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住まいの基本知識

物件の選び方や、住宅ローンの組み方などの住宅購入に関する
基本的な知識や暮らしの雑学・知識をご紹介します。

【FP監修】住宅ローンを支払えないと、どうなる?取るべき対処法は?

新型コロナウイルスの影響により経済の冷え込みが懸念される中、「新型コロナウイルスの感染拡大に関連した解雇や雇い止めの人数(見込みを含む)が、初めて4万人を超えた(日本経済新聞電子版)」というショッキングなニュースが飛び込んできました。

突然の解雇や賃金カットが原因で、今後、住宅ローンの支払いが滞ってしまうケースも増えるかもしれません。

もし、住宅ローンを支払えなくなると、どうなるのでしょうか?

住宅ローンを支払えないと、マイホームを差し押さえる?!

「住宅ローンを支払えなくなると、マイホームを差し押さえられてしまう」

このようなイメージを持たれがちですが、実は差し押さえに至るまでには段階があります。

※期間等は金融機関により異なります。

 

■第1段階(1か月~3か月程度)

支払いを促す電話がかかってきたり、はがきが届いたりします。それでも支払いがない場合には督促状が送られてきます。

 

■第2段階(3か月~6か月程度)

催告書や「期限の利益喪失通知」が届きます。

※催告書とは、督促状よりも強い調子で支払いを求めるもので、「法的手段等による解決を図る」というような内容です。

※「期限の利益」を喪失すると、一括返済を求められます。

 

■第3段階(6か月~7か月程度)

金融機関が保証会社に請求し、代位弁済が行われます。その後、債権(住宅ローンの支払いや担保物件を処分する権利)が保証会社に移り、代位弁済通知が届きます。

※代位弁済とは、保証会社が代わりに住宅ローンを一括返済すること。

 

■第4段階(7か月~12か月程度)

保証会社から一括返済を求められます。応じないと、裁判所を介して住宅や財産を差し押さえられます。住宅が競売にかけられるなどして、マイホームから追い出されてしまいます。

 

これらは金融機関からの通知に対して何の行動を起こさなかった場合の一例です。

必ず金融機関に相談を!住宅ローンの支払いが滞ったときの対処法

住宅ローンの支払いが困難になったときには、必ず金融機関に連絡してください。

上記の一般的な流れを見ればわかる通り、支払いができないからと言って、すぐにマイホームを差し押さえされるわけではありません。支払いができない理由によっては、加入している団信で保証されることもあります。

返済期間を長くして、月々の支払いを抑える「返済スケジュールの変更(リスケジュール)」もひとつの方法です。現状を包み隠さず、金融機関に相談するようにしましょう。

金融機関に相談したうえで、それでも支払いの継続が難しいようなら、次の方法も検討してみてください。

 

■住宅ローンの借換

金利が低いローンに借換すれば、月々の支払いを抑えることができます。ただし、借換の手数料の他、抵当権などを設定する登記費用がかかるため、あらかじめ試算しておきましょう。また、支払いが遅れてからでは借換は難しいので、早めの判断が求められます。

 

■リースバック

住宅を専門の不動産会社へ売却する「リースバック」を利用すれば、リース料(家賃)を支払うことでマイホームに住み続けることができます。一括で現金が手に入るのがメリットですが、売却価格が相場より安くなる可能性も。

 

■個人再生

債務の返済額を大幅に減額してもらい、支払いを続けていく手続きのこと。一般的には弁護士を通じて裁判所に個人再生の申し立てを行います。なお、同じく裁判所に申し立てをする自己破産の場合、所有財産は処分の対象に。家を手放さなくてはいけませんが、ローンの支払い義務もなくなります。

 

■任意売却(住宅を手放す場合)

差し押さえられる前に自身で売却できれば、住宅ローン残高や売却額によってはプラスになり、手元に現金が残るかもしれません。ただし、住宅ローンが残った状態では住宅を売却することはできないので、金融機関の合意を得る手続きが必要になります。複数の任意売却業者に問い合わせ、より良いところを選ぶようにしましょう。

 

なお、今はコロナ禍により、住宅ローンの支払いが厳しい家庭が増えており、金融庁から金融機関に対し、迅速かつ柔軟に支援に取り組むように要請されています。リスケジュールなどによる住宅ローンの返済猶予についても積極的に行われているようです。

住宅ローンの支払いが滞り、何の手も打たないと間違いなく差し押さえにつながります。金融庁も呼びかけていますので、まずは金融機関に速やかに相談するようにしましょう。

 

参考:新型コロナウイルス感染症の影響による資金繰りやローンの返済等でお困りの皆様へ

https://www.fsa.go.jp/ordinary/coronavirus202001/06.pdf

 

また、住宅金融支援機構では返済方法の変更メニューも用意しています。

参考:今般の新型コロナウイルス感染症の影響によりご返済が困難になっているお客さまへ

https://www.jhf.go.jp/files/400352693.pdf

住宅ローンを借りる前に。ゆとりを持った支払い計画でリスク回避

今回の新型コロナウイルスの感染拡大を予期できなかったように、先を見通すことは容易ではありません。

さまざまな救済策があるとはいえ、住宅ローンを支払えなくなると、状況によっては信用情報に傷が付く恐れもあります。

住宅ローンを借りる前にライフプランニングを実施し、ゆとりを持った支払い計画を立てましょう。そうすることで、リスクを回避できる確率がぐっと上がります。

この記事を書いた人

佐々木 茂樹

1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。

■HP:http://financial-service.jp/

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