住宅ローンを選ぶ際に気になることといえば、第一に「金利」でしょう。
住宅ローンの返済方法には、毎回の返済額が一定となる「元利均等返済」と、毎回の元金部分の返済額が一定となる「元金均等返済」の2種類があり、それぞれ異なります。
今回は、この2つの返済方法の違いを踏まえ、活用法について解説します。
圧倒的多数派の「元利均等返済」と総返済額が少ない「元金均等返済」
「元利均等返済」は、毎回の返済額が一定であるために資金計画が立てやすく、圧倒的多数の人が利用している返済方法です。ただ、返済開始当初は、利息部分の割合が多く、元金部分の返済が少なくなります。
一方、「元金均等返済」は、毎回の元金部分の返済が一定のため、返済開始当初は利息の支払いを合わせると、元利均等返済よりも返済額は多くなります。しかし、元金部分の返済が早く進むため、借入額、返済期間、借入金利などの条件を同じとした場合、元利均等返済に比べて総返済額は少なくなることに。
例えば、借入額3,000万円、返済期間35年、金利2%で比較すると124万円、借入額2,000万円、返済期間25年、金利2%で比較すると43万円の差が生じます。
では、なぜ元金均等返済の方が利用者は少ないのでしょうか?
元金均等返済を選ぶ人が少ない2つの理由
ひとつ目は、先に解説したとおり、返済開始当初の返済額が多くなるためと考えられます。特に、収入が多くない若い人たちにとって、返済開始当初の負担は重く感じられるため、総返済額は元金均等返済の方が少なくなるのがわかっていても、元利均等返済を選ぶようです。
もうひとつは、元金均等返済を取り扱っていない金融機関が多いこと。「総返済額が少ない」ということは、金融機関からすれば収益が少なくなることを意味します。その観点から、元金均等返済を扱っていない金融機関も意外と多いのです。
将来的に子どもの教育費の負担が増える家庭は元金均等返済の利用検討を!
少数派の元金均等返済ですが、この返済方法が適しているタイプが2つ挙げられます。
まずは、今後の収入が減少すると予想される人。民間企業では、50代後半から給与収入が減少する傾向にあります。例えば、40代半ば以降の人が住宅ローンを組む場合には、将来、収入が減少したときに備えて、将来の収入減少カーブに合わせて元金均等返済を利用するのもひとつの方法です。
次に、今後、子どもの教育費の負担が増える人。教育費は、子どもが成長するにつれて負担が増加していくため、元利均等返済を利用すると「住居費+教育費」の合計額は急激な右肩上がりとなりがちです。そこで、住宅ローンで元金均等返済を利用しておけば、将来の住宅ローンの返済が減るため、「住居費+教育費」の合計額の将来の負担増を緩やかに抑えることができます。
現在、元利均等返済で住宅ローンを返済している場合でも、元金均等返済に切り替えることができる場合もあります。上記に該当する人は、金融機関に相談してみてはいかがでしょうか。
この記事を書いた人
益山真一
ファイナンシャル・プランナー
「3大資金(住宅・教育・老後)」を効率的に手当てし、ライフプランを実現するための家計管理を提案するファイナンシャル・プランナーとして、セミナー・執筆、相談を展開。仕事の目標は、お客様の「心、体、お金、時間、仕事」のバランスの改善による幸せ実現。セミナーは平成29年7月末時点で累計2,643回を数える。
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