【FP監修】住宅ローンの返済が厳しいなら「リスケ」もあり?メリットやデメリット、流れを解説!
さまざまなモノが値上がりし、家計が苦しくなっている今、病気やケガで収入が減ったり、業績不振でボーナスが減額されたりすれば、住宅ローンの返済が厳しくなってしまうこともあるかもしれません。そんなときは金融機関に対して、住宅ローンの返済計画の見直し(リスケ) を相談するようにしてみましょう。
今回は、リスケの概要をはじめ、メリットやデメリットを解説します。
住宅ローンにおける「リスケ」とは?3つの方法
住宅ローンにおける「リスケ(リスケジュール)」とは、一時的に住宅ローン返済の負担を減らすための返済計画の見直しです。
リスケには「返済期間の延長」「元金返済据え置き」「返済条件の変更」があります。
- 返済期間の延長
決まっていた返済期限を延長することにより、月々の負担を少なくする方法。ただし、金融機関によっては年齢や期間の上限があるため、認められないことも。
- 元金返済据え置き
一定期間、利息のみの支払いとして月々の返済額を抑える方法。半年から1年間の猶予が認められることが多いが、金融機関により猶予期間に相違あり。
- 返済条件の変更
ボーナス払い・月払いの金額の見直しを行う方法。
リスケを行うには金融機関に早めに相談を!
リスケを行うには、支払いが滞る前に早めに金融機関に相談しましょう。リスケは、金融機関に認められないと手続きを行うことができません。
ただ、新型コロナウイルスが流行して以来、金融庁から金融機関へ「十分な期間の元本据え置きなど、顧客のニーズに応じた条件変更の速やかな実施や、 条件変更時の手数料の無料化といった支援を積極的に行っていただくよう」という要請があったので、リスケの対応を前向きに検討してくれることでしょう。
※参考:https://www.fsa.go.jp/ordinary/coronavirus202001/06.pdf
なお、リスケにいたるまでには、以下の資料が金融機関の担当者と面談などで求められます。
・返済計画の変更が必要な理由(コロナなどによる収入減少など)
・現在の返済状況や家計の状況(節約が必要な部分や、節約をしても現時点で支払いが難しいことの確認など)
※例えば、「車2台はいらないのではないか」「子どもの習い事は減らせないのか」など、住宅ローン以外の部分を節約し、リスケをしなくても住宅ローンの支払いができる可能性を探ります。
・返済条件を変更することにより、その後は返済が可能になるという根拠(「収入の減少は一時的なもので、その後は収入が増える」「教育資金がいらなくなることで家計が黒字になる」など)
金融庁からの要請がある状況とはいえ、「とりあえず収入が減って住宅ローンを支払えないからリスケをお願いしたいが、住宅ローン以外の家計の見直しはしない」ということでは、リスケには応じてもらえない可能性があるのです。
つまり、「いろいろ模索したけれど、一時的に住宅ローンを支払えない」という証明が必要になります。もちろん、リスケをお願いしているときに他のローンを組むことは基本的にはできません。
リスケのメリットとデメリット
リスケを行うメリットは「一時的な問題でマイホームを手放さずに済む」ということです。リスケによってひとまずはお金の深刻な悩みから解放されますので、精神的にも安心できるでしょう。あくまで一時的な措置になるので、決まった期間に将来的な住宅ローン返済の目途をつけておきたいところです。
一方でリスケのデメリットは、お金に関する信用が下がることでしょう。一度リスケを行うと、リスケ期間が終わっても他の新規ローンなどを組むことが難しくなるケースがほとんどです。例えば、「今の住宅ローンより条件の良い住宅ローンへの借換えをしたい」と思っても、リスケをしたあとではかなり厳しいでしょう。
また、リスケを行えばある一定期間の支払いは少なくなりますが、期間終了後は少なくした分を上乗せするために返済額が増えたり、期間を延ばすことで支払う利息が増えたりします。ご注意ください。
リスケを回避するためにも、住宅購入前にはライフプランニングを実施しよう!
リスケには一時期だけを乗り切れるメリットがありますが、将来的な住宅ローンの支払いの見通しが立っていない場合にはおすすめできません。
なぜなら、リスケ後に「住宅ローンの支払いを結局続けられない」となった場合、どんどん追い詰められ、抵当権の実行により家を競売にかけられてしまうといった悪い結果も考えられるからです。競売だと通常の売買より低い金額になることが一般的なため、「家がなくなったあげく住宅ローンも残ってしまう」という可能性も大きくなります。
もし住宅ローンの支払いが長期的に難しいのであれば、他の方法も考えるようにしましょう。例えば、任意売却でより高く家を売却し、住宅ローンの残債を少なくできれば、その後の生活の立て直しは楽になるはずです。また、早めに法的整理などを行うことを検討してみても良いかもしれません。
※参考:https://www.fsa.go.jp/ordinary/coronavirus202001/DGL.pdf
家計の変化にも対応できるよう、しっかりとライフプランニングを実施したうえで住宅を購入し、リスケなどを検討しなければならない状況を回避するのが理想です。
この記事を書いた人
佐々木茂樹
ファイナンシャルプランナー
1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。■HP:http://financial-service.jp/
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