節約してマンションの管理費等をやり繰りしよう(3)確定拠出年金(iDeCo)
国民年金からもらえる老齢基礎年金は、年間約78万円、月額にして約6万5,000円です。ただし、これは加入義務の40年にわたって全部納付した場合で、未加入や滞納期間があれば、その分の年金は支給されません。サラリーマンとして勤務した期間があれば、給与や期間に応じて老齢厚生年金が上乗せで支給されますが、年金に対する不信感も重なって、老後に不安を抱える人は少なくないでしょう(なお、これらの年金額は、毎年の誕生月に送付される「ねんきん定期便」で確認できます)。
そんな中、自身で老後資金を準備する動きは活発化しています。平成29年1月からは、年齢などの要件を満たせば個人型の確定拠出年金(通称iDeCo/イデコ)に加入できるようになり、加入者は急増中です。
今回は、個人型の確定拠出年金の節税効果を中心に解説しましょう。
自己責任の個人型確定拠出年金。節税効果は大!
個人型の確定拠出年金(iDeCo)は、「個人」が老後資金準備のために「拠出」するお金が「確定」している年金制度です。
つまり、毎月積み立てる(拠出する)金額は決まっていますが、将来の年金は運用次第ということ。毎月、積み立てるお金で、預金、保険、投資信託などの購入ができ、うまくいけば増え、失敗すれば少なくなります。
毎月、積み立てるお金は、所得税、住民税の計算上、課税対象となる所得金額から差し引くことができます。
ちょっとわかりにくいと思うので、具体例で考えてみましょう。
・毎月2万円を積立て。所得税率が10%、住民税率10%(課税総所得金額195万円超330万円以下)の場合
節税額:2万円×20%=4,000円(毎月)
年間にして48,000円(4,000円×12か月)
・毎月2万円を積み立て、所得税率が20%、住民税率10%(課税総所得金額330万円超695万円以下)の場合
節税額:2万円×30%=6,000円(毎月)
年間にして72,000円(6,000円×12か月)
年間の節税額をマンションの管理費に置きかえて考えてみると、実にその数か月分に相当します。この節税効果は、制度を利用することで確実に得られる「利益」です。毎月2万円、年間24万円を貯金箱に貯金したり、投資信託で運用したりしても、当然ながらこの「利益」を得ることはできません。
なお、拠出できる金額は、その人の立場により異なります。例えば、勤務先に企業年金がない人は月額2万3,000円まで、公務員や確定給付型の企業年金がある会社に勤務する人は月額1万2,000円まで、国民年金第1号被保険者は月額6万8,000円まで、など。それぞれの限度額の範囲内で、5,000円以上1,000円単位で積み立てることができます。
確定拠出年金で得られた運用益は非課税!受取時の優遇税制もすごい!
そして、確定拠出年金で得られた運用益は、なんと非課税です。通常、預金や投資信託で得られた利益には所得税と住民税を合わせて20.315%の税金がかかりますが、確定拠出年金で生んだ利益には税金がかかりません。
筆者は、個人型確定拠出年金で200万円ほどの利益をあげているため、一般的な投資では約40万円の税金がかかることになります。40万円を管理費に置きなおせば、2~3年分に相当。運用益非課税も大きなメリットに感じませんか?
また、加入期間に応じて、60歳から65歳までの間に受け取り開始できますが、積み立てた年金を受け取る際、まとめて一時金で受け取る場合は「退職所得」扱いとなります。
具体的には、加入期間20年以下の部分は1年あたり40万円、加入期間20年超の部分は1年あたり70万円までは所得税や住民税がかからないのです。
これを金額で見てみると、加入期間が20年の場合は40万円×20年=800万円、加入期間が30年の場合は40万円×20年+70万円×10年=1,500万円まで税金がかからないことに。仮にこの金額を超えた場合でも、超えた部分の2分の1が退職所得となりますので、将来、受け取るときの税負担も軽くなるように配慮されています。
個人型確定拠出年金の節税効果を減らさないためには金融機関選びが重要
個人型の確定拠出年金(iDeCo)を始めるには、この制度を扱う金融機関を選びましょう。現在、多くの銀行や証券会社が取り扱っています。この金融機関選びで重要となるのが、「金融機関に支払う手数料」です。
加入時の手数料のほか毎月の口座管理料、投資信託の場合は運用管理費用(信託報酬)などが発生します。手数料が高いと節税効果が薄まったり消えたりしてしまいますので、金融機関選びは慎重に行いましょう。
また、加入後の多くの手続きは、スマートフォンやパソコン、タブレットなどの端末を利用して行うため、ホームページやサイトの利用しやすさもチェックしてください。
国や会社に任せっきりでは、老後の備えについて心配になるのも仕方のないことかもしれません。確定拠出年金で節税しつつ、老後への「明るい材料作り」に取り組み始めてはいかがでしょうか?
※金融取引は自己責任が原則です。
この記事を書いた人
益山真一
ファイナンシャル・プランナー
「3大資金(住宅・教育・老後)」を効率的に手当てし、ライフプランを実現するための家計管理を提案するファイナンシャル・プランナーとして、セミナー・執筆、相談を展開。仕事の目標は、お客様の「心、体、お金、時間、仕事」のバランスの改善による幸せ実現。セミナーは平成29年8月末時点で累計2,661回を数える。
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