食中毒は、年間を通して発生する病気です。身近な病気ではありますが、子どもは抵抗力が弱く、重症化する恐れがあるため、警戒しなければなりません。
今回は、食中毒の原因と予防のポイントをご紹介します。
食中毒とは?引き起こす原因
食中毒とは、原因となる細菌やウィルス、有毒な物質が付いた食べ物を食べることによって、下痢・発熱・腹痛などの症状が出る病気です。原因により症状や発症するまでの時間はさまざまですが、時には命に関わることも。軽視してはいけません。
食中毒を起こす原因を見ていきましょう。
・サルモネラ属菌
十分に加熱していない卵・肉・魚などに付着した細菌。調理者の手を通し、加熱後の料理に付着することもあります。生卵、オムレツ、牛肉のたたき、レバ刺しなどに特に注意しましょう。食後6〜48時間後に発症し、全快にはおよそ5日かかります。
・黄色ブドウ球菌
指の傷やニキビなどから食べ物に付着することが多く、おにぎり、お弁当、巻き寿司、調理パンなどを食べる際に注意を要します。潜伏時間は短く、食後3時間ほどで発症、2〜3日ほどで回復します。
・カンピロバクター(細菌)
十分に加熱されていない鶏肉、井戸水、生野菜などに見られる菌。十分に火が通っていない焼き鳥、十分に洗っていない野菜、井戸水などを口にした後、2〜7日で発症します。1週間以内で治癒するケースがほとんどです。
・腸管出血性大腸菌
毒性の強い大腸菌で、代表的なものはO157です。レバ刺し、ハンバーグ、牛肉のたたき、ローストビーフなどが原因となることがあります。激しい腹痛や下痢などを引き起こし、子どもや高齢者は重症化に注意です。潜伏期間が3〜9日間と長いのも特徴です。
・腸炎ビブリオ
主に魚介類やその調理食品から感染する、夏の食中毒に多い原因菌です。この菌の増殖には2〜3%の塩が必要で、夏場に魚に塩をまぶしたまま、まな板の上で放置するなどの行為はとても危険。食後5〜40時間で発症して、3日以内に快方に向かうケースが多いようです。
・ノロウィルス
カキ、アサリ、シジミなどの二枚貝を十分に加熱しない状態で食べた場合、食中毒の原因となるウィルスです。便や嘔吐物から二次感染の恐れがあるので、お世話をする家族も要注意。潜伏期間は2〜4日、通常3日ほどで回復します。
※参照:https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kodomo_navi/featured/afp1.html
なお、農林水産省が令和4年に発表したデータによると、食中毒の原因が細菌によるものは全体の36.0%、ウィルスによるものは17.5%、寄生虫によるものは36.3%、キノコやフグなどの自然毒は6.6%となっています。
※参照:https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/statistics.html
ウィルスによる食中毒は12〜3月頃、アニサキスなどの寄生虫による食中毒は季節を通して発生しますが、細菌による食中毒が多く発生するのは6月〜9月頃です。これは「高温多湿で細菌の増殖が盛んであること」「冷たいものが美味しく感じられる季節のため、生物を食べる機会が増えること」「暑さで体調を崩して、抵抗力が衰えがちとなること」など、いくつかの要因が重なるためと考えられます。
夏場は、食品の取り扱いに普段以上に注意するようにしましょう。
家庭でできる食中毒の予防策
食中毒は、ほんの少しの注意で予防できる病気でもあります。対策を考えてみましょう。
【購入】
・肉や野菜、魚を買うときは新鮮なものを選ぶようにしましょう。消費期限や賞味期限などの表示がある場合は、それらを確認することが大切です。
・購入した食品は肉汁や魚などの水分がもれないようにビニール袋などでそれぞれ分けて包んで持ち帰りましょう。
・購入後は寄り道せずに帰りましょう。
【保存】
・保冷が必要な食品は、持ち帰ったらすぐに冷蔵庫・冷凍庫に入れてください。冷蔵庫は詰めすぎると冷えなくなるので、中身は7割程度に抑えましょう。
【下準備】
・石鹸を使った手洗いは、食中毒予防にとても効果的。動物を触った後や、トイレに行った後はもちろん、生肉や生魚、卵などを触った後はこまめに手を洗いましょう。
・タオルや布巾も、こまめに交換して清潔に保ちましょう。
【調理】
・包丁やまな板を、肉用・魚用・野菜用と分けると安心です。もしくは肉や魚を切り終えた後、その都度洗い、さらに熱湯をかけるという方法でも良いでしょう。
・凍った食品を室温で解凍することはやめましょう。電子レンジなどを使い、素早く解凍、調理を行なってください。
・加熱して食べる物は、しっかり中まで火を通し、食中毒を起こす細菌やウィルスをやっつけましょう。目安は中心部の温度が75℃で1分間以上の加熱です。
【食事】
・食事の前には石鹸で手を洗いましょう。清潔な手、清潔な食器、清潔なカトラリーで食べることは食中毒予防の基本です。
・温かい料理は65℃以上、冷たい料理は10℃以下で保存し、食卓に載せたら素早く食べましょう。
・残った料理を室温で放置すると、細菌が増殖して食中毒のリスクが上がります。例えばO157は、室温の中で15〜20分放置するだけで2倍にも増殖します。
【保管】
・調理後の食品は、室内で長く放置せず、食べない分は早く冷蔵・冷凍しましょう。残った食品を扱う前の手洗いも忘れずに。
・清潔な容器や皿に移して保存しましょう。料理が早く冷めるように、底の浅い器の利用がおすすめです。
・残った食品を温めて食べるときも、もう一度中まで火が通っているか確認しましょう。電子レンジなど使用する際は、時折混ぜて、むらなく全体を温めてください。
・食中毒菌は味も匂いも変わりません。そのため、匂わないから大丈夫と思うのはNG。時間が立った食品は、思い切って捨てましょう。
食中毒予防の基本は、原因菌を「付けない」「増やさない」「やっつける」
食中毒は、日頃の心がけで予防できるものです。購入、保存、下準備、調理、食事、保管、それぞれのタイミングで、原因菌を「付けない」「増やさない」「やっつける」という3つを意識しましょう。
また、手洗いは非常に効果的な予防策です。調理の前や途中、そして食事の前など、こまめに石鹸を使って手を洗い、健康的で楽しい夏を過ごしてくださいね。
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