近年、小学校入学後に集団生活や学校の環境に馴染めない子どもが増えていることが教育現場で問題になっています。
今回は、子どもの健やかな成長や学力にも影響しかねない「小1プロブレム」の原因と、入学前に家庭で気をつけておきたい子育てのポイントをご紹介。楽しい小学校生活を迎えられるよう、しっかり備えておきましょう。
「小1プロブレム」とは?増加の原因や背景と懸念される影響
保育園や幼稚園から小学校に入学すると、どんな子どもでも初めは戸惑うもの。それでも時間が経つにつれ落ち着く傾向にありますが、「いつまでたっても先生の指示に従えない」「授業中に立ち歩いてしまう」「静かに授業が受けられない」といった子どもが増えています。こうした状況が長く続き、授業すらままならなくなってしまうのが「小1プロブレム」です。
入学直後は子どもにとって非常に重要な時期。小1プロブレムに突き当たると、集中して授業を受けられません。さまざまな影響が懸念されます。
・学習面のつまずきが長く尾を引いてしまう
・学校に馴染めずに不登校になってしまう
・大人に叱られることが増えるために健やかな心の成長が阻まれる
小1プロブレムが起こる原因は、保育園や幼稚園と小学校の環境の違いです。先生に見守られながらのびのびと過ごしていた生活から一転、小学校では着席して授業を受け、時間割に沿って行動し、集団生活のルールを守ることが求められるようになります。この変化になかなか馴染めない子どもが問題行動を起こしてしまうそうです。
また、小1プロブレム増加の背景には、世の中の変化も関係していると見られています。核家族化やご近所づきあいの希薄化によって両親以外の大人と接する機会が減り、防犯意識の高まりにより屋外で友だちと遊ぶよりも屋内で家族と過ごす時間が多くなっています。
大人や友だちとのコミュニケーションや集団の中での振る舞いを学びにくくなっていることを考えれば、小学校でトラブルを起こしてしまうのは仕方ないかもしれません。
小1プロブレムを防ぐ!入学前に家庭でできる対策
小1プロブレムに対して、保育園・幼稚園と小学校が連携して子どもが徐々に環境に慣れられるような対策を進めている自治体もあります。では、家庭ではどんな対策ができるのでしょうか?
・生活習慣を身につけさせる
小学校では自分で時計を見たり、チャイムを聞いたりして自分から行動する必要があります。小学校に入学するまでに、食事や着替え、トイレ、片付けなどの身の回りのことは自分でできるように練習しておきましょう。家庭でも「●時だからご飯にしようね」「テレビは●時までね」と時間を意識する声かけをしながら、規則正しい生活習慣を作ってください。
・マナー意識や思いやりの心を育てる
集団生活の基本は周囲への気配りや思いやりです。「お店の中では走り回らない」「電車やバスに乗ったときは騒がない」「小さい子やお年寄りを思いやる」など、日常の中で社会のルールを少しずつ身につけさせましょう。
注意するときは、その行動で相手がどんな気持ちになるかを想像できるように言葉をかけてあげるのが良いでしょう。子どもは大人をよく見ているので、まずは親がお手本になってあげてください。
・学びへの関心を育てる
新しいことを知るのは楽しいと思える好奇心があれば、先生の話にしっかり耳を傾けることができるでしょう。日頃から子どもが抱く「なぜ?」という疑問をスルーせず、興味や関心を伸ばしてあげましょう。
・親子の会話を大切に
小1プロブレムの根本にあるのは、新しい環境で子どもが感じる不安やストレスです。いざというときに子どもが不安やストレスを抱え込まなくて済むように、普段から親子の会話を大切にしてください。園や学校から帰ったら「今日はどんなことがあったの?」などと聞いてあげ、「よかったね」「悲しかったね」と子どもの気持ちに共感していることを示してあげましょう。
不安でいっぱいの子どもに寄り添ってあげて
覚えておきたいのは、環境が大きく変わったときに不安やストレスを感じるのはどんな子どもでも同じということ。おとなしくて聞き分けの良い子であっても、小1プロブレムと無縁ではありません。不安やストレスを少しでも和らげられるように、上記で挙げた対策に取りみましょう。
なお、小学校になかなか馴染めないケースの中には、発達障害など子ども自身の特性が関係している場合もあります。親として気になることがある場合は学校の先生と密に連絡を取りながら、子どもの良き理解者であることを心がけてあげてください。
meetのメールマガジン登録
meetには”子育て・教育環境・地域・住まいの基本知識”に関する幅広い情報が盛りだくさん。意外と知らないスポット情報や育児のことなど、ご登録いただくといち早く最新記事がご覧いただけます。
教育環境に関する
あなたにおすすめの記事
-
教育環境2018.02.28苦手な漢字を克服!漢字を覚えられない子どもを救う解決勉強法