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住まいの基本知識

物件の選び方や、住宅ローンの組み方などの住宅購入に関する
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住宅ローンの繰り上げ返済。メリットと気を付けたい落とし穴

マンションを購入する際に住宅ローンを利用すると利息が発生します。例えば3,000万円を借りたとすると、返済額は3,000万円ではありません。そこに「利息」が発生するため、実質的には3,000万円より多く支払うことになります。

 

そこで、なるべく利息を抑えて早く返済してしまおうと考える人が利用するのが「繰り上げ返済」です。

今回は、繰り上げ返済のメリットと気を付けたい落とし穴について解説します。

繰り上げ返済をすれば支払う利息が少なくなる!2つのパターンでシミュレーション!

繰り上げ返済とは、毎月の返済とは別に、借入額の一部(あるいは全額)を返済することをいいます。ちなみに、返済額に利息分も含まれる通常の返済とは違い、繰り上げ返済の場合は、返済分がすべて「元金の返済」に充てられます。

 

予定よりも多く返済することで、残りの「元金」を早めに減らすことができるため、支払う利息が少なくなることが一番のメリットです。

 

この繰り上げ返済、実は「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2種類があるのをご存知でしょうか?

 

・期間短縮型
月々の返済額は今まで通りで、繰り上げ返済の金額に応じて返済期間が短縮されます。元金から繰り上げ返済額を一括で差し引くため、期間が短くなり、支払う利息も少なくなります。

 

・返済額軽減型
借入期間は今まで通りで、月々の返済額が軽減されます。繰り上げ返済額を残りの支払期間で等分して返済するイメージで、毎月の支払いが少なくなるため、月々の出費が増える予定があるときなどに有効ですしかし、同額の繰り上げ返済をした場合、「期間短縮型」の方が利息軽減効果は大きくなります。

 

以上を踏まえ、実際に繰り上げ返済をすると、どのくらい利息が軽減するのかシミュレーションしてみましょう。

 

3,000万円の住宅ローンを期間35年、金利1.5%で借りる場合、毎月の支払いは91,855円で、35年間の総支払利息は8,579,007円。返済開始後5年ごとに5回100万円ずつ(計500万円)繰り上げ返済したとすると……

 

・期間短縮型
期間が35年から29年4か月に短縮され、総支払利息は7,135,901円に。

 

・返済額軽減型
月々の支払額が6年目から88,396円、11年目から84,386円、と繰り上げ返済するごとに減り、26年目以降には64,255円に軽減。総支払利息は7,787,270円に。

 

期間短縮型では、なんと140万円以上も利息が軽減されました。また、期間が短縮されることによって、保証料などが戻ってくるケースもあります。

利息ばかりに気を取られちゃ危ない!繰り上げ返済にも落とし穴がある?

ただし、繰り上げ返済を行う前に、利息以外にも考えるべきポイントがいくつかあります。

 

1.住宅ローン減税
住宅ローンを借りてから10年間は、年末のローン残高の1%が税金から控除されます。例えば2,800万円の住宅ローンが残っていたら、所得税から28万円が控除されることに(所得税から控除しきれない分は住民税から控除。ただし、物件などの条件あり)。住宅ローンの金利が1%以下の場合、「当初10年間は繰り上げ返済をしない」という選択肢も有効なことがあります。

 

2.繰り上げ返済手数料
金融機関によっては、繰り上げ返済に手数料がかかることがあります。たびたび少額を繰り上げ返済していると、手数料がかかって結果的に支払額が増えた、ということにもなりかねません。「インターネットバンキングは無料」という金融機関が多いようですので、繰り上げ返済時は利用すると良いでしょう。

 

3.団信(団体信用生命保険)
住宅ローンを借りるとき、多くの人が団信に加入します。住宅ローンの契約者にもしものことがあった場合、住宅ローン残高はゼロになりますが、見方を変えれば「住宅ローン残高分の生命保険に加入している状態で、住宅ローンを支払っている間は大きな保障が付いている」とも考えられます。あくまで万が一のことがあれば、という話ですが、繰り上げ返済をしてしまうと、家族に残せたはずのお金が無くなることもあります。

 

4.急な出費に対応できなくなる
一度、繰り上げ返済してしまうと、お金が足りなくなったからと言って返金してくれる金融機関はありません。予想外に継続的にお金がかかる状況になる可能性もあるため、ある程度は現金化できる状態でお金を準備しておきたいものです。

落とし穴があることも理解して繰り上げ返済の活用を!

繰り上げ返済のメリットを知れば「なるべく早く、なるべく多くの繰り上げ返済を!」と頑張りたくなるかもしれません。

 

しかし、やみくもに繰り上げ返済することは裏目に出ることもあり、おすすめできません。落とし穴があることも理解した上で、ご検討ください。

この記事を書いた人

佐々木茂樹

ファイナンシャルプランナー

1968年、北海道旭川市生まれ。1986年に旭川北高校を卒業、旭川市内の老舗ホテルに勤務。1988年より道内の郵便局に転職、郵便・貯金・保険業務を経験。在局した17年間のうち10年間保険業務に携わり、その間にAFP、2級FP技能士資格を取得。2006年より、三井住友海上きらめき生命でファイナンシャルコンサルタントとして勤務。2011年、同社を退職し、ファイナンシャルサービス株式会社を設立。

 

■HP: http://financial-service.jp/

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