【FP監修】新型コロナ対策で条件緩和!住宅ローン減税の特例措置について
新型コロナウイルス感染症の影響により、さまざまな経済対策が実施されていますが、住宅ローン減税の適用条件が緩和されているのをご存知でしょうか?今回は、住宅ローン減税の特例措置について、その概要や手続きの方法を解説します。
消費増税により控除期間が3年延長!お得な「住宅ローン減税」をおさらい
住宅ローン減税とは、住宅ローンを利用して家を購入すると、税金が控除され還付される制度です。10年間、年末の住宅ローン残高の1%が所得税から控除されます(所得税で控除しきれない分は翌年の住民税から控除されます)。
※控除額は年間40万円まで(※長期優良住宅等は年間50万円まで)
※現在、住民税の控除額は、前年分の所得税の課税総所得金額等の7%まで(136,500円を限度)
例えば、年末の住宅ローンが4,000万円残っていたとすると、40万円が控除される計算です。所得税と住民税の控除限度額を足して40万円以上であれば、全額控除されます。
※高額な医療費がかかった場合に確定申告を行う「高額療養費控除」などを利用する際には、課税される税額によりすべてを控除できない可能性も有
住宅ローン減税を適用するには、以下のような要件を満たさなければなりません。
・自分が居住するために購入した物件であること
・住宅を取得してから6か月以内に入居すること
・床面積が50㎡以上であること
・合計所得金額が3,000万円以下であること
また、令和元年10月に消費税が10%に引き上げられたのに合わせ、特別措置として控除期間が3年伸びており、11年目~13年目までは下記の1と2の金額の少ないほうが3年間控除されることになりました。
1. 住宅ローン残高又は住宅の取得対価のうちいずれか少ない方の金額の1%
2. 建物の取得価格の2%÷3
特別措置の適用要件として、「消費税10%が適用されていること」「令和2年12月31日までに入居すること」がありますが、消費増税分程度の控除が受けられるケースもあり、大きなメリットとなっています。
新型コロナの影響により入居期限に関する要件が緩和!
このように消費増税に伴う特別措置が設けられていますが、今回の新型コロナウイルスの流行により、建築・リフォームなどの工事にも支障が出ているケースがあります。
新型コロナの影響に起因する工事の遅れにより、入居期限に関する要件を満たせない可能性が出てきたため、以下のように緩和されることになりました。
1. 「令和2年12月31日までに入居すること」という要件に関して
・令和3年12月31日までに入居すること
・注文住宅を新築する場合は令和2年9月末まで、分譲住宅や既存住宅を取得する、または増改築を行う場合は令和2年11月末までに契約が行われていること
2. 「住宅を購入してから6か月以内に入居すること」という要件に関して
・増改築等完了の日から6か月以内に入居すること
・既存住宅取得の日から5か月後までに増改築等の契約が行われていること
なお、緩和条件を適用するためには、契約の時期を確認するため、請負契約書や売買契約書の写しや、入居が遅れたことを証する書類として、「入居時期に関する申告書兼証明書」を作成し、確定申告時に所轄の税務署へ提出する必要があります。
国税庁や国土交通省のホームページによると、契約事業者もしくは申告を行う本人が書類を作成することになっておりますので、ご確認ください。
・国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk2_000017.html
※<「入居時期に関する申告書兼証明書」の様式>以降をご確認ください。
・国税庁
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/1557_2.htm
・申告書兼証明書:
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/02/pdf/0020004-153.pdf
住宅ローン減税適用条件を外れてしまうと、数百万円程度の損失になる可能性も
やむを得ない事情により、住宅ローン減税適用条件を外れてしまうと、状況によっては数百万円程度の損失につながる可能性も否定できません。
契約まで済ませておけば3年延長の特例を受けられるかもしれませんので、あきらめずに税務署などに確認してみることをおすすめします。
この記事を書いた人
佐々木 茂樹
1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。
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