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住まいの基本知識

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【FP監修】2024年予想!住宅ローンの固定金利が上昇する中、変動金利はどうなる?

長期金利の上昇を受け、大手銀行は住宅ローンの固定金利をじわりじわりと引き上げました。

例えば、長期固定金利型住宅ローン「フラット35」の11月の適用金利は、返済期間21年以上(融資率9割以下)は最低 1.96%で、3か月連続で上昇。12月の適用金利は4か月ぶりに低下したものの、今後も固定金利が上昇していく可能性は否定できません。

では、これから変動金利はどうなっていくのでしょうか?

固定金利が上昇しているワケ。まだまだ上昇する可能性も

長期固定金利は「長期金利」を参考にしており、その代表的な指標は新しく発行する「10年国債の利回り」です。つまり、長期固定金利は10年国債の利回りの影響を受けているのです。

国債は、金融市場でも売買がされていて、売られると価格が下がり、逆に金利が上昇します。日銀はあらかじめ決まった利回りで金融機関から国債を無制限に買い入れる公開市場操作(オペレーション)を行い、利回りの上昇を抑えていたのですが、2022年12月にこの利回りを0.25%程度から0.5%程度に、2023年7月には1%に引き上げています。「事実上、長期金利の上限を段階的に上げている」ということです。

これに伴い、長期固定金利も多少の上下を繰り返しつつ、じわりじわりと上昇してきています。フラット35(9割以下融資、返済期間21年以上)は、2023年11月が1.96%だったのに対し、2022年11月が1.54%、2021年11月は1.330%だったため、2年で0.63%もアップしました。2013年7月の金利は2.05%でしたが、その後は2%を切る金利が続いていたため、 10年ぶりの高金利です。

2009年以前には3%台、バブル期の住宅ローン金利は8%以上だったため、まだまだ上昇するかもしれません。

2024年に変動金利がすぐに大きく上昇するような局面は訪れない

一方の変動金利は「短期プライムレート」を参考にして決められています。短期プライムレートとは「銀行が融資に問題がないと判断した信用力の高い企業に融資をする際に適用される金利(期間1年以内)」のことで、日本銀行が決める政策金利に影響を受けています。

実は、短期プライムレートは2009年1月から変わっていません。そのため、変動金利はほとんど上昇しておらず、それどころか、条件などにより金利を下げている金融機関もあります。

しかしながら、景気が良くなると短期プライムレートも上がり、基本的には固定金利と同様に変動金利も上昇します。また、日銀の総裁が交代したことにより金融政策が変われば、短期プライムレートが変動する可能性もあります。

とはいえ、あくまで個人的な見解ではありますが、現状景気が良くなったと感じることも少なく、急激に状況が変わるとは考えにくいため、2024年に変動金利がすぐに大きく上昇するような局面は訪れないと思われます。

ただし現状では、金融機関の変動金利の値下げ合戦が続いていて、金融機関収益が悪化し、健全な状態とは言い難いのも事実です。長期固定金利ほど顕著でなくても、変動金利も上昇の兆しを見せるかもしれません。

固定か変動か、住宅ローンを借りる前には総返済額のシミュレーションを

長期固定金利は変動金利より高く設定されていることがほとんどですが、借入期間中の金利が変わらないというメリットがあります。「近いうちに大きな金利上昇がありそうだ」と考えるなら、あらかじめ全期間固定金利で借入したほうが良いでしょう。

また、すでに変動金利で借入していて、今後の金利上昇に不安がある場合には、早めに全期間固定金利への借り換えを検討するのも手です。変動金利が上がるタイミングではすでに長期固定金利はかなり上昇している可能性が高いため、借り換えするなら早ければ早いほど有効です。

しかし、借り入れ当初の長期固定金利と変動金利の差は小さくありません。この低金利を活用できないのは受け入れがたいものがありますので、変動金利で借りるときには、前もって変動金利が上がっていくシミュレーションをしておくことをおすすめします。

 

【例】4,000万円の35年ローン、元利均等返済の場合

・変動金利0.5%で金利が上がらなかった場合→総返済額:43,610,126円

・変動金利0.5%で5年ごとに0.5%ずつ金利が上がった場合→総返済額:51,069,144円

・期間固定金利1.96%で借りた場合→総返済額:55,307,676円

 

この例では、変動金利が5年ごとに0.5%ずつが上がると7,459,018円の差が出ますが、それでも期間固定金利1.96%で借りた場合よりも総返済額が少なる結果となりました。

金利の行く末を予想するのは難しいため、返済額が増えたときにも対応できるように家計の健全化を図り、運用などで資産を増やしておくことがこれからはますます大切になってくるでしょう。

※本記事は、2023年12月1日時点の情報をもとに記載しています。

佐々木茂樹

この記事を書いた人

佐々木茂樹

ファイナンシャルプランナー

1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。■HP:http://financial-service.jp/

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