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2024年に本格導入!デジタル教科書のメリットとデメリットとは

2019年12月、文部科学省は「GIGAスクール構想」を発表しました。GIGAは「Global and Innovation Gateway for All」の頭文字を取ったもので、「すべての児童・生徒にグローバルで革新的な扉を」という意味が込められています。

このGIGAスクール構想は、1人1台の端末支給、高速大容量の通信ネットワークの整備を前提としており、それらを子どもたちの深い学びにつなげることが期待されています。コロナ禍によってGIGAスクール構想は前倒しされ、2021年3月までにほとんどの小中学校で「1人1台端末」の整備が完了しました。

授業でパソコンやタブレットを日常的に使うシーンが増えてくると、次に視野に入ってくるのは、デジタル教科書の普及です。今回は、デジタル教科書について考えてみましょう。

そもそもデジタル教科書とは?どうして導入するの?

デジタル教科書とは、タブレットやノートパソコンで見られる教科書のことです。デジタル教科書は、2020年度から実施されている新学習指導要領を踏まえた「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善や、特別な配慮を必要とする児童生徒等の学習上の困難低減等での活用が想定されています。 

現段階では、紙の教科書を使用しつつ、必要に応じて学習用デジタル教科書を併用することができるようになっています。学習用デジタル教科書は2013年から高校生用、2015年から小学校用が発行されており、2021年には小・中学校用ともに発行状況は約95%に達しています。

ただ導入状況としては、2020年3月1日時点で、義務教育である小学校・中学校は8.6%、高等学校においては5.2%とまだまだ実践例は多くありません。現在デジタル教科書が無償ではないこともあり、すぐにデジタルへ全面移行するのは財源的に難しいのが現状です。

このような状況で、文部科学省が見据えているのが、次の教科書改訂時期に当たる2024年度。このタイミングで、デジタル教科書の本格導入とデジタル教科書の無償化が検討されているのではないかと考えられています。

2021年度、政府は小学校5年生から中学3年生を対象に、使用を希望した全国の4割の学校に任意の1教科分のデジタル教科書と、動画などが流れる付属のデジタル教材を無償で配布しました。デジタル教科書は、来るべき本格導入に向けて、さまざまな試みが現在進行中なのです。

デジタル教科書に賛否あり?メリットとデメリットについて

教育に大きな変化をもたらす可能性を持つデジタル教科書は、一体どんな特徴があるのでしょうか。メリットとデメリットを挙げてみます。

 

【デジタル教科書のメリット】

 

1.拡大表示が簡単にできる

見えにくい文字や記号を見る際、すぐに見やすい大きさに拡大表示することができます。

 

2.書き込み・修正・保存ができる

教科書に直接書き込んだり、修正したり、学習データを保存できたりするのはデジタル教科書の大きな特徴です。「マーカーで間違って線を引いてしまったけれど、もう消すことができない」という悩みもなくなるでしょう。

 

3.背景・文字色の変更や反転などができる

自分の好みにカスタマイズすることが可能なので、背景色やフォントなどを見やすいものに変更することができます。

 

4.読み上げ機能がある

機械音声による読み上げ機能は、多くの学習において有効です。ただ現時点では、デジタル教科書の内容は紙と同じと決められているため、独自の動画や音声といったコンテンツを入れることができません。これは教科書の検定制度とも関わってくる今後の課題ともいえるでしょう。

 

5.生徒の通学時の荷物が軽減される

小学生の低学年のランドセルは平均で7.7kgあるという調査があります。体重が30kgにも満たない子どもには大きな負担でしょう。デジタル教科書が導入されれば、ペーパーレス化が進み、その負担が減ると期待されています。

 

6.データを活用すれば、教育の改善につなげることができる

今後、教育ビッグデータを横断的に分析できるようになれば、「あるデジタル教科書のある記述は多くの児童・生徒がマーキングした」「ある単元では教科書閲覧時の滞留が多かった」といった事実がわかり、教科書や授業方法の改善に役立てられます。

また、1人の子どもについて学習履歴を分析すると、理解が不十分な単元や苦手な分野が客観的なデータとして示すことができます。「その情報を基にAI(人工知能)ドリルが適切な問題を出題する」といった使い方も可能となるでしょう。

 

【デジタル教科書のデメリット】

 

1.視力低下を招く恐れがある

子どもは、画面に熱中しがちです。あまり近くで長時間見ると、疲れ目もしくは視力低下を招きかねません。しかし一方で「近くのものを長時間見続けることが原因なのであれば、それは紙でも同じ」という意見もあります。

 

2.タブレット破損への対処

小さな子どもは、タブレットを誤って落として破損してしまうケースもあるでしょう。そういった万が一の事故の保障についても、備える必要があります。

 

3.整備・管理にお金がかかる

デジタル教科書は教科書であるため、学習者全員に端末を配ることが前提条件となります。それらの導入費に加えて、インストールや保守にかかる手間や費用は、大きな課題です。

児童・生徒全員のコンピューターに1台ずつデジタル教科書のアプリやコンテンツをインストールしていては作業量が膨大になり、学校の現場で対応するのは現実的ではありません。かといって作業を外注すれば相当の費用が発生。それを教科書会社が負担するのも無理があるのが現状です。

 

4.学校外での運用に関する問題

自宅学習で端末を活用して、学びの機会を増やすことが求められています。しかし、ゲームや動画サイトといった学習以外のコンテンツへの接続やSNSでのトラブル、セキュリティの問題など、学校外での運用にはさまざまな課題が山積。各自治体でも見解は分かれているのが実情です。

 

5.教える先生側に負担が生じる

「パソコンの操作は苦手」という先生もいるでしょう。一言で「パソコン作業」といっても、共有・保存・呼び出し・トラブル対応など、その内容は多岐にわたります。それらを幅広く学ぶのは決して少ない負担ではありません。

今はデジタル移行期間。学校のデジタル化を応援しよう!

最近は、英検などパソコン受験できる検定が増えつつあります。いずれは大学入試が紙ではなく、パソコンで行われるようになる日も訪れるでしょう。

現時点でいくつかの課題はあるものの、メリットが多いと期待されているデジタル教科書は、本格導入以降も各方面で試行錯誤が予想されます。家庭としても、社会全体がデジタル移行期間であることを理解して、学校のデジタル化を応援する心構えが必要です。

なお、ICT環境の整備は手段であり、目的ではありません。目指すのは、あくまでも子どもがより深い学びを得ることです。デジタル教科書が音声付きとなり、丸付けが自動になったとしても、小学生の子どもが最も喜ぶのは親の掛け声。そういったアナログな応援も、引き続き大切にしていきたいものです。

※本記事は2022年5月18日時点の情報をもとに執筆しています。

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