消費税増税により、事業者から住宅を購入する場合の消費税の負担が増えました。この負担増を緩和するため、「住宅ローン控除」が拡充されましたが、所得税や個人住民税の納税額が少ない人は、減税の恩恵を十分に受けることができません。
この不公平感をなくすため、一定の要件を満たす人に対し「すまい給付金」が支給されることになりました。今回は「すまい給付金」について解説します。
中古住宅の個人間売買は対象外。「すまい給付金」が支給される要件
まず、「すまい給付金」は、消費税率引き上げにより負担が増える人に限り支給されます。消費税は「事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等」に対して課税されるもの。そのため、中古住宅の個人間売買は、不動産業者が仲介する場合でも「すまい給付金」の対象外。あくまで、事業者から住宅を購入する場合などが対象となります。
そして、事業者から購入する物件が、新築住宅か中古住宅で要件が異なります。住宅ローン利用者(金融機関等からの借入金であり償還期間が5年以上)の場合、新築住宅・中古住宅ともに「床面積50平方メートル以上であること」は共通要件ですが、新築住宅は「施工時の検査により一定の品質が確認されていること」が必要で、中古住宅は「売買時の検査により一定の品質が確認されていること」に加えて「現行の耐震基準に適合すること」などが求められます。
なお、床面積は広告や売買契約書記載の面積ではなく、不動産登記記載の面積で判定。具体的には、戸建住宅では壁芯面積、マンションでは内法面積で判定されます。
これら上記の要件を満たす住宅を、収入が一定以下である者が取得し、不動産登記において所有権の持分を有し、その住宅に居住していることが「すまい給付金」支給の条件です。
つまり、「収入が多い」「登記で所有権の持分を確認できない」「住んでいない」といった場合は、「すまい給付金」は支給されません。
すまい給付金は最大30万円。住民税(都道府県民税の所得割額)で判定
給付金は10万円、20万円、30万円の3段階。給付基礎額は、個人住民税のうち都道府県民税の所得割額を用いて判定されます。所得割額は、毎年5月から6月頃に市区町村が発行する課税証明書で確認しましょう(1月から6月に引き渡しを受ける場合は2年前の収入に係る都道府県民税の所得割額、7月から12月に引き渡しを受ける場合は前年の収入に係る都道府県民税の所得割額で判定されます)。
■収入額の目安
・425万円以下
└都道府県民税の所得割額:6.89万円以下
└給付基礎額:30万円
・425万円超475万円以下
└都道府県民税の所得割額:6.89万円超8.39万円以下
└給付基礎額:20万円
・475万円超510万円以下
└都道府県民税の所得割額:8.39万円超9.38万円以下
└給付基礎額:10万円
※神奈川県は他の都道府県と住民税の税率が異なるため、収入額の目安は同じであるものの、所得割額が上記の表と異なる。
「すまい給付金」で支給される金額は「上記の給付基礎額×持分割合」で求められます。持分割合は不動産登記事項証明書(権利部甲区)で確認を。
「すまい給付金」については不動産業者に聞いてみましょう!
「すまい給付金」の申請は原則、住宅取得者が行います。複数人で持分を有する場合は、それぞれ手続きが必要。なお、住宅事業者などが手続きを代行することもできます。申請期限は、当面の間、住宅の引き渡しを受けてから1年3か月。すまい給付金申請書および確認書類を住まい給付金事務局へ郵送または持参しましょう。
申請書類は「新築か中古か」「住宅ローン有りか無しか」「本人が給付金を受領するか、事業者が代理で受領するか」などにより異なります。ちなみに「すまい給付金」の受領は、申請書類提出から概ね1か月半から2か月程度です。
「すまい給付金」は、住宅ローン控除とは違い、あまり馴染みのない制度です。わからないことがあれば、売主となる不動産業者に尋ねてみましょう!
この記事を書いた人
益山真一
ファイナンシャル・プランナー
「3大資金(住宅・教育・老後)」を効率的に手当てし、ライフプランを実現するための家計管理を提案するファイナンシャル・プランナーとして、セミナー・執筆、相談を展開。仕事の目標は、お客様の「心、体、お金、時間、仕事」のバランスの改善による幸せ実現。セミナーは平成29年2月末時点で累計2,574回を数える。
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