「住居費は収入の3割」は本当?適切な目安を考えよう!【FP監修】
「住居費は収入の3割」
このようにいわれることが一般的ですが、はたして本当なのでしょうか?今回は、収入に対する住居費の割合について、適切な目安をFP目線で考えてみたいと思います。
「住居費は収入の3割」といわれるワケ
もし年収600万円で、その3割にあたる180万円を住居費に使うとします。600万円から税金や社会保険料などを差し引くと、手取りの金額は460万円程度に。すると、住居費は約4割を占めることになり、その他の生活費などを残りの280万円で賄うことになります。月平均に換算すると23万円。その中には教育費や貯蓄、保険料なども含まれるため、かなり切り詰めた生活をしなければならなくなりそうです。
では、なぜ「住居費は収入の3割」といわれているのか……。色々と調べてみたのですが、根拠はわかりませんでした。高度成長期には年々収入が上がったため、当初3割程度で住居費を設定しても問題がなかったのかもしれません。もしくは、住宅ローンの借入可能額は一般的に収入の30%~40%程度であることから、住居費の目安として一部定着したのではないかとも推測できます。
ともあれ、一般的な見解をそのまま誰にでも当てはめるのは無理がありそうです。ちなみに、総務省の家計調査によると、平成9年~平成29年の実収入(税金や社会保険料を差し引く前)における住居費は持家世帯で16.5%~19%、借家世帯で13.3%~14.7%程度でした。
求めるライフスタイルによって家計の収支は大きく変動する
住居費の適切な目安については、一様に明示できるものではありません。というのも、家庭により異なるからです。下記モデルケースで検証してみましょう。
例)収入600万円35歳の男性。妻と子1人。3,000万円の住宅ローンを組む。元々の預貯金は500万円。
住宅ローンの年間の支払額が約112万円、年間の管理費や固定資産税などの合計が当初40万円だとすると、収入に対する住居費に割合は約25.3%程度となります。
※(112万円+40万円)÷600万円
では、10年に1度のペースで300万円の車を購入する場合と、車を所有しない場合で比較してみましょう。車以外の条件は全く同じです。
1.車を所有する場合
2.車を所有しない場合
車を所有する場合、45歳の時点で預貯金がなくなり、赤字となることがわかりました。しかし、車を所有しなければ、単年度で収支が赤字となることはあるものの、預貯金はプラスをキープできるようです。
このように収入や家族構成などが全く同じでも、例えば「車は必要」「家族旅行は海外に行きたい」「月に一度は素敵なレストランで外食を」など、求めるライフスタイルによって家計の収支は大きく変動します。
住居費の適切な目安を考えるにはライフプランシュミレーションを!
住居費の適切な目安を考えるには、ライフプランシュミレーションを行うことをおすすめします。その際は、現時点のことだけではなく、将来的にかかる費用などを可能な限り想定することが大切です。FPに相談すると客観的な意見を聞きながらシミュレーションできるので、より正確な金額を確認できるでしょう。
なお、持ち家の場合は賃貸に比べ、火災保険や地震保険の保険料が多くかかったり、住宅ローンの他にも管理費や修繕費、駐車場代、固定資産税などを支払わなかったりしなければならないことも。住宅ローンの返済に加え、これらのことも忘れずに試算しましょう。
この記事を書いた人
佐々木 茂樹
ファイナンシャルプランナー
1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。
HP:http://financial-service.jp/
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