今の子どもたちは、生まれたときから当たり前にスマホが身近にある世代です。そのため、未就学期からスマホに依存気味の子どもが少なくありません。スマホ依存に陥ると、さまざまな弊害が考えられるため、できれば早期に治したいところ。
そこで今回は、子どものスマホ依存対策について考えてみましょう。
子どものスマホ依存の実態。成長に与える影響は?
0〜6歳の子どもと同居をしている女性を対象に行ったアンケート(株式会社KDDIと東京大学大学院の共同調査)によると「(子どもが)すぐにスマホを使いたがる」が55.5%、「スマホを取り上げると機嫌が悪くなる」が46.7%いるという回答が得られました。
これは乳幼児にもスマホ依存傾向が出ていることを表しています。このような依存者傾向率は、0〜6歳全体では11.6%、2歳児で既に13.3%という驚きの結果も報告されています。
※参考:育児と ICT―乳幼児のスマホ依存、育児中のデジタル機器利用、育児ストレス
では、子どもがスマホ依存に陥ると、どのような影響があるのでしょうか。
・言語発達への影響
トロント大学の研究チームが4年間にわたって、生後6か月〜2歳の子どもを対象にした調査によると、スマホを使用する子どもの約半分に発話能力の遅れが確認されました。乳幼児期は、言葉をインプットする大事な期間。スマホを使っている子どもは、周りの大人たちの言葉を十分聞けておらず、インプットが少ない可能性があります。
・生活リズムの乱れ
寝る前にスマホを見ると、睡眠に悪影響を与えることがあります。スマホから出るブルーライトを浴びることで目が冴え、身体が活動状態になってしまうためです。寝る時間が遅くなることで、朝起きにくくなったり、食事の時間が不規則になったり、生活リズムが崩れてしまうことも懸念されます。
・愛着形成への影響
スマホを育児ツールとして長時間利用すると、どうしても他の人と触れ合う時間が減ってしまいます。小さい子どもの最も身近な存在である親との双方向の関わりが減ることで、愛着形成が不十分となる可能性も指摘されており、その結果として自制心の発達に影響することもあります。
スマホ依存になってしまう原因は?陥りやすい子どもの傾向
子どもが、スマホ依存に陥ってしまう原因はいくつか考えられます。
・暇だから
・嫌なことがあったから
・寂しいから
このように、ずっとスマホを見ている子どもは「何かがない、何かが足りない」と、不満に思っていることが多いものです。「やることがない」「外遊びが足りない」「親との時間が足りない」「友だちとの時間がない」など、親から見ればささいなことでも、子どもにとっては重大なものです。
もし単なる暇つぶしとしてスマホに頼ってしまうのであれば、充実した時間の過ごし方を教えてあげることが必要です。とはいえ、忙しすぎるのはむしろ逆効果なので注意しましょう。
また、スマホを現実逃避として使っている可能性がある場合は、習い事や勉強が詰め込みすぎになっていないか、友人関係に問題がないかなど、一度生活を振り返ってみましょう。この場合、子どもの悩みに対する親の共感が非常に有効です。
さらに、親自身がスマホばかりいじっていないか、子どもの顔を見て遊んであげているかという点も思い返してみてください。親に構ってもらえず寂しい思いをしている子どもにとって、スマホは興味や関心を刺激してくれます。さらなる楽しみを求めて長時間使用につながり、やがて自分の力ではやめられなくなってしまう、そんな依存状態に待ったをかけられるのは同居している家族しかいません。
子どものスマホ依存を治す方法と注意点
スマホ依存になってしまった子どもは、急激な制限や禁止を加えても、泣いたり暴れたりするなど、親子ともストレスになってしまうことがあります。また、人は禁止されると余計にやりたくなる生き物です。一時期は親の言う通りにスマホを触るのを控えるかもしれませんが、多くの場合、後から反動が来て前よりさらに依存してしまう危険性もあるのです。
子どものスマホ依存解消には、親からの積極的な働きかけが不可欠です。以下のような対策を検討してみてください。
1.スマホ使用時間を管理する
スマホを際限なく、ダラダラ見せる状態をやめましょう。短い時間を決め、終わるまで「あと5分ね」などと声かけ、きっちり終わることができたら大いに褒めてあげましょう。予告することと褒めることによって、終わるときの抵抗が減ります。
2.大人がスマホ依存を治す
子どもは親のことをよく見ています。親が家の中でスマホを常にいじっている状態であれば、それはやめるべきです。「子どもの目のつかない場所にスマホを置く」「マナーモードに設定して、急用以外は子どもが寝ている時間に使うようにする」といった方法を試してみましょう。
3.理由をきっちり説明する
「ダメ」だけでは、子どもは納得しません。「なぜダメなのか」ということを説明してあげてください。「目が悪くなる」「夜眠れなくなる」など、子どもでも理解しやすい理由を親の口から説明し、その背景に子どもを大切に思っていることも伝えましょう。「子どもだからダメ!」という理由では、子ども側に不満が残ってしまって効力を発揮しません。
4.スマホ以外の楽しい時間を過ごさせる
最良の方法は、子どもの意識がスマホに行く前に、他の楽しいことをさせることです。公園でボール遊びをしたり、室内でお絵かきや粘土を楽しんだりしましょう。例えば、一緒に本を読む時間も、親子にとってかけがえのない時間になります。
声かけのタイミングも重要なポイント。スマホを欲しがりそうなタイミングで「何かして遊ぼうか!」と声かけをしてください。
スマホは役立つツール。賢い付き合い方を教えてあげよう!
スマホは、とても役立つものであり、メリットもたくさんあります。知育アプリは楽しい学習ツールになりますし、一緒に動画を見れば親子のコミュニケーションのきっかけにもなるでしょう。「長時間見せないようにする」などの注意をすれば、過剰に神経質になることはありません。
スマホを全く見せないというのは、もはや非現実的な現代。大切なのはスマホと賢く付き合う方法を身に付けることであり、これは親から子どもに教えてあげる時代です。子どもの年齢や家族の状況などを考慮しつつ、家族一丸となってスマホとの健全な関係構築を目指していきましょう。
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