【FP監修】持ち家はリスク?マンション購入のメリットを改めて考察
通信技術の発達に伴うリモートワークの普及により、都心にマイホームを構える必要性が昔と比べて少なくなってきています。「賃貸優位」の論調も目立つ今、改めてマンション購入のメリットやリスクを考察してみました。
マンション購入と比較したときの賃貸の優位性
新型コロナの影響で将来を不安視する人が増えている今、賃貸のメリットとしては「住宅ローンという借金を抱えずに済む」ということが大きいでしょう。賃貸では、住宅ローンの返済に生じるような精神的負担は軽減されます。
また、賃貸なら転勤・収入減などの事情に合わせて住み替えがしやすく、引っ越しが必要なときには購入と比べると初期費用が少なくて済むケースもあります。
1. 賃貸にかかる主な初期費用
敷金・礼金(それぞれ家賃の1〜3か月分程度)
仲介手数料(家賃の0.5か月分〜1か月分)
保証料(家賃の0.5か月分〜1か月分程度)※保証人ではなく保証会社を利用する場合
火災保険料 など
2. 購入にかかる主な初期費用
登記費用(登録免許税+司法書士への報酬)
仲介手数料(仲介を宅建業者に依頼した場合)
住宅ローンの手数料や保証料など
火災保険料 など
賃貸では敷金・礼金・保証料がかからないこともあり、そういった物件を選べば初期費用は安く抑えられます。
今後はリモートワークや学校のオンライン授業の開始・普及が見込まれます。そのため、通勤・通学の利便性が今までのようには重視されない可能性が出てきました。賃貸より手軽に利用できる「サブスプリクション住宅」という「月額制サービス」も登場し、「そのときの気分次第で住みたいところに住む」という生活スタイルも浸透しつつあります。
ファイナンシャルプランナーが考えるマンション購入のメリット
そんな中、ファイナンシャルプランナーとして考えるマンション購入の最大のメリットは「世帯主に万が一のことが起きたとしても、住む場所が残る」ということです。
住宅ローン利用時には団体信用生命保険に加入するのが一般的ですが、融資を受けた世帯主が死亡・高度障害などによって返済困難になった際、返済を肩代わりしてくれます。家計を占める家賃の割合は大きいため、収入を担う世帯主にもしものことがあった場合、賃貸ならその後の生活が厳しくなるかもしれません。
なお、経済に不安がある今、マンションの購入を躊躇している人が少なくありませんが、住宅ローン控除による金銭的なメリットも押さえておきましょう。
住宅ローン控除とは、年末の住宅ローン残高の1%が税控除される制度です(適用条件や限度額あり)。2020年12月までに入居すれば控除期間が10年から13年に3年間も延長されますので、マンション購入を検討しているのであれば、今がチャンスとも言えるのです。また、物件購入を控えがちの時期だからこそ、通常は手に入りにくい物件を購入しやすい側面もあるでしょう。
※参考記事:【FP監修】住宅ローン控除、延長へ?消費増税前と後、マンション購入はどちらが良い?
https://ave.eslead.co.jp/uncategorized/2705
とはいえ、「もしも住宅ローンを支払えなくなったら、金融機関に住まいを差し押さえられたり、他のローンを組むことはできなかったりするのではないか」と心配な人もいるかもしれません。経済的な理由で返済が難しくなったときには、月々の返済額を変更する「リスケジュール」を行うことができます。すぐにマンションを手放さなくてはいけなくなるわけではありません。
ただし、リスケジュールを行うと信用情報に残り、借換などが難しくなる可能性はあります。どうしても支払いができなくなったときのための知識として覚えておいてください。なお、賃貸で家賃を滞納してしまった場合にも、状況によっては保証会社などのブラックリストに登録されてしまう恐れもあります。
マンション購入においては、売却も見据えた「資産価値」に目を向けよう
マンションを購入したからといって、一生そこに住み続けるとは限りません。転居や移住を考えることもあるでしょう。将来の選択肢を考えておくなら、売却しやすいマンションを購入しておくと良いと思います。
※参考記事:資産価値が落ちにくいマンションって?FPが考える条件とは
https://ave.eslead.co.jp/uncategorized/3011
先を見通せない時代では、将来設計は難しいかもしれません。マンション購入においては、売却も見据えた「資産価値」に目を向けることがますます重要になってくるでしょう。
この記事を書いた人
佐々木 茂樹
1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。
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