マイホームの購入を決断する際、最後の最後まで迷うのが資金計画。頭金を多くすれば住宅ローンの返済額が少なく済むのはわかっていても「住宅ローン金利が低いのだから、頭金を少なくして住宅ローン減税も上手に活用すれば良いのでは?」という考えもちらつきます。
マンションを安心して購入するために、住宅ローンの頭金について判断基準を整理してみましょう。
「物件価格の2割程度の頭金が必要」といわれるワケ
一般的に「住宅を購入する際、物件価格の2割程度の頭金を準備しましょう」といわれますが、これにはいくつかの理由があります。
例えば、以前の住宅ローンの借入限度額は物件価格の8割が限度とされていたため、2割程度の頭金は、その名残でもあります。これは、金融機関による資産価値の下落リスク対策や、貸しすぎによる返済不能リスクを考慮したものと考えられます。
ただ、現在では、物件価格の8割を超える借入れができるのが一般的となりました。とはいえ、住宅ローンのひとつ「フラット35」では、融資率(融資額÷物件価格)が9割を超える場合は、9割以下の場合に比べて、借入金全体に対する金利が高く設定されています。これは「頭金が少ない⇒回収不能リスクが高い」と考えられることによる措置といえるでしょう。頭金が少ないと、信用度は低くなることは否めません。
資産価値が下がりにくい地域であれば住宅ローンの頭金は少なくても良い
住宅ローンの頭金のひとつの判断基準として、購入後の資産価値に着目すると良いでしょう。
資産価値が下がりにくい地域(都心、駅近、利便性高いなど)であれば、住宅ローンの頭金は少なくても良いと考えます。それは、住宅を高く売却できるため、売却代金で残っている住宅ローンを返済できる可能性が高いからです。
一方、資産価値が下がりやすい地域(郊外、駅から遠い、利便性低い)であれば、住宅ローンの減り方よりも資産価値の下落が速いことが予想され、売却代金全額を返済にあてても完済できないかもしれません。そのため、頭金を多くして、住宅ローンの借入額を少なくしておくと良いでしょう。
なお、資産価値は地域のほか、そのときの経済状況によっても大きく変動しますので、
定期的に住宅の資産価値を見積もってもらうことをおすすめします。資産価値と住宅ローン残高を比較することで現状を把握できますし、資産価値よりも住宅ローンが多い場合、「繰上げ返済をする」「手元の貯金を増やす」など、返済リスク対策も考える機会にもつながります。
住宅ローンの頭金に正解はない。今後の生活設計も見越して判断を!
資産価値の他、「子どもの教育資金がかかるから、頭金を少なくして教育資金の準備に回したい」「老後資金の準備も不安だけど貯金しても利息はつかないから、頭金を多くして住宅ローンの利息負担を抑えたい」など、判断基準はさまざまあるため、住宅ローンの頭金の理想金額について唯一の答えはありません。
住宅ローンを利用するには以下の返済3条件を満たしておけば、頭金の割合はそれほど大きな問題ではないでしょう。実際、頭金が無くても住宅ローンを利用してマンションを購入できるようになってきており、そういう人も増えています。
1.毎月の生活に無理がない返済額であること
2.ボーナスがなくなって(ボーナスを頼れなくて)も返済に支障を来さないこと
3.働ける期間内に返済が終わる見込みがあること
ただ、行動経済学によれば、人間は「今の痛みを重く、将来の痛みを軽く感じる」そうです。だからこそ、購入時の負担を減らすことを優先してしまいがちですが、今後の生活設計も見越したうえで、住宅ローンの頭金を判断しましょう。
この記事を書いた人
益山真一
ファイナンシャル・プランナー
「3大資金(住宅・教育・老後)」を効率的に手当てし、ライフプランを実現するための家計管理を提案するファイナンシャル・プランナーとして、セミナー・執筆、相談を展開。仕事の目標は、お客様の「心、体、お金、時間、仕事」のバランスの改善による幸せ実現。セミナーは平成29年5月末時点で累計2,606回を数える。
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