子育て世代は何かとお金がかかりますよね。住宅ローンの支払いや子どもの教育費など、毎月の固定費は、決して小さい金額ではありません。なかなか思うように貯蓄ができないと、老後のことが不安になってしまうこともあるでしょう
でも、実際のところ老後資金はいくら必要なのでしょうか?一説には数千万円以上ともいわれていますが、本当にそれだけの金額を備えておかなくてはいけないのでしょうか。
今の生活費を確認し、必要な老後資金を計算してみよう!
生命保険文化センターによると、世帯主が60歳以上で、無職である世帯(世帯員が2人以上)の家計では、実収入から非消費支出(税・社会保険料など)を差し引いた可処分所得約18万円に対して消費支出は約24.8万円。つまり、1か月間に約7万円が不足しています。なお、単身世帯では月約4万円の赤字になっているようです。
これらを踏まえて、ある夫婦を例にして考えてみましょう。夫婦は同じ年で、それぞれ日本の平均寿命まで生きると想定します。なお、日本の平均寿命は男性が約81歳、女性は約87歳です。
夫が65歳でリタイヤしたとすると、2人世帯で16年間は月約7万円の赤字となります。その後、夫が平均寿命の81歳で亡くなったとすれば、妻がひとりで生活する6年間は月約4万円の赤字に。すると、合わせて1,632万円の自己資金が必要になる計算です。ただ、もし夫の退職金が1,000万円あれば、自身で用意しておかなくてはいけない金額は約632万円ということになります。
「意外と少ない」と思われかもしれませんが、あくまでこれは平均額の話。一度、自身のライフプランを作ってみることをおすすめします。今の月々の生活費を確認し、老後についても予想しながらプランニングしてみましょう。例えば、子どもが独立したあとは、教育費や服飾費、お小遣いなどは必要なくなり、食費も減ります。また、若いうちに住宅を購入しておけば、老後を迎える前に住宅ローンの支払いが終わっていることも考えられます。しかし反対に、「趣味に没頭したい」「年に数回は夫婦で旅行に行きたい」といった夢がある場合は、その費用を上乗せして老後の生活費を算出してください。
そして、手元に届いている「ねんきん定期便」などで、自身の年金収入も確認しましょう。生活費と収入から、月々どの程度の赤字(もしくは黒字)になるかがわかります。
確定拠出年金も。無理せず老後資金を貯めていく方法
ライフプランを作ってみた結果、赤字が大きいのであれば、若いうちから老後資金を貯めていかなければなりません。現状の定期預金の金利の低さを考えると、預金するだけでなく、貨幣価値の変動に強いといわれる投資や変動金利タイプの保険商品などを検討してみましょう。
また、「確定拠出年金」に加入するのもひとつの方法です。企業型だけでなく個人型年金もあり、平成29年1月からは対象者の範囲が拡大しました。加入者が資産の運用先を指定することができるため、運用次第で受け取れる年金額が変わってきます。
その掛金は給料天引きに対応できるケースも多いため、貯蓄が苦手な人にもおすすめです。確定拠出年金は、税制控除を受けられるのもメリットです。ただし、60歳になるまで解約できないため「必要なときに使えない」ということが起こり得ます。掛金は無理のない程度に設定し、別途現金を用意しておくと良いでしょう。
その他、貯蓄金額をいくらと決めるのではなく、収入に対する割合で考える方法も有効です。
確定拠出年金や投資などを検討し、納得できる老後資金作りを
早くから始めれば、それだけ月々の負担が少なく老後資金を準備することができます。貯める方法はいくつもあり選択が難しいかもしれませんが、複数に分けておくことでリスクが軽減されます。
貯蓄・確定拠出年金・投資・保険などについて複数検討し、納得できる資金作りを行いましょう。
▼参考サイト
生命保険文化センター
http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/oldage/11.html
総務省「家計調査年報」/2015年より
この記事を書いた人
佐々木茂樹
ファイナンシャルプランナー
1968年、北海道旭川市生まれ。1986年に旭川北高校を卒業、旭川市内の老舗ホテルに勤務。1988年より道内の郵便局に転職、郵便・貯金・保険業務を経験。在局した17年間のうち10年間保険業務に携わり、その間にAFP、2級FP技能士資格を取得。2006年より、三井住友海上きらめき生命でファイナンシャルコンサルタントとして勤務。2011年、同社を退職し、ファイナンシャルサービス株式会社を設立。
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