「去年の夏休み、読書感想文の宿題は大変でしたか?」
小学生の保護者122名を対象にした調査によると、この問いに対して「とても大変だった」「まあ大変だった」と答えた人は7割以上もいたそうです。親たちの間でも「子どもの頃、読書感想文はイヤだった!」という記憶がよみがえり、子どもへ良いアドバイスができずに困ったのかもしれません。
今回は、親子ともに頭を抱えてしまう読書感想文をスムーズに書くコツをご紹介します。
読書感想文の第一歩は本探し!本選びのコツ
作文が嫌いではなかった筆者でさえ、子どもの頃は読書感想文がとても苦手でした。「どの本ならば感想文を書きやすいだろう」と思いながら本を選んでいましたし、本のあらすじとあとがきを組み合わせて無理やり原稿用紙を埋めたこともあります。そもそも「感想なんて一言で終わってしまうのに、それ以外に何を書けばいいのかわからない」という状態でした。今でも、そういう子どもが多いのかもしれません。
第一に大切なのは本選び。偉人伝や戦争ものなど「読書感想文を書きやすそうな本」はたくさんありますが、やはり子ども自身が楽しんで読める本でなければ感情移入もできず、結局「すごいと思った」「可哀想だった」以外の言葉が出てこないものです。
ですので、子どもが興味を持ちそうな本を一緒に探してあげることから始めましょう。例えば、大好きなスポーツや動物を扱った物語や、主人公が子どもと同じ年くらいの本がおすすめです。「子どもが本の内容に共感できるかどうか」をポイントにして選んでみてください。どうしても見つからない場合は、青少年読書感想文全国コンクールの課題図書などに範囲を広げて探してみましょう。
読書感想文を書くには、どう読めばいい?読み方のコツ
そして、読み始める前には以下のような項目を意識してみると良いでしょう。印象に残った箇所に付箋を貼ったり、メモを書きとめたりしながら読み進めると、後から読書感想文を書くときに役立ちます。
・本を手に取ったときの印象は?
・主人公と自分は、どんなところが似ている?
・好きな場面、嫌いな場面はどこ?
・いいな、もしくはイヤだなと思った登場人物の行動は?
・読み終えて、何を一番強く感じたか?
ただ、「読む」「書く」ということ自体が苦手な子どももいます。特に低学年の子どもは、その傾向が強いでしょう。というのも、「聞く」「話す」「読む」「書く」という4技能のうち、「読む」「書く」という能力は「聞く」「話す」の習得の後で磨かれていくものだからです。つまり、読んで書かなくてはいけない読書感想文は、子どもにとって難易度の高い作業なのです。子どもが一人でできない部分については、多少なりとも大人がフォローする必要があると思っていた方が良いかもしれません。
「読む」「書く」が苦手な子どもに対しては、「聞く」「話す」というプロセスに変更すると、スムーズにできることがあります。「この本、おもしろそう?どうしてそう思ったの?」と、親がインタビュアーの役目をしてあげることで、子どもは自分の気持ちに気づきやすくなるのです。子どもが話した言葉の中で感想文につながりそうなものがあれば、「その感想、おもしろいと思うよ!メモしておいたら?」と誘導し、メモ作りを手伝ってあげてください。これを繰り返すことで、子どもは作文の書き方のコツを身につけていくはずです。
読書感想文の書くべきポイントは3つだけ。書き方のコツ
読書感想文には、主に3つの要素があります。「何を書いていいのかわからない」と途方に暮れている子どもには「3つだけ書けばいいんだよ」と言って、安心させてあげましょう。
1.一番印象に残った場面を描写する
2.それを読んで、どう感じたかを表現する
3.似たような経験はあるか、自分だったらどうするかを想像して書く
書きたい内容のメモが集まったとしても、原稿用紙にいきなり書き始めるのは失敗の元です。できれば一度、盛り込みたい内容を全部書き出して、順番を整理した方が良いでしょう。「はじめ」「なか」「まとめ」の3部構成に分けて並べ替えると、読書感想文の完成にグッと近づきます。最後は何度も読み返して、全体がスムーズな流れになるように練っていきましょう。
・はじめ:本の最初の印象、大まかなあらすじを書きます。
・なか:本を読んで一番印象に残った部分を書きましょう。何が起こったのか、それについてどう感じたのかなど、自分の過去の経験に置き換えても良いですし、自分が本の登場人物になったところを想像して書いてもOKです。
・まとめ:最後は、本の内容と今の自分をリンクさせる作業をしましょう。登場人物の行動で真似したいところや、本を読んで知ったこと・感じたことの今後の活かし方などでまとめられたら理想的です。
読書感想文は、時間をかけて取り組めば完成度が変わる!
青少年読書感想文全国コンクールの上位入賞者の多くは、受賞後のインタビューによると「1週間以上じっくり時間をかけて親子で話し合い、構成を練り、作文完成後も繰り返し見直した」そうです。このことからもわかるように、小学生の読書感想文は「短期間に」「子ども任せで」仕上げようとすると、やはり良いものはできにくいのでしょう。
「何をどう書いていいのかわからない」という子どもに対しては、「確かに難しいね」と気持ちに寄り添った上で、本の内容を一緒に話すことから始めてください。何気ない親子の会話の中から、読書感想文のキーワードがきっと見つかるはずです。今からでも早すぎることはありませんので、まずは親子で読書感想文を書きたいと思えるような本を探してみましょう。親子の共同作業を楽しめれば、きっと今年の読書感想文の完成度が変わってきますよ。
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