2016年1月下旬、日本銀行がマイナス金利政策の導入を発表した後、超低金利とされていた金利がさらに低下し、住宅ローンの借り換えブームが起きました。
あれから1年半。一時期のブームは過ぎ去りましたが、相変わらず住宅ローンの金利は低金利のため、住宅ローンを利用してマンションを購入したり、住宅ローンを借り換えたりする人が今も少なくありません。
ただ、住宅ローンを検討する際、「金利」が最も重要視されますが、忘れてはいけないことがあります。それは「諸費用」です。金利が低くても、諸費用が高ければ結果的にトータルの支出は増えてしまうことも……。
そこで今回は、住宅ローン利用に伴い発生する諸費用について解説します。
住宅ローン利用に伴い発生する諸費用(1)保証料
住宅ローンの諸費用は、大きく分けて3つあります。
1つ目が「保証料」。これは、顧客の住宅ローンの返済が滞った場合に金融機関が債権を回収するための保険料で、住宅ローン利用者が負担します。なお、多くの住宅ローンは、指定する保証機関の保証を利用することが融資要件となっています。
保証料がかかる場合、金利に含まれる「分割払タイプ」(例:0.2%前後 ※金融機関および審査結果などにより異なる)と、借入額や返済期間などにより異なる「一括払タイプ」(例:借入額の2%前後、金融機関および審査結果などにより異なる)があります。
これら2つのタイプを金額で比べると、分割払よりも一括払タイプの方が少ないため、一見、後者の方がお得に見えますが、返済開始後にインフレになった場合には、一括払タイプよりも分割払いの方が実質的な負担は小さくなります。
また、一括払よりも分割払の方が購入時の諸費用が少ない分、頭金を多く準備でき、分割払の保証料が少なくなるため、一概にどちらが良いとは言い切れません。いずれにしても、住宅ローン利用者にとって負担が軽い方がうれしいコストではあるでしょう。
ちなみに、住宅ローンには、保証料がかからないローンもあります。例えば、住宅金融支援機構の証券化支援事業により提供されている「フラット35」や一部のネット銀行の住宅ローンには保証料がかかりません。
住宅ローン利用に伴い発生する諸費用(2)事務手数料
2つ目が「事務手数料」。これは、金融機関等に対して支払う手数料であり、大きく2つのタイプに分かれます。
借入金額や返済期間にかかわらず、一定額(例:2万1,600円、3万2,400円など)のタイプと、借入金額に対して一定割合(借入金額×2.16%など)がかかるタイプです。一般に、定額タイプの手数料は安く、定率タイプは高めになる傾向にあります。
なお、一般的に定額タイプでは借入金利が高く、定率タイプでは借入金利が低いことが多いため、トータルの支出を比較検討することが重要です。
住宅ローン利用に伴い発生する諸費用(3)団体信用生命保険料
3つ目が「団体信用生命保険料」。住宅ローン利用者が死亡・高度障がいとなった場合の返済に備えるもので、多くの民間金融機関が提供する住宅ローンでは、加入できることが融資要件となっており、コストは顧客負担で借入金利に含まれています。2017年10月1日から「フラット35」でも団体信用生命保険の加入が原則に。
死亡・高度障がいに加えて、「ガンと診断された場合」「3大疾病と診断され、所定の状態となった場合」「要介護状態となった場合」「7(8)大疾病と診断された場合」などにおいて、毎月の返済を保障するタイプや、借入残高全額の返済を保障するタイプなどがあります。なお、コスト(金利負担・保険料)、保障条件や範囲はそれぞれ異なります。
返済シミュレーションなどを利用して、より適切な住宅ローン選びを
その他、住宅ローン利用に伴う諸費用には、住宅ローンの目的となる建物が火災・地震などの損害に備える火災保険や地震保険、住宅ローン利用に伴う抵当権設定登記にかかる登録免許税や司法書士への報酬、住宅ローン(金銭消費貸借契約)の契約書に貼り付ける印紙代、「フラット35」を利用する場合の適合証明書交付手数料などがあげられます。
各金融機関や不動産会社のホームページで提供されている返済シミュレーションなどを利用して、諸費用も含めて比較検討しながらより適切な住宅ローンを選びましょう。
この記事を書いた人
益山真一
ファイナンシャル・プランナー
「3大資金(住宅・教育・老後)」を効率的に手当てし、ライフプランを実現するための家計管理を提案するファイナンシャル・プランナーとして、セミナー・執筆、相談を展開。仕事の目標は、お客様の「心、体、お金、時間、仕事」のバランスの改善による幸せ実現。セミナーは平成29年6月末時点で累計2,622回を数える。
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