住宅ローン借り換えにベストなタイミングはある?注意点をFPが解説

マンションを購入する際、住宅ローンを利用する方がほとんどです。そんな住宅ローンの返済中に頭を悩ませることのひとつが「借り換えをすべきかどうか」ということでしょう。
住宅ローンの借り換えにベストなタイミングはあるのでしょうか?今回はFPの視点で住宅ローンの借り換えについてご説明します。

なぜ、わざわざ住宅ローンを借り換えるの?借り換えのメリットは?
以前はマンション購入時に利用した住宅ローンの支払いは、返済が終わるまで続けていくスタイルが一般的でした。しかしながら、昨今は借り換えを検討する家庭が増えてきています。実際、メディアなどでも「住宅ローンの借り換え」について頻繁に取り上げられるようになっていますし、多くの金融機関が住宅ローンの借り換えに対応しています。
住宅ローンを借り換える最大のメリットは、より低い金利の商品を選択できること。より低い金利の住宅ローンを選択することで、総支払い額に大きな差が生じることもあります。
では、金利の違いでどのくらい支払い額に差が出るのか、住宅ローンを組んで11年目以降の金利2%と1.6%のケースで検証してみましょう。
※借入残高2,000万円・元利均等・残り25年・ボーナス払いなし。なお、その後は金利が変わらないと仮定する。
1.11年目以降の金利2%の場合
月々の支払い額:84,770円
総支払い利息額:5,431,142円
2.11年目以降の金利1.6%の場合
月々の支払い額:80,930円
総支払い利息額:4,278,960円
総支払い利息額の差は1,152,182円(5,431,142円-4,278,960円)。0.4%しか金利が変わりませんが、「借入残高が多く残っていること」「残りの期間が長いこと」が影響した結果です。

「住宅ローンを借り換えるベストタイミング」とも言われるが……
上記の例のように「住宅ローン残高が1,000万円以上かつ支払期間が10年以上で金利が1%以上下がる場合」は、総支払い利息額に大きな差が出るため、一般的に借り換えを検討した方が良いと考えられています。
例えば、今から10年以上前に住宅ローンを組んだのであれば、借り換えを前提に他の金融機関の金利などの諸条件を確認してみると良いでしょう。というのも、今から10年前には3%以上の金利の住宅ローンが多かったのですが、今では1%前後が珍しくありません。住宅ローン残高が1,000万円以上あるなら、結果的に支払う利息額が違ってくる可能性があります。
また、住宅ローンの固定期間が終了するタイミングも借り換えを検討するには適しているといえます。なぜなら、金融機関によっては当初数年間を固定期間と定めて「特別金利」を適用し、金利を抑えているところがあるからです。よって、固定期間が終わった時点で「特別金利」の適用も終了し、自動的に金利が上がるケースが少なくありません。
ただし、どちらの場合も「借り換えを行うとメリットが大きい」とは必ずしも限りませんので、注意してください。
借り換えをせずに当初の住宅ローンと付き合っていくのが最善の道!?
他の条件が同じであれば、金利が最も低いタイミングに借り換えをすればメリットが最大になるのは間違いありません。しかしながら、いつ金利が最も低くなるのか、それを見極めるのはかなり難しいことです。
また、借り換えを行うには諸費用がかかります。手数料や保証料だけでなく、登記費用なども再度かかることになり、その総額は数十万円~100万円を超えることも。これらを支払ってでも借り換えにメリットがあるのか、しっかりと計算することが必要です。
そう考えると、できれば借り換えをせずに当初の住宅ローンと付き合っていくのが、手間もかからず最善のようにも思えるかもしれません。借り換えを前提とするのではなく、あくまで最初に住宅ローンを組む際に細かく検討しておくことをおすすめします。
無理なく支払っていけるのかライフプランシミュレーションを通して確認をすることは言うまでもなく、金融機関や金利プランごとに将来の支払額をいくつか試算してみると良いでしょう。
なお、全期間固定金利を選択すると支払う額が一定であるため、将来的なプランニングはしやすくなります。反対に、変動金利や短期間の固定金利プランは将来的に金利が大きく上がる可能性がありますが、そのタイミングで繰り上げ返済を行えるほどの余裕が家計にあるのであれば、それを選択するのも有効でしょう。
家計と相談したうえで返済に無理のない住宅ローンを選ぶのが、住宅購入の鉄則であることは変わりありません。

この記事を書いた人
佐々木茂樹
ファイナンシャルプランナー
1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。
■HP:http://financial-service.jp/
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