住宅ローン返済中の病気に備える!サラリーマンのための健康保険の傷病手当金
渡辺直美さんが出演する某保険会社のCMで、夫役を演じる西島秀俊さんが住宅の売買契約書に印鑑を押すことをためらうシーンがあります。
住宅ローンを組む際、債務者が死亡した場合には団体信用生命保険が助けてくれます。しかし、病気やケガとなった場合には、不安が残る方もいるかと思います。団体信用生命保険には死亡・高度障害となった場合に加えて、3大疾病、7(8)大疾病に備えるタイプもありますが、通常、一定の金利や保険料の負担が発生します。上記のシーンは、住宅ローンを利用しようとする人の心の内をうまく表現しているように思えます。
そんな中、サラリーマンが私傷病(労働者の病気やケガのうち、業務に起因しないもの)で働くことができず給与を受けられない場合、健康保険から給与の代わりに支給される手当てがあるのをご存知でしょうか?それが「傷病手当金」です。
最長1年6か月・給与の3分の2を保障する傷病手当金
健康保険の被保険者が私傷病で働くことができない場合、軽度であれば有給休暇を取得しますよね。有給休暇は当然給与が支給されますので、住宅ローンの返済には影響ありません。
しかし、傷病の程度が重いと、有給休暇を使い果たしてしまう可能性も考えられます。そうなると、給与が支給されなくなることも(会社によっては傷病休暇を取得できる場合もあります)。
このようなときに頼りになるのが、健康保険の「傷病手当金」です。具体的には、私傷病により働くことができず、3日連続して会社に行かず、給与を受けられない場合に支給要件を満たし、休業4日目から最長で1年6か月にわたり支給されます。
支給額は、およそ休業1日あたり給与の3分の2。正確に言うと、「支給開始日以前の12か月の被保険者の標準報酬月額を平均した金額÷30×2/3」です。
例えば、月給平均が36万円である場合、休業1日あたり36万円÷30日×2/3=8,000円、1か月休業すると24万円支給されます。
なお、傷病手当金は非課税です。所得税・住民税がかからないのは助かりますね。ただし、原則としてボーナスは反映されません。
ボーナス返済を利用していないサラリーマンの住宅ローンの返済リスクは小さい
以上の点を踏まえて住宅ローンの返済リスクを整理してみましょう。
・ボーナス返済を利用していない民間サラリーマン
⇒傷病手当金により、ある程度は住宅ローンを手当てできるため、病気やケガをしても家計への影響は小さいと思われます。
・ボーナス返済への依存度が高い民間サラリーマン
⇒傷病手当金だけでは住宅ローンの手当ては難しく、貯蓄の大幅な取崩しや生命保険への加入などを検討する必要性が高そうです。
傷病手当金を正しく理解し、ローン返済者が病気やケガで働けなくなった場合の不足分について、貯蓄の取崩しで対応するのか、または所得補償保険や住宅ローン返済支援保険で手当てするのか検討しておくと良いでしょう。
傷病手当金は国民健康保険では支給されない。自営業者の返済リスクは大きい
なお、気を付けたいのが自営業者です。傷病手当金は、民間サラリーマンが加入する健康保険では支給されますが、多くの自営業者が加入する国民健康保険では支給されません。
つまり、自営業者が病気やケガで働けなくなった場合の住宅ローンの返済リスクは、サラリーマンよりも大きいのです。
自営業者の皆さんが住宅ローンを組む際には、傷病手当金がないことを前提として、ローン返済者が病気やケガで働けなくなった場合の備えについてご家族で話し合うことをおすすめします。
この記事を書いた人
益山真一
ファイナンシャル・プランナー
「3大資金(住宅・教育・老後)」を効率的に手当てし、ライフプランを実現するための家計管理を提案するファイナンシャル・プランナーとして、セミナー・執筆、相談を展開。仕事の目標は、お客様の「心、体、お金、時間、仕事」のバランスの改善による幸せ実現。セミナーは平成29年8月末時点で累計2,661回を数える。
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