「子どものお小遣いって、何歳からいくら渡せば良いの?」
――子育てで直面するひとつの悩みに『お小遣い』があります。お小遣いは、正しい金銭感覚を身に付けさせるための貴重な機会。 そこで今回は、子どもの金銭感覚を育むお小遣いの渡し方についてご紹介します。
3つのお小遣い制度とは?
子どものうちから正しい金銭感覚を身に付けさせておかないと、計画的に貯蓄できなかったり浪費してしまったり、大人になってから金銭トラブル(自己破産など)を起こしてしまう可能性が高まります。
そうならないためにも、お小遣いを通じてお金の使い方や貯め方を学ばせることが必要です。
お小遣いの制度には、以下の3つのパターンがあります。
1.定額制
一定期間に対し、定額のお小遣いを渡す方法です。子どもが小さいうちは「毎月」より「毎週」渡してあげる方が、お小遣いを意識・理解しやすいでしょう。定額制は、計画性を育むのに最も適した渡し方といえます。
2.報酬制
お手伝いに対し、その報酬としてお小遣いを渡す方法です。いわゆる「お駄賃」です。「お手伝いをすればするほど、お小遣いが増える」と労働意欲の醸成にもつながります。しかし、「それやったら、いくらくれるの?」という子どもからの質問にがっかりしてしまうこともあるかもしれません……。しかしそれもまた、お金に対する考え方を話し合う良い機会になりえます。
3.混合型
定額制と報酬制を合わせてお小遣いを渡す方法です。この場合、毎月(もしくは毎週)定額で渡す金額を低めに設定するケースが多いです。
お小遣いスタートのチャンスは「子どもに欲しいモノができたとき」!
お小遣いを始めるタイミングに正解はありませんが、「子どもに欲しいモノができたとき」が始めるチャンスで、足し算と引き算ができるようになってからがひとつの目安として考えると良いでしょう。
「子どものくらしとお金に関する調査」(金融中央広報委員会 2015年度)によると、小学校低学年の72.9%がお小遣いをもらっています。ただし、先に挙げた「定額制」「報酬制」「混合型」を問わない数字であるため、お手伝いに対する「お駄賃」もこの数字には含まれている可能性があります。
定額制の場合、子どもの1か月あたりのお小遣いの中央値は以下のとおりです。
【お小遣い金額の中央値(月1回)】
・小学校低学年:500円
・小学校中学年:500円
・小学校高学年:1,000円
【お小遣い金額の中央値(ときどき)】
・小学校低学年:163円
・小学校中学年:300円
・小学校高学年:500円
報酬制の場合は「お風呂掃除:100円」「ゴミ出し:50円」など、子どもと相談して決めると良いでしょう。
お小遣いを足すのはNG!徹底したいお小遣いのルール
金額や渡す時期以上に気を付けたいのが、「お小遣いのルール」です。お小遣いを活用することで子どもの金銭感覚を育んであげたいのなら、以下のことを徹底してください。
・お小遣いのルール1
子どもにお小遣いを渡す際は、「このお金は、パパやママが一生懸命働いた結果のお金であること」「お小遣いに感謝し、大切に使うこと」を意識的に伝えていきましょう。お金の健全な「使い方」をする意識形成につながります。
・お小遣いのルール2
親が買ってあげるモノと、子どもがお小遣いで買うモノの線引きを明確にしておきましょう。例えば、「学校で使う文房具は親が買う」「おやつやおもちゃはお小遣いで買う」などです。
・お小遣いのルール3
お小遣いを渡し始めたら、同時に「お小遣い帳」を付けさせてください。タブレットやスマホのアプリを活用するのも便利でしょう。常に収支を確認する癖を付けさせておけば、大人になってからも役立ちます。
・お小遣いのルール4
子どものお小遣いの使い方に干渉するのはやめましょう。自主性を育むのも、金銭教育の一つと捉えてください。「お小遣いが足りなくなった」「不必要なモノを買って後悔してしまった」ということがあれば、「なぜそうなったのか?」を子どもと一緒に振り返りましょう。失敗しても責めてはいけません。ただし、足りなくなったからといってお小遣いを足すのはNGです。「お金で困ったら親が何とかしてくれる」という誤ったメッセージを子どもに伝えてしまいます。せっかく失敗を糧にできるときなので、大人も助けてあげたい気持ちをぐっと我慢をしましょう。
お小遣いは、渡し方次第で「生きた教材」となる
お小遣いは、渡し方次第で「生きた教材」となります。大切なのは、ルールを決めたらそれを貫くこと。そして、子どもを信じ、見守ることです。お金について親子で話し合う時間を設けてみませんか?
この記事を書いた人
村田淑子
ファイナンシャルプランナー
外資系保険会社にて保険業務に携わる傍ら、セミナーインストラクターとしてマネープランセミナーや相続セミナーなど多数開催。1927年に発足した、卓越した生命保険と金融サービスの専門家による国際的かつ独立した組織Million Dollar Round Table (MDRT)の会員でもある。プライベートでは、前職時代からフルキャリアながら、幼稚園役員、PTA、子ども会の役員などを14年間歴任。世界遺産検定や語彙力検定、マナープロトコールといった資格も持つ。
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