土地や家屋などの不動産に課せられる「固定資産税」。新築住宅にかかる固定資産税減税については3月31日までを期限として減税措置がとられていましたが、さらに2年間延長されることになりました(適用期限:令和8年3月31日)。
そこで今回は、固定資産税の軽減措置の内容について解説します。
固定資産税とは?軽減措置が延長されたワケ
固定資産とは、個人の住宅・住宅地、畑・山林などのほか、会社で所有しているお店・工場・車両などのことを指します。固定資産税とは、これらの固定資産にかかる税金で、固定資産がある市町村に納める地方税のひとつです。
1月1日時点の固定資産の所有者に納税義務があり、一般的には4月~5月に市町村から納税通知書が届きます。税額は「固定資産課税標準額×税率1.4%」で計算し、1年分を4回に分けて納付できるようになっています(一括納付も可能)。
ちなみに固定資産課税標準額は、納税通知書に記載されており、以下の方法で計算されています。
・宅地→地価公示価格などの7割を目途に評価(平成6年度評価替から導入)
・住宅→再建築価格(新築時に必要とされる建築費)×経年減点補正率(年数の経過に応じて生じる減価を定めた率)で算定
なお、住宅用地であれば課税標準額を3分の1に減額、特に200平方メートル以下の部分(小規模住宅用地)の場合、課税標準額は6分の1に減額してから計算されます。
例えば、土地(200㎡)の課税標準額が1,000万円、建物の課税標準額が2,000万円のケースで計算してみましょう。
・土地の標準額:1,000万円×1/6≒1,666,666円
・土地分1,666,666円+建物分20,000,000円≒21,666,000円(1,000円未満切捨)
・固定資産税額:21,666,000円×1.4%≒303,300円(100円未満切捨)
建物は、長く住んでいると標準額は下がっていくため、固定資産税額も下がります。とはいえ、マイホームを所有すると、固定資産税は毎年課税されますので、負担は少なくありません。
この固定資産税の負担を少なくすることで「良質な住宅の建設を促進し、居住水準の向上及び良質な住宅ストックの形成を図るため」以前より新築住宅の減税措置がとられていました。
今後も「住宅価格は年々上昇傾向で住宅取得環境は引き続き厳しい状況にある」また「住宅耐震性は未だ不十分で、耐震化を進める上で新築・建替えを支援する必要がある」として2年延長されたのです。
新築住宅の固定資産税の減税措置とは?
新築マンションなら5年間、一戸建てなら3年間、固定資産税が2分の1に減額されます。
【適用要件】
・令和6年3月31年までに新築した
・床面積が50〜280㎡
※床面積の120㎡までとなっており、120㎡を超えた床面積分は減税対象外
・居住部分の割合が2分の1以上(併用住宅)
前述の課税評価額2,000万円の住宅なら「20,000,000円×1.4%×1/2=140,000円」となり、14万円固定資産税が安くなることがわかります。それも1年間だけでなく、マンションであれば5年間減税されるため、70万円近い節税となるのです(課税評価額は3年ごとに見直し年々下がるため、節税額はひとつの目安)。
また、新築の認定長期優良住宅については、マンションなら7年間、一戸建てなら5年間、固定資産税が2分の1に減額され、より大きな節税になります。
固定資産税の減税措置は、マンションのメリットが大きい
固定資産税の減税措置ではマンションのほうが適用される年数が長く、よりメリットが大きくなるため、一戸建と悩んでいる場合は、比較ポイントのひとつにしてみても良いでしょう。
ただし、この制度は耐震化を推進するための手段として継続されているものの、令和12年には耐震化目標をおおむね解消すると考えられているため、今後については明言できません。
すでに購入を考えている物件があるのでしたら、減税や補助金など利用したい制度が続いているうちに早めの決断を検討してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
佐々木茂樹
ファイナンシャルプランナー
1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。■HP:http://financial-service.jp/
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