住宅ローン返済後の老後資金準備(2)国民年金基金
住宅ローンの返済が進むにつれて、老後資金の準備は気になるもの。前回は、NISA(少額投資非課税制度)をご紹介しました。
今回は、老後資金準備に活用したい「国民年金基金」について解説します。
国民年金基金は主に自営業のための老後資金準備。サラリーマンは使えない
国民年金基金(以下、基金)とは、国民年金に上乗せする年金制度です。国民年金第1号被保険者(自営業者夫婦、無職、学生など)として保険料を全額納付している人や、60歳以上65歳未満で国民年金に任意加入している人などが利用できます。
なお、国民年金第2号被保険者(会社員、公務員)、第3号被保険者(サラリーマン家庭の専業主婦等)は利用できません。
基金は7種類の年金から自分で選ぶことができます。
・A型 終身年金 65歳から一生(15年保証あり)
・B型 終身年金 65歳から一生(保証期間なし)
・Ⅰ型 確定年金 65歳から15年
・Ⅱ型 確定年金 65歳から10年
・Ⅲ型 確定年金 60歳から15年
・Ⅳ型 確定年金 60歳から10年
・Ⅴ型 確定年金 60歳から5年
1口目は終身年金(A型またはB型)から選択、2口目以降は終身年金または確定年金の中から選ぶことができます。掛金は7種類の年金ごとに違い、さらに性別や加入時年齢によっても異なります。
※参照:掛金月額表 http://www.npfa.or.jp/check/table.html
掛金は全額所得控除でき、節税効果は抜群!
基金を活用する大きなメリットのひとつは、掛金を全額所得控除できること。掛金は月額で6万8,000円まで、年間で81万6,000円までです。
例えば、掛金を毎月5万円(年間60万円)支払う場合。
・所得税率10%(+住民税率10%)の人の節税効果は、毎年12万円、20年で240万円。
・所得税率20%(+住民税率10%)の人の節税効果は、毎年18万円、20年で360万円。
同じく、民間の生命保険会社の個人年金保険の掛金を毎月5万円(年間60万円)支払う場合。
・所得税率10%(+住民税率10%)の人の節税効果は、毎年6,800円、20年で13万6,000円。
・所得税率20%(+住民税率10%)の人の節税効果は、毎年1万800円、20年で21万6,000円。
個人年金保険の所得控除には限度額があるのに対し、基金の所得控除は掛金全額であるため、同じ掛金であれば、基金の方がより多くの節税効果を期待できます。
基金は、他の老後資金準備の補完として活用すると良い
ちなみに、基金の年金額は加入時の利率で固定されます。現在の予定利率は年1.5%。これは、制度創設以来、最も低く、掛金は最も高い水準となっています。
住宅ローンの金利を見てみると、全期間固定金利のフラット35(最頻金利、融資率9割以下、平成29年10月現在)では1.36%。また、平成29年4月以降の生命保険会社の標準利率は0.25%です。
現在の水準で比較すると、基金の予定利率は住宅ローンの借入金利とほぼ同じであり、生命保険会社の利率よりも高いため、決して悪いとはいえません。
「利率が加入時の利率で固定される」「年金の物価スライドがない」といったことにデメリットを感じるのであれば、小規模企業共済(利率は変動)や個人型確定拠出年金(運用実績に応じて受取額が変動)を優先して老後資金を準備し、基金を補完的に活用すると良いでしょう。
基金に加入できる自営業者は、要件を満たせば、小規模企業共済や個人型確定拠出年金(iDeCo)にも加入できますよ。
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住宅ローン返済後の老後資金準備(1)NISA(少額投資非課税制度)
この記事を書いた人
益山真一
ファイナンシャル・プランナー
「3大資金(住宅・教育・老後)」を効率的に手当てし、ライフプランを実現するための家計管理を提案するファイナンシャル・プランナーとして、セミナー・執筆、相談を展開。仕事の目標は、お客様の「心、体、お金、時間、仕事」のバランスの改善による幸せ実現。セミナーは平成29年9月末時点で累計2,675回を数える。
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