2023年4月1日より、すべての自転車利用者に対してヘルメットの着用が努力義務となりました。これまでも13歳未満の子どもに対して保護者がヘルメットを着用させることは努力義務の対象でしたが、4月以降は、大人も含めたすべての自転車利用者にその範囲が広がっています。
今回のヘルメット着用努力義務化を機に、改めてヘルメットの必要性や選び方を見ていきましょう。
自転車のヘルメットはどうして必要なの?
そもそも自転車に乗る際、なぜヘルメットは必要なのでしょうか。
自転車事故で全体の半数近くを占めるのは、出合い頭の衝突です。細い路地や見通しが悪い交差点で、車・自転車・歩行者などと衝突した場合、車のボンネットやフロントガラスへぶつかることもありますが、跳ね飛ばされて地面にたたきつけられることもあります。
さらに警視庁が発表した数字によると、自転車死亡事故を起こした際に損傷する部分は、頭部が64.5%という圧倒的数字で第1位となっています。
・1位:頭部 64.5%
・2位:胸部 17.7%
・3位:腰部 5.7%
※参考:https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/bicycle/menu/helmet.html
一口に「頭部損傷」と言っても、頭がい骨骨折、脳挫傷、脳内血腫、さらに頭蓋骨とその内側にある硬膜の間に血がたまる硬膜外血腫など、さまざまな恐ろしい状況が想定されます。いずれにしても脳には生命維持に必要な中枢があるため、損傷部分によっては言語障害や麻痺などの後遺症が残ってしまう可能性があり、その場合、日常生活の質の大幅な低下は避けられません。
ヘルメットを着用していない場合の致死率は、着用している場合と比較すると、約2.3倍という数字も報告されています。自転車事故の際、まず守るべきは頭部であり、そのためにはヘルメットは非常に役に立つものであるということがわかります。
子どもの自転車用ヘルメットを選ぶための7つのポイント
ただ自転車用ヘルメットは、どんなものでも良いというわけではありません。子どもが自転車に乗る際に使用するヘルメットの選び方のポイントをご紹介します。
1.頭にジャストサイズかどうか
最も大切なのは、子どもの頭のサイズにヘルメットが合っているということです。大きすぎるとずれてしまいますし、小さすぎると頭の露出部分が多くなってしまい、万が一のときに頭を守ってくれません。子どもはすぐに成長するため、洋服などでは大きめサイズを選ぶこともありますが、ヘルメットのサイズはぴったりの大きさを選ぶことが重要です。
そのため、購入の際は店頭で実際にかぶって選ぶのがベスト。ネット上で購入する場合でも、メジャーできっちり頭の大きさを測定してから決定しましょう。
測定は、耳のすぐ上のラインで、頭の外周が最も大きい部分を図ります。頭の大きさには個人差があるため、対象年齢だけを見て選ぶのはNG。実測が必須です。
2.安全性が高い
ヘルメットが衝撃に強い構造・形状になっているか確認しましょう。後頭部まで広く覆う形状をしているものは、事故のときも頭をしっかり守ってくれます。さらに夕方以降に自転車に乗る可能性がある場合は「反射板などが付いているヘルメット」や「明るく目立つカラーのヘルメット」が良いでしょう。
日本国内で売られている多くのヘルメットには「SG(Safe Goods)マーク」のシールが貼られています。これは衝撃吸収実験やあごひもの性能など、厳しい基準をクリアした証。製品の欠陥により人身事故が起きた場合は、1億円を限度とする対人賠償保険がついているため、購入の際は必ずSGマークが入っているか確認してください。
なお、海外製のものであれば、マークが変わります。アメリカならばCPSC、EU加盟国ならばCEといったマークが入っていますので、チェックしましょう。
3.アジャスター機能がある
子どもは、身長はもちろん、頭のサイズもすぐに大きくなります。そんなときに重宝するのが、大きさを調節できるアジャスターです。アジャスターを使えば5cmくらいの範囲内で調整ができますので、一度買ったヘルメットを使える期間が、アジャスターがない場合よりも随分長くなります。
もちろん保護者は、子どものヘルメット着用時にアジャスターを使って、大きさをこまめに合わせてあげることが重要です。
4.かぶったときに痛くない
ヘルメットをかぶった際、どこか一部が当たって痛くないかもチェックしてください。フィットしていないヘルメットを長時間かぶっていると頭が痛くなり、運転に集中できない可能性もあります。
ヘルメットは製品によって内側の形が微妙に違うため、サイズと同じく形にも気を配りましょう。合うものがない場合は、さまざまな製品を試すようにしてみてください。
5.通気性が良い
自転車を運転していると、汗をかきます。通気口が確保され、適切に内部の熱を外に逃してくれるものを選びましょう。
子どもの頭は蒸れやすいので、きちんと通気性の良いものを選ばないと、特に夏などは熱中症の危険性も高まり、別の意味で危険。暑すぎで脱ぎたくなるものでは、意味がなくなってしまいます。
6.軽量設計で頭に負担をかけない
子ども用の自転車ヘルメットは基本的に軽量設計ですが、未就学児の子どもには特に軽いものが適しています。自転車に乗ると振動があるため、単にかぶるよりも頭に負担がかかりがち。年齢や頭の大きさにもよりますが、300g以下を目安に選ぶと良いでしょう。
7.子どもが気にいるデザイン
ヘルメットは、必要性を理解できない小さい子どもにとっては邪魔なものかもしれません。子どもと一緒に選んで、自分からかぶりたいと思わせるようなデザインを選びましょう。小さい子ども用ヘルメットにはキャラクターものも多いので、そういったものを選ぶのもおすすめです。
努力義務はあるべき姿。子ども用自転車のヘルメットは必須アイテム!
努力義務とは「必ず行わなければならない」ではなく、「〜するように努めなければならない」という曖昧なもので、違反しても具体的な罰則はありません。ただそれは、違反しても構わないという意味ではなく、あるべき姿を示しているものととらえることが必要です。
もちろんヘルメット着用と同時に、交通ルールの再確認も忘れてはいけません。「信号無視をしない」「交差点では一時停止をして左右を確認する」「ながら運転や無灯火運転はしない」など、少し気をつけるだけで、事故の発生率を大幅に減らすことができます。
子どもの自転車用ヘルメットを正しく選んで着用させることと、プラス交通安全教育で、恐ろしい事故を未然に防ぎましょう。
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