マンション購入後、住宅ローンの支払いと同時に始まるのが維持費の負担。マンションを購入する際、今の家賃と月々の住宅ローンの支払いを比較して「ほぼ同等なので大丈夫!」と、維持費に目を向けないまま判断してしまうと、後になって大誤算となる可能性も……。
そんなことにならないためにも、マンション購入後にかかる維持費を正確に把握しておきましょう。
マンションを所有している限り毎月発生する「管理費」と「維持修繕積立金」
維持費の代表格ともいえるのが「管理費」と「維持修繕積立金」です。管理費は、マンション管理組合の維持運営にかかる費用で、管理会社に支払われる業務委託費用のほか、水道光熱費や保険料に充てられます。
維持修繕積立金は、12年もしくは15年ごとなどに行う大規模修繕や設備の更新などに充てられる費用。ちなみに、管理費と維持修繕積立金は、新築当初はマンション分譲業者により決定されますが、その後は管理組合で変更することもできます。
これらの費用負担は、マンションを所有している限り、毎月発生しますので、購入時はもちろん、購入後も要チェックです。
その他、駐車場を借りるなら、その費用もかかります。仮に、管理費1.5万円、維持修繕積立金1万円、駐車場1.5万円であれば、この合計だけで月額4.5万円、年間で54万円、10年間で540万円の負担に。加えて、町内会費、駐輪場費用、ルーフバルコニーや専用庭の使用料などが発生する場合もあります。
固定資産税や都市計画税も無視できない
また、毎年支払う税金も無視できません。毎年1月1日時点の土地、家屋の所有者には固定資産税が課税され、市街化区域(都市中心部)では合わせて都市計画税も課税されます。
一般に、土地の固定資産税は通常の6分の1程度、都市計画税は通常の3分の1程度など、住宅として使用する土地については低く抑えられています。
一方、家屋(マンション)の固定資産税は、床面積50平方メートル以上280平方メートル以下であるなどの要件を満たすと、新築当初5年度間(認定長期優良住宅は7年度間)、床面積120平方メートルまでの部分の固定資産税は通常の2分の1となります。
言い換えると、新築から6年度目(認定長期優良住宅は8年度目)から固定資産税の負担が約2倍に増えるため、住宅ローンの支払いがギリギリの場合、途中から増える固定資産税が大きな負担と感じられる可能性もあるでしょう。
さらには、火災保険料や地震保険料も。平成27年10月以降、火災保険の保険期間は最長10年となりました(なお、火災保険と合わせて地震保険にも加入できますが、地震保険の保険期間は最長5年)。長期契約を選択すると割引料率が適用されますが、一時的な支出は大きくなります。
年間の維持費は概ね購入価格の1%程度
では、1年あたりの維持費は、いくらくらいかかるのでしょう?もちろん、地域や物件などによりまったく異なりますので、個別に確認することをおすすめしますが、購入前の資金計画に役立てていただくためにひとつの例を表示します。
【維持費(年額)の例】
■管理費・修繕積立金:物件価格×0.5%~0.8%程度
■固定資産税・都市計画税:物件価格の0.5%~0.6%程度(新築当初は軽減措置あり)
■火災保険:物件価格×0.1%程度
■合計:物件価格の1.1%~1.5%(月額換算 物件価格の0.09%~0.125%)
住宅ローンを除き、このくらいの維持費を見込んで資金計画を立てていれば「購入後の資金計画が大誤算」という事態にはなりにくいといえます。
「住宅ローンの金利が低いため、できるだけ多く借りた方が得」という感覚も理解できますが、毎月の支払いが多く、家計が圧迫されると、日々のリフレッシュに充てる資金を確保できないばかりか、将来の教育資金や老後資金の準備に支障をきたす恐れがあります。
毎月かかる維持費も把握したうえで家計を随時見直し、子どもの成長に必要な資金や老後の生活資金を計画的に準備しましょう。
この記事を書いた人
益山真一 (ますやましんいち)
ファイナンシャル・プランナー
「3大資金(住宅・教育・老後)」を効率的に手当てし、ライフプランを実現するための家計管理を提案するファイナンシャル・プランナーとして、セミナー・執筆、相談を展開。仕事の目標は、お客様の「心、体、お金、時間、仕事」のバランスの改善による幸せ実現。セミナーは平成29年5月末時点で累計2,606回を数える。
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