「マンダラチャート」とは、今後の目標とそれを叶えるためにすべきことを書いていくシートのこと。子どもから大人まで幅広く使える目標達成のためのツールです。
メジャーリーグで大活躍中の大谷翔平選手も、高校1年生のときに作成しており、光村図書の小学5年生の道徳「夢を実現するためには」という章では、彼が書いた「目標達成シート」が紹介されています。(「マンダラチャート」は、一般社団法人マンダラチャート協会の登録商標で、別名「目標達成シート」ともいいます)
今回は、このマンダラチャートの概要や作成時のコツについてご紹介します。
マンダラチャートとは?
マンダラチャートの語源である「曼荼羅(マンダラ)」とは、元々宇宙の真理を表す方法として仏や菩薩などを配置した絵図のことを指していましたが、後にこれが転じて、体系的・幾何学的なデザインを意味するようになりました。
マンダラチャートのテンプレートは、曼荼羅模様に似た9×9のマス目です。まず叶えたい目標やなりたい自分の姿をマス目の中心に書き込み、それに必要な要素を8つ考えます。そして、その8つの要素を叶えるために必要な行動やものを、さらに8つ考えて、マス目を埋めていきます。
ひとつの大きな目標を叶えるために中くらいの目標8つを考え、その中くらいの目標8つを叶えるために小さな目標をそれぞれ8つ、合計64個考えるといったイメージです。
マンダラチャートは「目標達成シート」とも呼ばれるように、目標達成に向けて、具体的に何をすれば良いかを洗い出し・整理するために使用されます。目標を達成するために必要なことが視覚化され、すべきことの抜け漏れを防ぐことができ、記入を工夫することで取るべき行動の優先順位もわかるようになるのが大きな特徴です。
マンダラチャートは、それに沿って行動することはもちろんですが、作成の段階から良い効果があります。目標達成のためには、今何が必要なのか、ゴールから遡って考えることで、子どもの思考力が深まります。同時に、親子でお互いが大切に思っていることについて話し合うことは、関係を築くチャンスとなるでしょう。
マンダラチャートの基本的な作り方
マンダラチャートを作るためには、以下の手順で実施してください。
1.9×9のマス目を作る。
マス目は手書きでも構いませんが、手軽にしたい場合は、「マンダラチャートノートを購入する」「エクセルで作成する」「インターネットで無料ダウンロードする」といった方法があります。
自分で紙に手書きをするなら、書き直しに備えて、消しゴムで消えないペンやマジックを使って書くと良いでしょう。
2.真ん中に自分が達成したい「目標」を書く
81マス目(9×9のマス目)の真ん中に自分が達成したい「目標・ゴール・なりたい自分」を書きます。将来の夢でも良いですし、直近で達成したい目標でも構いません。
ちなみに大谷翔平選手は、「ドラ1、8球団」(8球団からドラフト1位指名)という目標を設定していました。
3.目標を達成するために必要な「8つの要素」を書く
続いて、最初の目標を達成するために必要な要素を8つ考えます。最も大事だと思う要素を左上のマスに書き、そこから時計回りに重要な要素を順番に8マスすべてに書き込んでください。優先順位を考えるのは少し面倒かもしれませんが、その後の自分の行動を決めるうえで役立ちます。
大谷翔平選手は、「ドラ1、8球団」と達成するために必要なものとして「体づくり」「コントロール」「キレ」「スピード160km/h」「変化球」「運」「人間性」「メンタル」という8つの要素を設定していました。
4.「8つの要素」を転記する
SETP3で書いた8つの要素を、周囲にある9マスの中心にそのまま転記します。
5.「8つの要素」を達成するために必要な行動や心構えを、要素の周囲に8つ書き込む
次に、それらの要素を身につけるために実践する「行動目標」を、重要だと思う順に左上から時計周りに記入していきます。これを繰り返し、すべてのマス目を埋めましょう。できれば期日や数字など、具体的な内容を書くと行動に結びつけやすくなります。
ただ、注意したいのは、大谷翔平選手は高校1年生の時点ですでに大きな目標がありましたが、特に小学生なら81マスを埋めるのは至難の技でしょう。多くの場合、すべてのマスを埋めるどころか目標設定すらできずに挫折してしまうかもしれません。
このマンダラチャート作成には、整理、分析、計画、問題解決能力など、さまざまな要素が必要です。これらは子どもが成長して自立するうえで、とても大切なスキルですので、最初は大人がサポートをしながら、親子で一緒にマスを埋めるようにしていくと良いでしょう。
マンダラチャートを作成・活用する子どもをサポートするには?
マンダラチャートを作成・活用する子どもをサポートする場合は、以下のような工夫をしてみてください。
・マス目を減らすことも検討する
いきなり目標を2段階に分けて81マスを埋めるのは、小さい子どもには難しいかもしれません。子どもの年齢と成熟度にもよりますが、まずは小さな目標を1つ立て、その周囲8つを埋めることから始めても良いでしょう。
・目標の立て方に気を配る
小さな子どもは、抽象的なことを考える能力がまだ十分に備わっていません。目標は「いつ、何を、どれくらい?」と、なるべく具体的にわかりやすく書かせるようにしましょう。
そして目標は、3か月以内のスパンで達成したかどうかが見えやすいものを選ぶと、より充実感を味わいやすいでしょう。
・定期的に確認と見直しをする
マンダラチャートのマス目に書いた内容は、書いて終わりではなく、定期的な確認や見直しが必要です。「最近、●●をよく頑張っているね!」「●●を、▲▲に変更してみる?」などの声かけも効果的。子どもにとって「目標を達成するためには、時に軌道修正が必要なこともある」というのも大切な気づきとなるでしょう。
マンダラチャートを使って、子どもの成長を応援しよう!
私たちは、子どもの時期からさまざまな挑戦を通して成長をしていきます。「自分で決めた目標を達成する」ということは、何よりも大きな学びになるでしょう。
ただ、目標を目指すプロセスも結果と同じくらい重要ということも忘れてはいけません。目標を達成するために、「これでは足りない」「このやり方ではいけない」と試行錯誤することや、時として目標を変更するということも、子どもたちの生きる力を育むからです。
マンダラチャートを作成すれば目標達成の筋道が明確になり夢が叶えやすくなります。その道筋の途中で頑張る過程もしっかり褒めてあげ、親子で目標達成の道のりを楽しんでください。
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