住宅ローンの利用を検討している方であれば、「優遇金利」という言葉を金融機関の店頭やサイトなどで目にしたことがあるでしょう。優遇金利は金融機関によって異なるものですが、いくつか種類があるため、しっかりと理解していないと後になって月々の支払額が増えたりして困ることになりかねません。
そこで今回は、住宅ローンの優遇金利について解説します。
住宅ローンの「割引」。優遇金利とは?
「優遇金利」とは、簡単にいうと住宅ローン金利の「割引」です。
金融機関の住宅ローンには「店頭金利(店頭基準金利もしくは店頭表示金利)」「優遇金利(引き下げ幅)」などが記載されています。
実際の借入金利は、店頭金利から優遇金利を差し引いたものとなります。
【例】
A銀行 3年固定金利
店頭金利:3.0%
優遇金利:2.5%
この場合は「店頭基準金利3.0%」から「優遇金利2.5%」を差し引くため、実際の借入金利は「3年固定金利0.5%」です。
なお、店頭金利は経済状況や政策金利などから各金融機関が毎月決定しているものですので、金融機関によって大きく異なることもあります。優遇金利が低いからといって実際の借入金利が高いというわけではないため、店頭金利も必ず確認しましょう。
また、金融機関により優遇金利に幅があるケースも。審査によって優遇金利が決まったり、「クレジットカードや給与振込口座を作っている」「指定するキャリアのスマートフォンを契約している」などの条件によって優遇幅が大きくなったりすることもあります。
借り入れ後に金利が上がる?住宅ローンの優遇金利の落とし穴
この優遇金利には「当初優遇金利」と「通期(全期間)優遇金利」があるため、注意しなければなりません。
【例】
B銀行 3年固定金利
店頭金利:3.0%
当初優遇金利:2.5%
固定期間終了後の優遇金利:1.5%
この場合、借入時の金利は0.5%(3.0%-2.5%)ですが、3年固定期間終了後には、店頭金利が変わらない場合でも金利は1.5%(3.0%-1.5%)に上がります。借りたときから、将来的に金利が上昇するのが確実なのです。
金融機関により「当初優遇金利」と「通期優遇金利」を選択できることもありますが、わかりにくいため、借入後に優遇金利が変わるかどうか借入前に確認するようにしましょう。
ちなみに、メガバンク・ネット銀行系は「通期優遇金利」を採用している傾向にあり、地銀系は「当初優遇金利」のケースが多いように見受けられます。
もちろん、必ずしも「当初優遇金利」が悪いわけではありません。「最初は低い金利で借入ができる」というのはメリットとも考えられるので、いくつかの金融機関で比較してみると良いでしょう。
優遇金利の仕組みを理解したうえで住宅ローンを選ぼう!
「固定期間が終わったら、住宅ローンの金利が上がると聞いてびっくりした」と相談を受けることが多数あり、金利が上がるタイミングで借り換えされる方も多くいらっしゃいます。
「固定期間が終わったら借り換えることを前提に、当初の金利が低い金融機関から借りる」というのも一つの方法です。しかし、借り換えには手数料などの諸費用がかかります。また、全体的に金利が上昇してしまっていたら、希望の金利で借り換えできないことも考えられます。
住宅ローンを借り入れるときに優遇金利について理解していれば、金融機関の選択が変わったり、借入時から準備をしたりすることができるはずです。しっかりと確認してから住宅ローンを選ぶようにしましょう。
この記事を書いた人
佐々木茂樹
ファイナンシャルプランナー
1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。■HP:http://financial-service.jp/
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