自転車事故で多額の賠償金も!?子どもの自転車保険の必要性と選び方
子どもが自転車に乗れるようになると、行動範囲が広がって楽しみが増える反面、事故に遭わないか心配なもの。万が一、事故が起きた場合、被害者になることもありますが、加害者になる可能性もあります。そして、もし加害者となった場合、たとえ運転しているのが子どもであっても、高額の賠償金は免れません。
今回は、自転車保険の必要性と、加入する場合の選び方をご紹介します。
子どもの自転車保険は必要なの?
まずは実際にあった判例を参考にして、自転車保険が必要なのかどうかを考えてみましょう。
【判例1(2005年)】
男子高校生が、早朝に赤信号で交差点の横断歩道を走行中、出勤途中の62歳の男性が運転するオートバイと衝突。男性は頭蓋内損傷で13日後に死亡。賠償額4,043万円。
【判例2(2005年)】
女子高校生が、夜間に携帯電話を操作しながら無灯火で走行中、前方を歩行中の57歳の女性と衝突。女性には手足がしびれる重大な障害が残った。賠償額5,000万円。
【判例3(2013年)】
小学校5年生の男子が、夜間帰宅途中に自転車で坂道を走り降りた先で、歩行中の62歳の女性と正面衝突。女性は頭蓋骨骨折などの損傷を負い、意識が戻らない状態となった。賠償額9,521万円。
このように自転車事故の賠償金は数千万から1億円近くになることがあります。さらに未成年が事故を起こした場合、監督義務を果たしていないことを理由に、保護者に賠償金支払い命令が出されることもあるのです。その結果、最終的に自己破産にまで追い込まれるケースも。このような事態を避けるためにも、子どもが自転車に乗り始めたら、自転車保険の加入検討をおすすめします。
また、近年このような判例の影響もあり、「被害者の保護」と「加害者の経済的負担軽減」という両側面から、自転車保険の加入を義務化している自治体も増えてきています。お住まいの地域で自転車保険が義務化されているかどうか、今一度、確認してみましょう。
自転車保険とは?
自転車保険とは、自転車に乗っている間に発生した損害を保証する保険です。保険会社やプランによって補償内容は変わりますが、保険内容は「傷害保険」と「個人賠償責任保険」に分けられます。
・傷害保険
自転車事故で自分がケガや後遺障害を負ったり、死亡したりした場合に適用される保険のことです。傷害保険は自転車のケガだけに限らず、例えばスキー中のケガや、自宅で階段から落ちたケガなども補償の対象となります。
・個人賠償責任保険
自転車で事故を起こし、相手にケガをさせてしまった、あるいは死亡させてしまった場合や、自転車で歩行者にぶつかって歩行者の荷物を壊した場合など、第三者である他人の「身体」や「財物」に対して損害を与えた場合が対象となる保険です。
なお、自治体で定められる「自転車保険の義務化」は、主に個人賠償責任保険が対象です。個人賠償責任保険はクレジットカードに付帯しているケースがあり、自治体によってはそちらでも義務を果たしたと見なされます。
ただ、このことから「自転車保険は、クレジットカード付帯保険で十分」という意見もありますが、個人賠償責任保険では、こちら側のケガが補償されません。自分のケガへの備えも必要と考えるのであれば、保険内容を確認した上で備えることが大切です。
子どもの自転車保険を選ぶ4つのポイント
子どもの自転車保険を選ぶ際は、以下の点をチェックしましょう。
1.補償内容
個人賠償責任補償は、数千万円程度では十分といえません。過去の判例から考えて補償額は1億円程度が望ましく、「無制限」のものが最も安心です。
2.保険料
保険料は、個人向けプランと家族向けプランによって異なります。家族向けプランは「家族の人数が何人でも保険料が一定」なので、それぞれが個人向けプランで加入するよりも保険料がリーズナブルになることも。家族内で自転車に乗る人数を考慮してプランを選ぶと良いでしょう。ちなみに、個人向けプランは年3,000円~1万円程度、家族向けプランだと5,000円~数万円程度が目安です。
3.示談代行サービスがついているか
加害者側になると相手に対して損害賠償責任が生じ、示談交渉も自分で行うことになります。自転車事故を起こしてしまった後は、冷静な判断をすることが難しく精神的にも肉体的にも大変疲弊するため、示談代行サービスが補償内容に組み込まれているものを選びましょう。
4.既契約保険と補償が重複していないか
傷害保険と個人賠償責任保険は、すでに加入済みの自動車保険や火災保険の特約、クレジットカードなどの付帯サービスやオプションで付けている可能性があります。重複して加入していると、その分の保険料が無駄になってしまうことに。加入している保険を見直してみましょう。
事故を起こしてから「自転車保険を契約しておけば良かった」と後悔しても遅い
子どもは判断力が未熟であるため、ほんの少しの操作ミスやよそ見などから自転車事故を発生させてしまうことがあります。たとえ子どもでも、死亡事故や後遺障害が残る場合では1億円近くの支払い命令が出されることもあり、これは保険に加入していなければ支払える金額ではありません。
自転車事故を起こしてから「自転車保険を契約しておけば良かった」と後悔しても遅いのです。子どもが自転車に乗って一人ででかけるようになったら、家族でしっかり自転車保険の必要性について話し合うようにしましょう。
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