【FP監修】住宅ローンの「変動金利」は危険?意外と知らない2つのルールの落とし穴
住宅ローン返済中に金利上昇の可能性がある「変動金利」は、ずっと金利が変わらない「固定金利」に比べてリスクが指摘されています。
ただ、「変動金利」において金利が上昇する際、2つのルールがあるのをご存知でしょうか?今回は、意外と知らない「変動金利の2つのルール」を解説します。
住宅ローンの「固定金利」と「変動金利」。それぞれの特徴は?
住宅ローンの金利には「固定金利」と「変動金利」の2種類があります。
「固定金利」は、あらかじめ決めた期間の金利が変わりません。その期間は、2年や3年といった「短期」、10年から20年の「長期」、「全期間」とさまざまです。
一方の「変動金利」は、その名の通り、金利が変動。一般的には半年ごとに金利が見直されます。
なお、短期プライムレート(各金融機関によって決定している1年未満の短期貸出の最優遇金利)によって変動する「短期間固定金利」や「変動金利」は、政策金利に影響を受けて決まります。また、「長期間固定金利」は、新発10年国債利回りに連動します。
固定金利、中でも「長期固定金利」のメリットは、決められた期間内での金利の変動がないこと。景気が良くなり金利が上がったとしても支払額が変わらず、資金計画が立てやすいでしょう。
反対に「長期固定金利」のデメリットは、比較的金利が高い傾向にあること。そのため、借入当初の「変動金利」の金利の低さは魅力的に映るかもしれません。現在は、金利が0.5%以下という「変動金利」も多く、「長期固定金利」に比べて借入当初の利息の支払額は圧倒的に少なくなります。
しかし、「変動金利」では金利が大幅にアップするリスクがあるため、家計の状況によっては将来的に支払いが難しくなる可能性を否定できません。
変動金利に存在する「5年ルール」と「125%ルール」の落とし穴
「変動金利には金利が大幅にアップするリスクがある」と前述しましたが、実は2つのルールが存在します。
住宅ローンの返済方法は下記の2種類。
・元利均等返済:毎月の元金+利息の返済額が一定になる返済方法
・元金均等返済:毎月の返済額のうち元金の額が一定。利息により返済額が異なる返済方法
返済額が一定の方が返済計画を立てやすいため、「元利均等返済」を選択するケースがほとんどですが、その場合に「5年ルール」と「125%ルール」という2つのルールが設けられているのです。
まず「5年ルール」とは、金利が上がっても返済額が5年の間は変わらないルール。半年ごとの見直しで金利が上がったとしても、返済額は変わりません。
そして、「125%ルール」とは、返済額の上昇を125%まで抑えるルールです。例えば、返済額が100,000円だった場合、どれだけ金利が上がっても次の返済額は125,000円までに抑えられます。
こう聞くと、「5年ルール」と「125%ルール」は「変動金利」のリスクを軽減してくれるように感じるかもしれません。ただ、そこには落とし穴があります。
「5年ルール」にしても「125%ルール」にしても、急激に返済額が増えることを防ぐ役割を果たしていますが、返済額に占める利息部分が大きくなると、金利の変動率によっては元金をほとんど返済できない恐れがあるのです。そうなると、返済し続けているにもかからず、住宅ローンが減らないという状況になりかねません。
「変動金利」を選ぶなら、もしもの場合に備えて手元の資金を貯蓄しよう!
「変動金利」は金利が低めに設定されているものの、金利が上昇する局面においてリスクを抱えることになるのは紛れもない事実です。とはいえ、ここ数年で金利が跳ね上がる状況は想像しにくいでしょう。
また、金利が上がるということは、景気が良くなっているということ。景気の上昇が収入の増加に結びつくのであれば、リスクを吸収できるため、「変動金利」にしても問題ないでしょう。
そうでなかったり、将来の収支に余裕がなかったりするのであれば、「全期間固定金利」を選択する方が無難といえます。
「変動金利」をはじめ、10年固定金利などの長期間固定金利といった返済途中で金利と支払額が変動する住宅ローンを選ぶなら、もしもの場合に備えて手元の資金を貯蓄していくことをおすすめします。
この記事を書いた人
佐々木茂樹
ファイナンシャルプランナー
1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。■HP:http://financial-service.jp/
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