【FP監修】さらに物価上昇も?物価高対策で住宅ローンを借り換える際の注意点
さまざまなモノの値段が上がり、家計が苦しくなったと実感している人は少なくないかもしれません。さらに物価が上昇する可能性も指摘されている中、固定費の見直しのため、住宅ローンの借り換えを検討する人が増えているようです。
今回は、住宅ローンを借り換える際の注意点を解説します。
固定費の見直しに住宅ローンの借り換えは有効?
多くの家庭にとって「固定費の見直しに住宅ローンの借り換えは有効」といえるでしょう。一般的に「住宅ローンの残高1,000万円以上、残返済期間10年以上、金利1.0%以上」で借入しているケースでは、借り換えにメリットがある可能性があります。
現在はキャンペーンなどで通常よりも金利を下げた変動金利の住宅ローンを提供している金融機関もあるので、借入中の金利が1.0%より少し低い場合などでもメリットが出るかもしれません。
ただし、住宅ローンの借り換え時には、借り換え先の住宅ローン手数料の他にも、借り換え元の全額返済手数料や、抵当権設定費用などがかかることを覚えておきましょう。諸費用も含めて借り換えると、増えた借入分の金利は増加します。
これらを踏まえ、下記のケースで試算してみました。
・現在:住宅ローンの残高2,000万円、残返済期間15年、金利1.0% ※元利均等返済
↓
・借り換え:2,070万円、金利0.4%
※借り換え額には「住宅ローン手数料借入額の2.2%(455,400円)、抵当権設定費用180,000円、住宅ローン全額返済手数料33,000円、電子契約手数料5,500円」を含む。
・借り換えしない場合の総返済額=21,545,718円 月の返済額=119,698円
・借り換えをした場合の総返済額=21,330,567円 月の返済額=118,503円
メリットは約215,000円で、返済額が月々約1,200円減少する試算結果となりました。
金額的には「大きなメリット」とは言い難いかもしれませんが、住宅ローンの返済を始めてから早い段階で借り換えを検討することで、より多くのメリットを得られるでしょう。
なお、変動金利の場合は今後金利が上昇する恐れがあります。固定金利から変動金利に借り換えする際は、リスクがあることを考慮したうえで検討しましょう。
また、住宅ローンの借り換えで「残り10年11か月」といったように1年未満の端数の期間が出る場合、一般的には端数期間を切り捨てた期間での借り換えとなります(この場合、返済期間は10年となります)。
期間が短くなることにより総返済額は少なくなりますが、月々の負担が大きくなり返済額が減らないケースも出てきます。物価上昇のために月々の支払いを抑えたい場合には、ご注意ください。
住宅ローンの借り換え以外に固定費を見直す方法は?
住宅ローンの借り換え以外にも、固定費を見直す方法はあります。まず、インターネットやスマートフォンの契約内容を確認してみましょう。
使っていないサービスの料金を支払っているケースが意外と多いようです。例えば、メールと通話以外はほとんど利用しないのに、データ無制限の契約をしていた方がいらっしゃいました。携帯会社の窓口で料金の相談をしてみることをおすすめします。格安スマホ(SIM)に変更するのも良いでしょう。
また、電気やガスもさらに値上がりするかもしれません。電気は契約アンペア数を小さくすることで基本料を抑えることができます。ご利用中の電気会社に確認してみてください。
住宅ローンの借り換え時には「団信」に注目!返済額と保険料のダブル削減も!
住宅ローンを借り換えする際に考えていただきたいのが「団信(団体信用生命保険)」の補償内容です。一般団信は、住宅ローンを借りているときに死亡、もしくは高度障害などの状況になった場合、住宅ローンの残高をゼロにするという生命保険です。今は、さまざまな補償内容が選べる住宅ローンがたくさん登場しています。「がんと診断された」「就業不能期間が60日以上になった」場合に補償される団信もあり、かなり補償が手厚いです。
そして、団信の補償内容が変わる場合には、加入されている生命保険の見直しを行いましょう。団信の補償が厚くなれば、加入中の保険の解約や、保険金を小さくすることで毎月の保険料を抑えることができます。「返済額と保険料のダブル削減」が目指せるでしょう。
なお、保険は医療の進歩などにあわせて、内容が変化していきます。保証内容が充実したにもかかわらず、保険料が安くなることも少なくありません。ライフプランシミュレーションを通して必要保障額を確認し、一定期間ごとに見直すことをおすすめします。
この記事を書いた人
佐々木茂樹
ファイナンシャルプランナー
1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。■HP:http://financial-service.jp/
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