【FP監修】住宅ローン金利が上昇傾向に?低金利のうちに購入の検討をすべき?
マンションを購入する際、多くの人が住宅ローンを利用します。
この住宅ローンの総返済額に大きな影響を与えるのが「金利」。
当然のことながら金利が低いままの方が総返済額は少なくなりますが、今、住宅ローン金利に上昇傾向が見られるともいわれています。
このまま景気が上向けば、金利上昇につながる可能性も
ここ数年、住宅ローンの金利は超低水準で推移しています。
そもそも金利とは、どのようにして決まるのでしょうか。
金利は「固定金利」と「変動金利」に分けられます。
固定金利には「短期間の固定金利(3年~5年程度)」と「長期間の固定金利(10年~全期間)」があります。
変動金利は半年ごとに見直されて、状況により上下するものです。
固定金利と変動金利は、金利を決定する際の基準が異なります。
・短期間固定金利および変動金利の基準
⇒短期プライムレート
※金融機関が優良企業向けに1年未満の短期で貸し出すときに適用する最優遇貸出金利のこと。日銀が行う「金融政策」の影響を受けます。
・長期間の固定金利
⇒新しく発行される10年国債の利回り
※その時々の景気状況を反映し変動します。
つまり、短期プライムレートは変わらなくても、国債の利回りに変動があれば、長期固定金利だけ上昇する可能性も考えられます。
なお、金利が上がる場合、一般的には長期金利が先に上がるといわれています。
たとえば、さまざまな金融機関で提供している全期間固定金利のフラット35は、平成28年8月に0.900%の最低金利となり、その後は上下を繰り返しながらじわじわと上がっています。平成30年2月時点の金利は1.2%でした。
※借入期間21年以上35年以下、融資率9割以下、団信に加入しない場合。
当面、金融政策は現状同様に進められる予定ですが、常に経済状況は大きく変動しています。このまま景気が上向き、目標の物価水準などを達成できれば、政策が変更されて金利上昇につながる可能性も否定できません。
金利が0.1%上がるだけでも、総返済額に大きな差が生じる
金利の違いにより、総返済額はどのくらい変わるのでしょうか。
4,000万円の住宅ローンを35年で借りた場合について確認してみましょう(元利均等返済・ボーナス払いなし)。
シュミレーション①
金利1.4%→月々の支払い:120,523円 総返済額:50,619,853円
金利2.4%→月々の支払い:140,863円 総返済額:59,162,207円
差額→月々:20,340円 総返済額:8,542,354円
現状、すぐに1%金利が上がることは考えにくいのですが、数年後にこの程度の上昇はあり得るでしょう。
シュミレーション②
現実的に変動が考えられる金利0.1%上昇時のケースではどうでしょうか?
金利1.4%→月々の支払い:120,523円 総返済額:50,619,853円
金利1.5%→月々の支払い:122,473円 総返済額:51,438,816円
差額:月々:1,950円 総返済額:818,963円
金利がわずか0.1%上がるだけでも、決して小さくない差が出ることがわかります。
金利を予測するのは難しい。低水準のうちに購入するのは悪くない選択肢
一般的に変動金利・短期固定金利は金利が低く設定されています。
それは、もしも経済状況に変動があった場合、金融機関はすぐに金利に反映させることができ、その分のリスクが少なくなるからです。
昨今は変動金利や短期固定金利での借り入れが検討される傾向にありますが、将来的に金利が上昇する可能性があることも覚えておいてください。
住宅ローンは長期間にわたって支払いが発生するものです。その辺りも加味して、住宅ローンを選択するようにしましょう。
今後いつ金利が上がるのかを予想することは正直難しいといわざるを得ません。
ただ、ひとついえるのは「現在は超低水準の金利である」ということです。
もしもマンション購入を考えているのであれば、低水準のうちに実行に移すのも悪くない選択肢といえるでしょう。
この記事を書いた人
佐々木茂樹
ファイナンシャルプランナー
1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。
HP: http://financial-service.jp/
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