親子ローンは慎重に!親子で住宅ローンを組むメリットと注意点
住宅ローンを利用する際、ご夫婦の収入によっては希望の融資額に届かないケースがあります。そんなときは夫婦だけではなく、ご両親と収入を合算して住宅ローンを組むという選択肢があります。
そこで今回は、親子で住宅ローンを組むメリットと注意点をご紹介しましょう。
親子で収入合算するには?親子ローンの種類について
親子で住宅ローンを組む場合、以下のような方法 (種類) があります。
1. 親子リレーローン
基本的にひとつのローン契約で、まずは親がメインとなって返済し、のちのち子どもが返済を引き継いでいくローンです。親が主債務者で、子どもは連帯債務者 (※1) という位置づけです。
※1. 連帯債務者は複数いたとしても、それぞれ対等な関係です。もし連帯債務者のうち、ひとりの債務が無効などになったとしても他の債務者には影響せず、支払いを続けなくてはいけません。
2. 親子ペアローン
親と子どもがそれぞれ住宅ローンを組むローンです。例えば3,000万円の住宅ローンを親子で半分ずつ組むとなると、親と子どもがそれぞれ1,500万円の住宅ローンを申し込むことになります。なお、手数料などは二つ分かかります。もちろん半分ではなく、親と子どものどちらかに負担の割合を寄せたローンを組むことも可能です。
3. 連帯保証人 (収入合算)
一般的な住宅ローンは、保証会社などを利用すると連帯保証人の必要性はなくなります。
しかし、そこをあえて親が子どもの連帯保証人 (※2) になり、それぞれの収入を合算します。そうすることで、子どもひとりでローンを組むときよりも、より多くの額を借りることを可能にします。
なお、お金を貸した人や金融機関などは、メインの債務者ではなく連帯債務者・連帯保証人に先に催促することもできます。「連帯」と付くと、かなり大きな責任を負うことになるため、気をつけましょう。とはいえ、一般的に金融機関が連帯保証人に先に催促することはありません。
※2. 連帯保証人は、メインの債務者の債務を保証する立場です。つまり、債務者の債務が消滅すれば連帯保証人の債務も消滅します。
親子ローンのメリット・注意点
1. 親子ローンのメリット
親子でローンを組む最大のメリットは、借入可能額が大きくなるという点にあります。
「住宅ローンを申し込んでみたものの希望額を借りられなかった」というとき、親子ローン・収入合算が切り札となることもあるでしょう。また親子リレーローンや親子ペアローンは、親子ともに住宅ローン控除の対象 (※3) となります。これもメリットのひとつでしょう。
※3. リレーローンでは家の持分に応じて、ペアローンではローン額に応じて。
2. 親子ローンの注意点
⚫ 親子リレーローンの場合
親子リレーローンは、返済の最終責任を担う子どものみが団体信用生命保険 (※4. 団信) に加入するケースが一般的です。これはつまり、親が満期返済前に亡くなった場合、残りの住宅ローンの支払いは子どもに引き継がれるということです。状況によっては、それが子どもの経済負担になる可能性もあります。なお、最初は親が団信に加入し、時期を見て子どもにバトンタッチできる金融機関もあります。
⚫ 親子ペアローンの場合
親子ペアローンは、親が子どもより高額の住宅ローンを組むこともできます。しかし親が高齢の場合、短期間での返済を求められる可能性が高く、そうなると親の月々の返済負担が重くなる可能性もあるので注意が必要です。
なお、親か子どものどちらかが亡くなった際、亡くなった親もしくは子どもの住宅ローン分は団信でゼロになります。ただし、遺された側の住宅ローンの支払いが減ることはありません。
※4. 団体信用生命保険とは
一般的な住宅ローンを組むときは、ローンを組んだ人の万が一の事態に備えて、残りの住宅ローン残高がゼロになる団信 (団体信用生命保険) に加入することがほとんどです。しかし、親子で住宅ローンを組むときは以下の点に注意してください。一般的に団信の保障には年齢制限があります。
関連:死亡・高度障害、さらに疾病保障に備える!住宅ローンに附帯する団体信用生命保険を解説
このようにリレーローン・ペアローン・連帯保証人のいずれにせよ、何か不測の事態があったときそれぞれ返済が確実に成し遂げられるかどうかがわからないというのが親子ローン・収入合算の怖さでしょう。
また、ひとつの物件を担保にして親子で住宅ローンを借りるので、親にもしものことがあった場合、相続問題が発生する可能性もゼロではありません。
同居の予定がない親子ローンは慎重に!
筆者としては、同居の予定がない親子ローンや連帯保証に関しては慎重になることをおすすめします。
どうしても親子ローンを組む場合には、もしものときに備えて相続問題が起きないように「遺言書などを書いておく」「他の子どもたちにも同等程度の財産を残しておく」などの配慮が求められるでしょう。あわせて、団信だけでは不安な部分に関しては、民間の保険などで補てんすることも考えておきたいところです。
この記事を書いた人
佐々木 茂樹
ファイナンシャルプランナー
1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。
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