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住まいの基本知識

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繰り上げ返済か住宅ローン控除か?どちらを優先すべき?

考えるカップル

住宅ローン金利が低金利で推移している今、繰り上げ返済と住宅ローン控除のどちらを優先すべきか判断に迷うことでしょう。
今回は、繰り上げ返済か住宅ローン控除の基本情報をご説明した上で、どちらを優先すべきなのかを事例を挙げて検証してみます。

家の値段イメージ

「繰り上げ返済」と「住宅ローン控除」って?

◆繰り上げ返済とは

「繰り上げ返済」とは、住宅ローンの通常の返済とは別に、住宅ローンの一部もしくは全額を返済することをいいます。
元金が返済される繰り上げ返済では支払う利息が減るので、最終的な総支払額は借入当初に予定していた金額より少なくなります。なお、繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があります。

●期間短縮型
繰り上げ返済後の月々の返済額は変更せず、返済期間を短くする。

●返済額軽減型
返済期間は当初の予定通りとし、繰り上げ返済後の月々の返済額を抑える。

 

◆住宅ローン控除とは

「住宅ローン控除」とは、住宅ローンを組んでマイホームを購入する場合、10年間にわたって年末の住宅ローン残高の1%が所得税(一部住民税)から控除される制度です。
※適用要件あり。

控除額は一般住宅で最大年間40万円。住宅ローンを利用する家庭にとっては大きな負担軽減となります。

考えるカップル

繰り上げ返済か住宅ローン控除か、ケーススタディ!

 【ケース①】

全期間固定金利2%・期間35年(420回)で4,000万円の住宅ローンを組んでいる場合。

繰り上げ返済を一切しなかったとすると、月々の支払額は132,505円で総支払額55,651,861円となります。このとき、10年間の住宅ローン控除額は3,533,200円です。

 

5年目に100万円の繰り上げ返済(5年1か月目に月々の返済と合わせて100万円を返済)を行う。

●「期間短縮型」
総支払額54,867,314円(784,547円軽減)、期間33年11か月(13か月短縮)となります。

●「返済額軽減型」
総支払額55,310,327円(341,534円軽減)、6年目以降の月々の支払額3,617円軽減(支払期間は変わらず)となります。

 

このケースでは、10年間にわたる住宅ローン控除額は3,473,000円となり、繰り上げ返済をしなかったときと比べて控除額が60,200円減少します。
しかし、「期間短縮型」では総支払額が784,547円軽減されるため、総合的に判断すれば繰り上げ返済をする方が724,347円(784,547円-60,200円)お得だといえます。

 

住宅ローン控除期間が終わった11年目に繰り上げ返済を行う。

●「期間短縮型」
総支払額は55,037,146円となります。
繰り上げ返済しなかったケースと比べて総支払額は614,715円軽減され、住宅ローン控除は満額受けることができます。

 

ただし、のケースの方が109,632円(724,347円-614,715円)多く軽減される結果となりました。

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【ケース②】
金利当初10年間0.9%(11年目以降2.5%)・期間35年(420回)で4,000万円の住宅ローンを組んでいる場合。

繰り上げ返済を一切しなかったとすると、総支払額53,467,784円で、10年間の住宅ローン控除額は3,447,400円となります。

 

5年目に100万円の「期間短縮型」繰り上げ返済(5年1か月目に月々の返済と合わせて100万円を返済)を行う。

総支払額は、52,681,149円(786,635円軽減)となります。
10年間の住宅ローン控除額は3,390,100円で、繰り上げ返済をしなかったときに比べて57,300円減となりますが、総合的に判断すれば729,335円(786,635円-57,300円)お得だといえます。

 

住宅ローン控除期間が終わった11年目に繰り上げ返済を行う。

11年目に100万円繰り上げ返済した場合、総支払額は52,673,712円で、10年間の住宅ローン控除額は3,447,400円(繰り上げ返済しないケースと同額)。繰り上げ返済しなかったケースと比べて、総支払額は764,072円軽減されます。

 

と比較するとの方が、34,737円(764,072円-729,335円)多く軽減されます。

 

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このケーススタディにより、1%未満の住宅ローンを組んだ場合は、急いで繰り上げ返済するよりも、住宅ローン控除期間終了後に繰り上げ返済をした方が得するケースもあるということがわかります。

繰り上げ返済と住宅ローン控除、どちらのメリットが大きいのか試算を

今回、さまざまなケースで検証してみましたが、金利などの住宅ローンの条件や納税額、住宅ローン以外の控除といった要素により、繰り上げ返済と住宅ローン控除の優先順位は変わることがわかります。

繰り上げ返済については、金融機関などが提供しているサイトでシミュレーションすることができます。住宅ローン控除額については、納税額と金融機関の返済表を確認すれば、いくら控除されるのかを把握できます。

繰り上げ返済と住宅ローン控除、どちらのメリットが大きいのか、まずは試算してみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

佐々木茂樹

ファイナンシャルプランナー

1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。
HP: http://financial-service.jp/

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