等 100.00
⑤住宅及び土地等 34,567,890
⑥住宅及び土地等 34,567,890
⑦住宅のみ 土地等のみ 住宅及び土地等 100.0
⑧住宅及び土地等 34,567,890
⑨34,567,890
・特定の増改築等に係る事項を記入
⇒空欄
・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額を記入
番号 1
(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額 ⑱345,600
・控除証明書の要否を記入
⇒「要する」に「〇」
・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額を計算する
住宅仮家欽等の年末残高の合計額 ⑨34,567,890
⑱ 345,6(00)
※なお、住宅ローン控除の対象となる借入金残高には上限があり、消費税や住宅の質によって異なります。
・通常の住宅
消費税8%、10%住宅:4,000万円(40万円)
中古住宅の個人間売買など:2,000万円(20万円)
・認定住宅
消費税8%、10%住宅:5,000万円(50万円)
中古住宅の個人間売買など:3,000万円(30万円)
※( )は控除限度額
次に、確定申告書Aを例に、住宅ローン控除に関わる箇所は以下のとおり記入します。
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/yoshiki01/shinkokusho/pdf/h29/01.pdf
・第一表
㉔年末時点の住宅借入金残高の1%の金額(上限あり)を記入。
※今回の事例の場合、「345,600(円)」
・還付される税金の受取場所
銀行名、支店等、預金種類、口座番号を記入。
・第二表右下「特例適用条文等」
入居日を記入。なお、消費税が8%または10%が適用される場合は「(特定)」を追記。
例:平成29年7月13日居住開始(特定)
わからない場合は税務署に相談を。確定申告期間内を避けるのがベター
確定申告では住宅ローン控除だけではなく、給与所得や各種所得控除なども併せて行うため、初めての手続きでは不安が大きいものです。しかし、ご安心を。わからない場合は、税務署に行って相談しましょう。
ただし、確定申告期間内は非常に混雑しますので、1月中または3月下旬以降などに相談しに行くことをおすすめします。
まずは、確定申告に必要な書類を揃えることから始めましょう!
この記事を書いた人
益山真一
ファイナンシャル・プランナー
「3大資金(住宅・教育・老後)」を効率的に手当てし、ライフプランを実現するための家計管理を提案するファイナンシャル・プランナーとして、セミナー・執筆、相談を展開。仕事の目標は、お客様の「心、体、お金、時間、仕事」のバランスの改善による幸せ実現。セミナーは平成29年12月末時点で累計2,734回を数える。
HP:http://www.fp-masuyama.com/
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