知って損なし!マンション選びで意識したい管理組合の2大費用
マンションを購入し、引越しが終わると、ひと段落……と思いきや、すぐに住宅ローンの返済が始まります。それだけではなく、管理費、修繕積立金、駐車場、駐輪場といった諸費用の支払いも発生。
今回は、マンション購入後にかかる諸費用の中で、管理組合に支払う2大費用ともいえる「管理費」と「修繕積立金」について解説しましょう。
「管理費」は消費、「修繕積立金」は貯蓄
管理費は、管理組合の毎月の運営経費に充てるために徴収される費用であり、一般会計で管理されます。一方、修繕積立金は、将来の大規模修繕などに備えて徴収される費用であり、積立金会計で管理されます。
つまり、管理費は、集めたらすぐに支出される「消費」であるのに対し、修繕積立金は、長期修繕計画に基づき12年毎、15年毎等の修繕などに備える「貯蓄」なのです。
私たちの家計では「ムダな消費」を抑えて「貯蓄」を増やすと将来安心できますよね。同じように、管理組合も「ムダな管理費」を抑えて「修繕積立金」を多くできると、資産価値を維持するための資金を準備ができて、安心できます。
多くの新築マンションでは、管理会社の収益につながる管理費を高めに、管理組合の収益にならない修繕積立金が少なめに設定されています。管理費も修繕積立金も「お財布から出ていく出費」として捉えている組合員(所有者)が少なくありませんが、マンションの購入段階から管理費と修繕積立金の違いを意識しておきましょう。
ちなみに、管理費の一般会計の資金は、ほぼ消費されるはずですので、残高が大幅に増えるのは「不自然」です。残高が大幅に増えている管理組合は、管理費を徴収しすぎているか、本来、積立金会計に積み立てるべき資金(例:駐車場使用料、駐輪場使用料など)が、一般会計で管理されているか、のいずれかと考えられます。
毎月または毎年、一定の割合で一般会計の残高が増えているのであれば、「毎年度末に一定金額を積立金会計に振り替える」「駐車場使用料や駐輪場使用料の全部・一部を積立金会計で管理するルールを変更する」などがひとつの方法です。
また、管理費が高水準であり、毎月ほぼ全額消費されている管理組合は、管理会社に委託する業務を見直す必要があるかもしれません。しかし、管理の質は確保しなければなりませんので、困難を伴います。できれば購入時点で、期待する居住環境と管理費のバランスを考えてマンションを選ぶことが重要です。
原文
「私たちの家計では「ムダな消費」を抑えて「貯蓄」を増やすと将来安心できますが、同じように管理組合でも「ムダな管理費」を抑えて「修繕積立金」を多くできると、資産価値を維持するための資金を準備できるという点で安心できます。」
修繕積立金が適切な水準かどうかマンション購入前に確認を
ただ、修繕積立金は管理組合の組合員(所有者)が毎月積み立てて準備するため、多ければ良いというものではなく、「必要な時期」に「必要な資金」を手当てするための適正額を積み立てることが理想です。なお、大規模修繕の時期が近づくにつれて修繕積立金の不足に気付くと、修繕積立金の値上げを検討する管理組合も。
しかし、修繕積立金の値上げや管理業務・管理費の見直しは総会の決議事項であり、少なくとも総会に議決権総数の半数以上が出席し、過半数の賛成が求められます。そのうえ、決議をする前に修繕積立金を値上げする必要性を組合員(所有者)に説明するために、理事会で長期修繕計画を見直して、修繕積立金の徴収シミュレーションやアンケート調査を実施し、そのアンケートを基に集会の決議にはかる理事会の結論を出さなければなりません。
このような複雑な修繕積立金の問題を回避するには、修繕積立金が長期修繕計画に沿って適切な水準で設定されていることを確認しておきましょう。通常、長期修繕計画と一緒に、支出と修繕積立金の推移のグラフが添付されていますので、数値と一緒に見比べてみてください。
管理費や修繕積立金の金額からマンションの将来を予想できる
管理費や修繕積立金の金額から、そのマンションが将来どのようになるのかを予想することはできます。
必ずチェックして、より良いマンション購入に生かしてください。
この記事を書いた人
益山真一
ファイナンシャル・プランナー
「3大資金(住宅・教育・老後)」を効率的に手当てし、ライフプランを実現するための家計管理を提案するファイナンシャル・プランナーとして、セミナー・執筆、相談を展開。仕事の目標は、お客様の「心、体、お金、時間、仕事」のバランスの改善による幸せ実現。セミナーは平成29年2月末時点で累計2,574回を数える。
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