小学校に入学すると、親の目が行き届かない時間帯が飛躍的に増加。親がずっと見守ることができない以上、子どもに「自分の身は自分で守る」という意識を持たせることが、恐ろしい犯罪から子どもを守る近道となります。
今回は、保護者から子どもに伝えたい防犯対策や、伝え方のポイントについてご紹介します。
未就学児童より被害件数は増加。小学生が巻き込まれる犯罪の傾向
警察庁発表の「令和2年の犯罪」によると、小学生の犯罪被害認知件数は、親と一緒に行動する時間が多い未就学児童と比較して暴行・傷害で約2.1倍、強制わいせつは約6.4倍も増加しています。
なお、「女の子の一人歩きは危ない」とよくいわれますが、実際は強制わいせつについては女の子の被害が多く報告されているものの、暴行・傷害の被害は男の子のほうが多く、一概に性別だけで安全もしくは危険と区別できないのが現実です。
被害発生場所は道路上が最多で、被害が出やすい時刻は午後2時から6時の間とされています。下校時間から夕食前の時間帯の道路は、危険が多いと認識してください。
特に略取誘拐は「力尽くで連れ去る」という恐ろしい犯罪のことで、子どもの命が危険にさらされるのはもちろん、その後の人生に大きなトラウマを与えかねない事案です。こちらも未就学児童よりも小学生になった後のほうが約2.1倍増加するといわれています。
ただ、これらの発生要因を分析すると、「いきなり引きずり込まれた」というよりも「だまされて自分からついて行ってしまった」ために発生した事例が多いということがわかっています。たとえ防犯ブザーを持っていたとしても、使おうとしなければ意味がありません。だまされないためにはどのようにしたら良いのかを、まずは保護者から子どもにしっかり教える必要があるのです。
小学生の防犯対策として、親が伝えておくべき6つのポイント
大切な子どもを守るため、以下の6つのポイントを参考にして、親子で防犯対策を考えてみましょう。
1.約束事を決めておく
「ペットの猫が逃げたから、一緒に探してくれない?」「駅までの道がわからないから教えてほしい」など、優しい子どもであれば、思わず手伝いたくなる誘い文句はたくさんあります。
けれど、どんな誘い方であれ、知らない人には絶対についていかないことを約束させましょう。もし誘拐されたら、命の危険性すらあるという事実を一緒に伝えても良いでしょう。
2.できるだけ、ひとりで行動させない
子どもがひとりでいるときは、2人以上でいるときよりも格段に犯罪に巻き込まれる危険性が高まります。外でひとり遊びするときはもちろん、公衆トイレに1人で行くのも危険が伴うことを認識させましょう。
3.名前が他人から見えないようにする
名前を呼ばれたら、顔は知らなくても知り合いと勘違いして、警戒心を解いてしまう場合があります。名札や持ち物など、外から見える場所に名前が見えないようにする工夫が必要です。
4.街に潜む危険な場所を親子で確認し合う
親子で一緒に通学路を歩いてみましょう。人通りが少ない場所、自転車置き場、空き地や空きビル、薄暗い道、駐車場、地下道、見通しの悪い公園、建物の影などがあれば、そこは犯罪が起きやすい場所だと教えてあげてください。
危険が潜むスポットを確認するとともに、もしもの場合のために、交番や「こども110番の家」、コンビニといった、助けを求められる場所も確認しておくと良いでしょう。
5.防犯グッズを用意する
GPS付きキッズケータイがあれば安全ですが、学校に持って行けない場合は、防犯ブザーを準備しましょう。推奨されている85デシベル以上の音量が出るものを、ランドセルと普段使う用の複数個用意してあげてください。
とっさのときに子どもでも使いやすく、雨にぬれても壊れない防水タイプがおすすめ。購入後は、電池切れしていないか定期的にチェックしましょう。
6.通学・外出時の約束「いかのおすし」を教える
「いかのおすし」は、子どもが知らない人に声をかけられたときに被害に遭わないようにするための行動を示した防犯標語です。
「【いか】ない」「【の】らない」
名前を呼ばれたり、「おうちが緊急事態だよ!」といわれたりしても、絶対に「知らない人についていかない」「車に乗らない」ことを教え込みましょう。
「【お】おごえをだす」
とっさに大声は出せませんので、何と叫ぶか決めて練習しておきましょう。
「【す】ぐにげる」
ランドセルを放り出したとしてもすぐに逃げるよう伝えましょう。
「【し】らせる」
怖い目に遭ったとしても、恐怖や混乱などから大人に話すのをためらう子どもは多くいます。子どもの様子を日頃からよく観察し、何かおかしいなと思ったら、優しく声をかけるようにしましょう。
日頃から「いつでもあなたの味方だよ」というメッセージを伝え、信頼関係を構築しておくことも欠かせません。子どもを狙っている大人もいますが、「ほとんどの大人はみんなを見守ろうとしている」ということも同時に伝えてあげてください。
子どもの防犯意識を高めることが、被害を未然に防ぐ何よりの対策
「令和4年警察白書」によると、13歳未満の子どもが被害者となった事件数は減少傾向にあり、令和3年は8,688件と過去最低の件数となりました。しかし、暴行・傷害などの罪種は平成29年以降、上昇傾向にあるため、単純に治安が良くなっていると安心はできません。
数字だけを聞くと怖いと思ってしまいますが、危険な人物や場所を避けることで、防げる犯罪は多いものです。子どもの防犯意識を高めることが、何よりの対策だと心得ましょう。
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