住宅ローン返済後の老後資金準備(1)NISA(少額投資非課税制度)
住宅ローンを契約するとき、同時に気になるのが「老後資金の準備」。
以前までは金利が高い住宅ローンを繰り上げ返済し、利息負担を軽減することは賢い手段のひとつでした。しかし、現在の住宅ローンは超低金利のため、住宅ローンを繰り上げ返済しても軽減される利息はごくわずかです。
超低金利の住宅ローンを提供する金融機関は「利息は少しで良い」と約束しているわけですから、ゆっくり返すことをおすすめします。
一方、手元にある資金は、貯金しても利息はほとんど付きません。将来の老後資金準備に向けて、少しでも効率的に働かせたいものです。
そこで今回は、老後資金準備に活用したい「NISA(少額投資非課税制度)」について解説します。
年間投資額120万円までの利益は5年間非課税!NISAの特徴
NISA(少額投資非課税制度)は、文字通り「少額」の「投資」に対する利益が「非課税」となる制度です。
年間120万円までの投資ならば、投資した年の1月1日から最長5年のあいだで得られる「売却益」「配当金・分配金」に税金がかかりません。(本来であれば20.315%(所得税15.315%、住民税5%)が課税されます)
【例:年間100万円投資し、200万円に値上がりして売却した場合】
通常は100万円の利益に約20万円の税金が課税され、手取りは約180万円となります。しかし、NISA口座を利用した投資では手取りは200万円になります。さらに売却するまでに受け取った配当金や分配金も非課税。狙いどおりに利益が得られた場合、資産が増えるスピードは速くなります。
【例:年間100万円を投資し、80万円に値下がりして売却した場合】
通常であれば、他の株式などの値上がり益や配当金・分配金などと通算して節税できますが、NISA口座の損失は他の利益と通算できません。損失が発生すると、全くメリットがありません。
つまり、NISAは利益がある場合に初めてメリットが得られる口座であるため、「割安株に投資する」「分散投資型のバランスファンドを購入する」「5年間の時間を味方につけてじっくり構える」といった投資スタンスがとても重要です。
NISA口座は証券会社や銀行で1人1口座限りに開設できる
NISA口座は、証券会社や銀行で1人1口座に限り持つことができます。
証券会社に口座を持てば、公募株式投資信託のほか、株式、ETF(上場投資信託)、REIT(不動産投資信託)などの証券取引所に上場する金融商品にも投資できます。しかし、銀行に口座を持つと、証券取引所に上場する金融商品に投資することはできず、投資先は上場していない公募株式投資信託などに限られます。
なお、NISA口座は株式や不動産などの相対的にリスクが高い資産クラスへの投資に、幅広い人に参加してもらうことを目的とする制度です。債券や公社債投資信託への投資は対象外となっています。
「より堅実な資産形成を好む人」向きの「つみたてNISA」も
平成30年から始まる「つみたてNISA」では年間40万円まで投資することができ、投資した年の1月1日から最長20年間にわたり、売却益、分配金が非課税となります。
年間投資額は少なくなるものの、非課税期間は長くなりますので、「毎月1万円ずつ投資信託を購入する」など、少しずつ長期間にわたり計画的に老後資金などを準備したい人に向いているといえるでしょう。
また、「つみたてNISA」の投資対象は「購入時手数料は無料」「運用管理費用が安いこと」といった厳しい条件を満たした「インデックスファンド」や「バランスファンド」などであるため、手数料が安く、相対的にリスクが低い資産形成を好む人にも適しています。ただし、「つみたてNISA」と「現行のNISA」の両方で新たに投資をすることはできません。
住宅ローンの負担が超低金利の影響により軽い分、その一部を老後資金準備に振り向けてみましょう。その手段として、NISA口座の活用を検討してみてはいかがでしょうか?
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この記事を書いた人
益山真一
ファイナンシャル・プランナー
「3大資金(住宅・教育・老後)」を効率的に手当てし、ライフプランを実現するための家計管理を提案するファイナンシャル・プランナーとして、セミナー・執筆、相談を展開。仕事の目標は、お客様の「心、体、お金、時間、仕事」のバランスの改善による幸せ実現。セミナーは平成29年9月末時点で累計2,675回を数える。
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