資産価値が落ちにくいマンションって?FPが考える条件とは
マイホーム購入を検討するとき、「ずっとここに住み続けたい!」と思える物件を探す方が多いと思います。
しかし「子どもたちが大きくなって親元を離れる」ようなライフイベントなどがきっかけで、将来、マイホームの住み替え・売却をする日が訪れる可能性はゼロではありません。そんな未来に備えて、物件購入の際は「出口」を考えた選び方も意識しておくと良いでしょう。
そこで今回は、資産価値が落ちにくいマイホーム選びについて、FPの視点からご紹介します。
「一戸建て」よりも「マンション」のほうが資産価値は下がりにくい!?
まずは一戸建てとマンションを、固定資産税評価額(※建物部分)の観点から比較してみましょう。
実は一戸建ては、20~25年程度で建物の価値はほとんどなくなるといわれています。その一方、マンションはまだまだ価値があるケースが多くあります。一戸建ての固定資産税評価額が大きく低下していくのに対し、マンションでは長期間経過しても額は一戸建てほど変わらないのです。
【例:新築時に固定資産税評価額が3,000万円・木造・一戸建ての場合】
- 10年後の評価額は1,500万円
- マンションの評価額は2219.1万円
※固定資産税評価額を決める「単位面積当りの価格」が変わらなかった場合(大阪法務局の経年減価補正率表より試算)
経年減価補正率表(大阪法務局)
http://houmukyoku.moj.go.jp/osaka/content/001254336.pdf
上記の理由は、『建物の構造の違い』にあります。多くの世帯が同じ建物に居住するマンションは、一般的な一戸建てに比べて“厳しい建築基準”が定められています。例えば、一戸建ては木造も多いのですが、マンションは頑丈な鉄筋コンクリート造りなどでないといけません。また、マンションは建築後の法定検査なども義務付けられています。そのため、購入から長期間経過しても価値が一戸建てほど変わらないケースがあるのです。
万人受けするマンションは、資産価値が落ちにくい
では、マンションの中でも資産価値が落ちにくいマンションは、どんな物件なのでしょう?
簡単にいうと「時間が経っても多くの人が買いたいと思える物件」です。
人の価値観はそれぞれ異なるものの、万人受けするような「見た目が新しく、生活しやすそうなマンション」は資産価値が比較的落ちにくいといます。
【時間が経っても資産価値が落ちにくいマンションの例】
- 駅・スーパー・学校が近いなど利便性が良い → 都心へ行きやすく、通勤通学に便利な場所は人気が高い
- 信頼できる建築業者が建てている → 時間が経過しても安心の品質
- 使いやすい間取りである → 部屋が多すぎると持て余して、買手が限られる可能性がある
- 管理体制がしっかりしている → 「メンテナンスをマメに行い、資産価値が落ちないように努力をしている」「地震などの災害対策や防犯対策に力を入れている」といったマンションの評価は高い
ポイントは、「20~30年経ったあとでも、このマンションを買いたいかどうか」という視点で見ることです。
過度な住宅ローンを組むと、将来の売却リスクにつながるので注意を
将来マンションを売却する可能性は、決して少なくありません。そのため、マンションの購入を考える際は、「マンションを手放すときに売りやすい物件かどうか」というのもひとつの検討材料になります。
とはいえ、将来の予測は難しいものです。そこで、確実にできる対策のひとつが「無理のない資金計画」を立てることになります。
住宅ローンの組み方次第では、マンションを売却する際に売却価格よりも住宅ローン残高が多くなることがあります。その場合、差額を現金で支払うことになるので、売手に大きな痛手が残ります。つまり、過度な住宅ローンを組むと、将来の売却リスクにつながることを知っておきましょう。
資産価値の落ちにくい物件を選び、適切な資金計画を立てる。こうすれば将来の暮らし方の選択肢が広がり、売却リスクを減らすことができます。
この記事を書いた人
佐々木茂樹
ファイナンシャルプランナー
1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。
■HP:http://financial-service.jp/
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