進学など、子どもの将来に備えて加入する学資保険。親にもしものことがあったとき、その後の保険料の払い込みが免除されるので、人気の高い保険といえます。
ただ、この学資保険、組み立て方によっては返戻率、つまり、受け取れる金額の割合が変わることをご存知でしょうか?
学資保険は、加入前に金銭的なメリットを把握できる
返戻率とは、「払い込んだ保険料に対して、受け取れる保険金の割合」のことです。
例えば、子どもが産まれてすぐ学資保険に加入し、17歳までの18年間、毎月保険料を1万円ずつ支払うと、年間の保険料は12万円、18年間で216万円を払い込むことになります。もし、18歳になったときに220万円の満期給付金を受け取れるとしたら、返戻率は101.9%(220万円÷216万円)です。
医療保険などでは、実際にいくら受け取ることになるかわかりませんが、支払う保険料と満期などで受け取る金額(給付金)があらかじめ決まっている学資保険では、返戻率を計算することができます。
そう、学資保険は、加入前に金銭的なメリットを把握することができる保険なのです。
学資保険の返戻率を上げるには「より長く保険会社に保険料を預ける」
それなら、できるだけ返戻率が高い学資保険を選びたいものですが、組み立て方次第で返戻率が変わることも知っておきましょう。保険会社によりパターンは異なりますが、「加入年齢」「保険料を払い込む期間」「受け取る時期」によって学資保険の返戻率は変わります。
一般的に、保険会社は顧客から受け取った保険料を元手に運用などを行い、資産を増やします。増やすことで、顧客から受け取った保険料以上の給付金を支払うことができるのです。
こう考えると、できるだけ長くお金を預けた方が、保険会社が資産運用を行える期間も長くなり、ひいては多くの給付金を作り出せる可能性が高まることになります。つまり、返戻率を上げるための学資保険の組み立て方としては「より長く保険会社に保険料を預ける」というのがポイントです。以下、具体的に3つ挙げます。
1.なるべく早く学資保険に加入する
出産が決まれば、生まれる前でも学資保険を契約することができます。0歳から加入すれば、長く預けられますね。
2.保険料の払込みはなるべく早く
もし、手元のお金に余裕があるのであれば、加入した時点ですべての保険料を払い込んでしまう「保険料の一時払い」をすることができます。満期が来るまでの期間、支払う保険料全額を預けることになります。
3.受け取る時期はなるべく遅く
学資保険では、入園・入学に備えて、数度に分けて給付金を受け取ることができます。ただ、金銭的負担の大きい大学・短大・専門学校進学時にまとめて受け取る設定にすれば、一般的に返戻率が高くなります。
ある保険会社によると、入園・入学時など数回に分けて給付金を受け取る場合の返戻率は104.7%で、大学進学時にまとめて受け取る場合の返戻率は105.5%。0.8%の違いがあり、預貯金の利息が0.001%~0.1%程度であることを考えると、これは決して小さくありません。
返戻率だけでなく、保障内容も吟味して学資保険加入の検討を
とはいえ、返戻率を上げるために、無理に「保険料の一時払い」をしたり、受け取る時期を遅くしたりするのは本末転倒です。家計の状況や、その後のライフプランを加味して組み立てるようにしてください。
最近では、教育費プラス結婚資金も貯める目的で、一般的に18歳の満期年齢を30歳まで引き上げた学資保険も出ています。返戻率だけでなく、保障内容も吟味して加入を検討するようにしましょう。
この記事を書いた人
佐々木茂樹
ファイナンシャルプランナー
1968年、北海道旭川市生まれ。1986年に旭川北高校を卒業、旭川市内の老舗ホテルに勤務。1988年より道内の郵便局に転職、郵便・貯金・保険業務を経験。在局した17年間のうち10年間保険業務に携わり、その間にAFP、2級FP技能士資格を取得。2006年より、三井住友海上きらめき生命でファイナンシャルコンサルタントとして勤務。2011年、同社を退職し、ファイナンシャルサービス株式会社を設立。
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