経団連が発表した大手企業の夏のボーナスの最終集計結果によると、今年の支給額は過去最高となりました。このままいけば、冬のボーナスも期待できるかもしれません。
住宅ローンには、そんなボーナスを見込んだ「ボーナス返済」という仕組みがあります。今回は、この「ボーナス返済」について解説しましょう。
月々の返済額を抑えることができる「ボーナス返済」にはリスクも
住宅ローンは、基本的には決められた返済額を毎月支払っていくものです。ただし、「ボーナス返済」を選択した場合、ボーナス月には月々の返済に「ボーナス返済分」がプラスされることになります
(例)年間の返済額100万円のうち30%(30万円)をボーナス返済とする。
・月々の返済:70万円÷12か月≒58,333円
・ボーナス月(年2回)の返済:208,333円(30万円÷2回+58,333円)
※ボーナス月は、ボーナス返済分(15万円)の負担が増える。
なお、このボーナス返済の額は、住宅ローンを借りる際に自由に設定することできます。ボーナス返済を利用することのメリットは、月々の返済額を抑えることができること。ボーナス返済の金額を多くすればするほど、月々の返済額は少なくなります。
しかし、当然のことながらボーナスは増減するものです。最初の設定でボーナス返済額を多めにしてしまうと、予想していたよりボーナスが少なかった場合、対応しきれなくことも。実際、マイホームを手放した方の中には、月々の支払いには問題がなかったものの、ボーナス返済に足をすくわれてしまったケースもあります。
また、本来なら毎月返済するものを、その予定を遅らせてボーナス月に支払うことになるため、少額ではありますが支払う利息が増えることにもなります。
ボーナス返済の金額別!月々の返済額や利息をシミュレーション
それでは、ボーナス返済の利用で、どのように返済額や利息が変わるのか見てみましょう。
(例)3,000万円の住宅ローン
※金利1.6%、35年、元利金等返済、ボーナス返済2回(6月・12月)、2018年9月1日より返済
(1)ボーナス返済1,500万円
・月々の返済額:46,665円
・ボーナス月の返済額:327,355円(+280,690円)
・利息合計:9,207,884円
(2)ボーナス返済500万円
・月々の返済額:77,776円
・ボーナス月の返済額:171,339円(+93,563円)
・利息合計:9,202,073円
※(1)(2)とも最初のボーナス月(2018年12月)は支払額が少なくなっています。
(3)ボーナス返済0円
・月々の返済額:93,331円
・ボーナス月の返済額:93,331円(+0円)
・利息合計:9,199,268円
(1)と(3)を比較すると、(1)の方が利息を8,616円多く支払うことになりますが、35年で1万円未満の差額ですので、気にならないという方も多いでしょう。
しかし、(1)と(3)では月々の返済額に46,666円の差があり、(2)と(3)でも15,555円の差が生じています。このようにボーナス返済額によっては、月々の返済額は大きく異なります。
将来に向けてライフプランシミュレーションを行い、返済計画を立てよう!
ボーナス返済に頼りすぎるのはリスクですが、ボーナス返済をゼロにすれば月々の支払額が大きくなるのも事実です。筆者としては、ボーナス返済は最小限に留め、月々の返済にマイナスが出た場合にボーナスで補てんするのが良いように思いますが、ご自身のライフプランをよく考えて支払いを選択してほしいと思います。
購入したマンションを手放すことがないよう、将来に向けてライフプランシミュレーションをしっかりと行い、ボーナス返済のメリットやデメリットを理解したうえで住宅ローンの返済計画を立てるようにしましょう。
この記事を書いた人
佐々木茂樹
ファイナンシャルプランナー
1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。
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