「理想の間取りで、しかも駅から近く好立地!それなのに、値段が安い!ラッキー!」
そう思ってマンション購入に踏み切る前に、確認しておくべきことがあるかもしれません。
そのマンション、“借地権付き”ではないでしょうか?
そもそも「借地権」って何?
1.【覚えておこう!】マンション購入=建物&土地の購入
一般的なマンションを購入した場合は、自分の部屋(専有部分)はもちろん、専有部分の広さに応じて土地も所有することになります。戸建てに比べてマンション購入は“土地”に目がいきにくいもの。しかし、固定資産税納付書を確認すると「建物」と「土地」の両方が記載されています。つまり、基本的にマンションは、土地の所有権ごと販売されているのです。
しかし、場所によってはマンションを建てられるような大きな土地を事業主(売主)が確保できないケースもあります。特に歴史が古い地区だと、土地の所有権を取得するのが難しいことも少なくありません。
そこで活用されるのが「借地権」です。
2.土地を取得しにくいエリアで「借地権」を活用!
借地権とは、書いて字のごとく「土地を借りる権利」のこと。事業主(売主)は所有者から土地を借りて、マンションなどを建てて、“借地権付き”の物件として販売するのです。なお、身近な「借地権」としては、以下のようなものが挙げられます。
・普通借地権
更新のある借地権。期間は30年以上で範囲を定めることができ、初回の更新後は20年、それ以降は10年での更新が基本となります。土地を借りている方(借地権者)が更新を希望すると、建物がある場合には、以前と同じ条件で更新したものとみなされます。しかし、地主側に土地利用など正当な事由があり、かつ建物が無くなった場合などは更新できないケースもあります。
・定期借地権(一般定期借地権)
当初から土地を借りる期間が決まっており、50年以上の期間を定めることができます。期間が過ぎた場合は契約更新できず、土地を更地にして地主に返却します。決まった時期に返却されるので、地主側から見ると必ず土地を必ず戻してもらえる、という利点があります。
3.借地権付きマンションの購入費は安いケースが多い
“借地権付き”のマンションの場合、土地を所有しているわけではないので土地に関する固定資産税はありませんが、代わりに地代がかかります。また、定期借地権なら管理費などの他、建物を解体する準備金などが必要です。とはいえ、土地の所有権を取得する一般的なマンションと比較すると、購入費用は安く済むケースが多いようです。
“借地権付き”マンションを購入するデメリット
“借地権付き”のマンションは安く購入できます。しかし、長期的な資産として認知されにくいことも。
例えば50年の定期借地権の場合、最長でも50年経てば更地になることが決まっているので、子どもへの財産として考えるのは難しいでしょう。
自分たちが暮らす住居として考えた場合にも、20~30代で購入したとすると、老後に別の住まいを探さなければいけなくなる可能性もあるのです。また、借地権の期限が迫るほど買い手が付きにくくなるため、売ろうにも売れなくなることもあるでしょう。
マンションを購入する際は、将来を見据えて考えよう!
“借地権付き”のマンションには、「価格が安い」「立地が良い」というメリットがあります。
しかし、「長く同じマンションに住みたい」「子どもたちに財産として残してあげたい」など、長期的な視野でマンションを探しているのなら“借地権付き”の物件は適しません。土地の所有権が付いた一般的なマンションを選択した方が良いでしょう。
マンションを購入する際には、目先のことだけではなく、将来を見据えて考えましょう。
この記事を書いた人
佐々木茂樹
ファイナンシャルプランナー
1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。
HP: http://financial-service.jp/
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