子どもを産み、育てていくには多額のお金がかかることは否定できません。しかし、国の助成などもあり、経済的な支援を受けることができます。
そこで今回は「出産・子育てでもらえるお金」について見ていきましょう。
出産時にもらえるお金「出産育児一時金」と「出産手当金」
出産時にもらえる主なお金は次の2つです。
・出産育児一時金: 42万円
※妊娠4か月以上の場合。双子以上は42万円×人数分(産科医療保障制度に未加入の医療機関の場合は404,000円)。健康保険に加入、もしくは扶養に入っている場合が対象。
出産には一般的に「50万円~100万円程度のお金がかかる」といわれていますが、窓口での負担軽減のため、出産育児一時金は直接医療機関などに支給してもらうことができます。もし、42万円までかからない場合、残金は返金してもらえます。
・出産手当金
働いている人が出産により収入が減ってしまった場合に、補てんしてもらうものです。※出産予定日以前42日~出産日の翌日以降56日までの間で、会社を休み給与の支払いがなかった期間が対象。国民健康保険以外の健康保険に加入していることが条件。
もらえる金額は、勤務先の報酬により異なり、以下の計算式で求めることができます。
【出産手当金1日あたりの金額】
⇒支給開始日の以前12か月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3(3分の2)※小数点第1位を四捨五入。例えば、平均報酬額が25万円の場合は5,555円が支給されます。
その他、状況によっては次の制度を使えるケースもあります。
・傷病手当金
病気やケガで会社を休んだときには、傷病手当金支払いの対象となります。入院した期間などが出産手当金を受け取れる期間より長引いた場合、最長1年6か月間受け取ることができます。
※1日あたりの金額は出産手当金と同額。
・高額療養費制度
保険適用される診療に対して支払った自己負担額が対象で、ある一定以上の費用がかかった場合、所得により支払限度額が決まっている制度です。
妊娠・出産は病気やケガなどでないため適用にはなりませんが、医療措置が必要な場合は高額療養費制度を使えることがあります。例えば、妊娠中のつわり・流産・早産など、出産・入院中の微弱陣痛での陣痛促進剤の使用・止血用の点滴・吸引分娩帝王切開など。
・医療費控除
確定申告の際、税務署に「医療費控除」の申請をすることで、支払った医療費が10万円を超えた場合に所得控除を受けることができます。※出産一時金や高額療養費などで補てんされた金額は、かかった医療費から差し引いて計算されます。
妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用、また、通院費用は医療費控除の対象に。公共交通機関を利用するのが困難でタクシーを利用した場合は、タクシー代も医療費控除に含まれますので、領収書を必ず保管しておきましょう。
・民間保険会社や共済などに加入中の医療保険
加入している保険や共済の保障内容により異なりますが、保険適用の医療行為を受けた場合は、給付金などを受け取ることができるケースがあります。担当者にご確認ください。
児童手当や医療費控除など子育て支援策も!
出産時だけでなく、子育て中にもさまざまな経済支援制度があります。
・児童手当
3歳未満:月15,000円
3歳以上小学校修了前(第1子、第2子): 月額10,000円、(第3子以降) : 月額15,000円
中学生 : 月額10,000円
※所得制限限度額以上の場合は、特例給付として月額5,000円。市の窓口で認定手続きが必要。
・子どもの医療費控除(乳幼児等医療費助成・子ども医療費助成)
例えば宝塚市の場合、0歳から中学3年生までは、外来・入院ともに負担がありません。ただし、お住まいの地域によって内容が異なる場合がありますので、詳細は各自治体にご確認を。
その他、シングルマザー・シングルファザーの場合には医療費助成制度があったり、親にもしものことがあった場合には遺族年金が支給されたりします。
基本的には申請が必要!勤務先や協会けんぽに必ず確認を!
これらのお金を受け取るためには、基本的には申請が必要です。また、上記以外にも、勤務先によっては付加給付金があったり、お住まいの自治体によってはお祝い金などが給付されたりするケースもあります。
まずは、勤務先や協会けんぽなど(国民健康保険に加入している場合は、市町村役場など)に確認してみましょう。せっかくの制度、使わないと損ですよね!
※上記情報は2017年7月21日時点のものです。各種制度は変更等の可能性もあるため、詳細は国または各自治体にお問い合わせください。
この記事を書いた人
佐々木茂樹
ファイナンシャルプランナー
1968年、北海道旭川市生まれ。1986年に旭川北高校を卒業、旭川市内の老舗ホテルに勤務。1988年より道内の郵便局に転職、郵便・貯金・保険業務を経験。在局した17年間のうち10年間保険業務に携わり、その間にAFP、2級FP技能士資格を取得。2006年より、三井住友海上きらめき生命でファイナンシャルコンサルタントとして勤務。2011年、同社を退職し、ファイナンシャルサービス株式会社を設立。
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