住み替えるなら知っておくべき!マンション売却における税金の特例(1)3,000万円特別控除
不動産の価格が高止まりしている今、住んでいるマンションを売却して新しいマンションに住み替えたい、と検討する人は少なくありません。特に2013年以降、都市部を中心に不動産の価格は上昇しているので、マイホーム売却で利益が出るケースもあります。
もし、住み替えを検討しているのならば「3,000万円特別控除」を知っておきましょう。その名の通り「3,000万円まで税金がかからない」という特例なのですが、思わぬ落とし穴も……。
今回はマイホームとして利用しているマンションを売却する際の「3,000万円特別控除」を解説します。
基本的な要件を満たすと適用できる「3,000万円特別控除」。ただし、買換え時は要注意!
マイホームのマンションを売る――どんな局面を想像しますか?
「子どものことを考えて、子ども部屋のあるマンションを新しく買った」
「三世帯で広いマンションに同居することになった」
「バリアフリーのマンションに移住することになった」
などさまざまなシーンが思い浮かびますが、共通しているのは「家族にとっての一大転換期」であるということ。大切な転換期だからこそ、マイホームを売却する際には、儲かった場合も損をした場合にも利用できる特例がそれぞれ設けられています。
儲かった場合の特例のうち、基本的な要件を満たせば適用できるのが「3,000万円特別控除」です。マイホームを売却した場合の特例は5種類あるのですが、すべての特例で共通の要件とされるのが以下の3つ。
要件1:過去2年以内にマイホームを売却した場合に使える特例を利用していない
要件2:配偶者、直系血族(親・子等)、生計を一にする親族等への譲渡ではない
要件3:そのマイホームに住まなくなってから3年後の年末(12月31日)までに売却する
他のマイホームの売却の特例には「所有期間が5年超、10年超」などの追加要件があるのですが、「3,000万円特別控除」は以上の要件を満たせば所有期間に関係なく適用できます。
ただし、マイホームを買い替える場合には注意が必要です。マイホームを売却して利益が出る場合の特例(3,000万円特別控除など)を適用すると、買い替えた住宅にかかる住宅ローンについて、住宅ローン控除を適用できません。つまり、「3,000万円特別控除」を適用する方が有利なのか、住宅ローン控除を適用する方が有利なのかを比較検討して選択することが必要です。
引っ越し後、買い手が見つかるまで貸しても「3,000万円特別控除」は適用できる
「要件3」のとおり、そのマイホームに住まなくなってから3年後の年末(12月31日)までに売却すれば適用できるため、比較的時間をかけて買い手を探すことができるのも3,000万円特別控除の特徴。引っ越した後、買い手が見つかるまでは誰かに賃貸していても他の要件を満たせば「3,000万円特別控除」は適用できるのです。
また、夫婦で共有し、住んでいるマンションを売却する場合はどうなるのでしょう?「3,000万円特別控除」は、原則として、自己の居住の用に供していた居住用建物(およびその敷地)を譲渡する場合に適用できる制度です。つまり、マンションを夫婦で共有している場合は、夫婦がそれぞれ別々に3,000万円の控除を受けられます(合わせて最大6,000万円まで)。
もっと言えば、夫婦と子1人の3人が共有し、住んでいるマンションの場合は最大9,000万円まで控除できます。このように説明すると「より多い人数で共有した方が良い」と考えるかもしれませんが、原則として建物部分を共有し、居住していることが必要要件。例えば、子が親元を離れて、別居している場合、夫婦はそれぞれ「3,000万円特別控除」を適用できますが、子には適用されません。
所得税や住民税が課税されなくても、確定申告は必要
「3,000万円特別控除」を利用するには確定申告が必要です。
所得税の申告期限は、原則として売却した年の翌年2月16日から3月15日まで。マイホームを売却する場合の税金についてわからないことがあれば、税務署に相談するか、信頼できる不動産業者の担当者に確認してみましょう。
この記事を書いた人
益山真一 (ますやましんいち)
ファイナンシャル・プランナー
「3大資金(住宅・教育・老後)」を効率的に手当てし、ライフプランを実現するための家計管理を提案するファイナンシャル・プランナーとして、セミナー・執筆、相談を展開。仕事の目標は、お客様の「心、体、お金、時間、仕事」のバランスの改善による幸せ実現。セミナーは平成29年6月末時点で累計2,622回を数える。
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