【FP監修】まだ間に合う!2023年の新築マンション購入で使える補助金や減税制度を解説
今はマンション価格が高騰していますが、そういった状況も鑑み、政府や自治体は新築住宅購入に関する補助金や減税制度を用意しています。
今回は、新築マンション購入にスポットを当て、2023 年の購入時に使える補助金や減税制度を解説します。
新築マンション購入時にもらえる補助金
「住宅省エネ2023キャンペーン」と銘打ち、住宅の購入やリフォームに関して補助金が受け取れる事業がスタートしています。
※参照:https://jutaku-shoene2023.mlit.go.jp/
【こどもエコすまい支援事業】
子育て世帯または若者夫婦世帯が、こどもエコすまい支援事業者と契約し、高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する新築分譲住宅の購入をする場合、1戸あたり100万円を補助してもらえます。適用条件は「住戸の床面積が50㎡以上」かつ「高い省エネ性能(ZEHレベル)を有する」こと。
※子育て世帯とは、申請時点において2004年4月2日以降に出生した子を有する世帯のこと。
※若者夫婦世帯とは、申請時点において夫婦であり、いずれかが1982年4月2日以降に生まれた世帯のこと。
※ZEHレベルの住宅とは、強化外皮基準に適合し、再生可能エネルギーを除き、基準一次エネルギー消費量から20%以上の一次エネルギー消費量が削減される性能を有する住宅のこと。
こどもエコすまい支援事業者とマンションの売買契約を締結し、その支援事業者が購入者に代わり交付申請等の手続きを行います。つまり、あらかじめこの事業に登録をした住宅事業者から購入することで補助金の対象となります。
ただし、予算が決まっているため、予算上限に達すると補助金は受け取れません。遅くても2023年11月30日まで交付申請予約、2023年12月31日までに交付申請を行う必要があります。
「こどもエコすまい支援事業」は人気があり、補助預金申請額は7月27日時点で予算上限の82%まで到達しています。検討中の方は、早めに決断しましょう。
※参照:https://kodomo-ecosumai.mlit.go.jp/
【給湯省エネ事業】
省エネ効果の高い高効率給湯器の設置により、補助金を受け取れます。こちらも販売事業者が申請を行うので、基本的に購入者の手続きは必要ありません。
金額は以下の通りです。
家庭用燃料電池(エネファーム)1台:15万円
電気ヒートポンプ・ガス瞬間式併用型給湯機(ハイブリッド給湯機)1台:5万円
ヒートポンプ給湯機(エコキュート)1台:5万円
マンションの場合、いずれか1台までが補助の対象となり、期間は遅くとも2023年12月31日、もしくは予算到達までです。補助預金申請額は7月27日時点で予算上限の13%で、まだ予算には余裕がありそうです。
ただし、こどもエコすまい支援事業と給湯省エネ事業は併用することができません。
※参照:https://kyutou-shoene.meti.go.jp/
【独自の補助金を打ち出している自治体も】
・大阪府大阪市
子育て世帯向け分譲住宅購入融資利子補給制度:最長5年間年間最大10万円が補助されます。
適用条件
ご夫婦いずれかが40歳未満で婚姻届出後5年以内
小学校6年生以下の子どもがいる
売買契約日から1年を経過していない
前年所得が1,200万円以下
この制度の取扱金融機関の住宅ローンを利用すること
※参照:https://www.city.osaka.lg.jp/toshiseibi/cmsfiles/contents/0000110/110240/r40901.jpg
・大阪府大東市
大東市子育て世代転入促進三世代同居等補助金:大東市外に1年以上居住し、親世帯(市内に3年以上居住)と三世代同居等するために住民票異動を行い、転入する子ども世帯の世帯主に同居:30万円、近居:20万円の補助があります。
新築マンション購入時に受けられる減税制度
直接補助金を受け取れなくても、減税制度を利用することで、数百万円のメリットがある可能性もあります。
【住宅ローン控除】
今年住宅ローンを利用してマンションを購入する場合、年末の住宅ローン残高の0.7%が13年間控除されます。
住宅の区分によって借入限度額が決まっており、「認定長期優良住宅」「低炭素建物」などは最大5,000万円(年間の税控除額35万円)、「エネルギー消費性能向上住宅」は最大4,000万円(年間の税控除額28万円)です。認定長期優良住宅に認定されたマンションを購入すれば、13年間で最大455万円の税金が控除されます。
なお、「床面積は50㎡以上(特例居住用家屋等は40㎡~50㎡未満)」「合計所得金額2,000万円以下(特例居住用家屋等は1,000万円以下)」など適用条件があります。
住宅ローン控除を受ける最初の年は、「住宅借入金等特別控除額の計算明細書」「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」「売買契約書」などを準備し、確定申告しなくてはいけません。会社員など給与を受け取っている方は、2年目以降は年末調整で適用されるため、ご自身での申告は不要です。
2024年以降も住宅ローン控除は続く予定ですが、借入限度額や期間が変わり、今より控除額が抑えられる可能性もありそうです。
【登録免許税の税率の軽減措置(令和6年3月31日まで)】
マンションを購入すると所有権移転の登記が必要で、登録免許税がかかります。通常の税率は2.0%ですが、現在は0.3%です。
一般的には司法書士などの専門家に依頼して手続きを行うため、ご自身で申告などの必要はありません。
参照:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sonota/0020003-124_01.pdf
【不動産取得税の軽減措置(令和6年3月31日まで)】
マンションを取得すると不動産取得税がかかります。「延べ床面積50㎡~240㎡」の要件がありますが、マンションの評価額から1戸につき1,200万円が控除されます。
※「認定長期優良住宅」を取得した場合は1,300万円を上限に控除。
※税金は購入価格ではなく、不動産の評価額(原則として固定資産税課税台帳に登録された固定資産の評価額)で計算。
また、通常の税率は4%ですが、令和6年3月31日までの税率は3%です。
例えば、不動産の評価額が3,000万円のマンションを購入した場合、
(3,000万円-1,200万円)×3%=54万円
54万円の不動産取得税がかかります。
軽減措置を受けるためには、マンションを購入した後、不動産を取得した日から10日~60日(地域により期限に違いあり)以内に納税先の税事務所に申告しましょう。
【新築住宅の固定資産税の減額措置(令和6年3月31日まで)】
マンション購入者の初期負担軽減のため、固定資産税が2分の1に減額されます。
※「50平方メートル以上280平方メートル以下」で120㎡までの部分が対象
減額される期間は、大阪市の場合、以下の通りです。
3階建て以上の耐火住宅・準耐火住宅:5年間
上記以外の住宅:3年間
新築マンションを購入した場合には5年間の減額期間があると考えて良いでしょう。
減額措置を受けるためには、「住宅用地等申告書」もしくは「固定資産税減額申告書」の届出が必要ですが、自治体により申告期限や申請方法などに違いがあります。あらかじめ確認しましょう。
※参照:https://www.city.osaka.lg.jp/zaisei/page/0000240566.html
なお、措置期間は現時点でそれぞれ決まっているもので、今後延長される可能性があります。
【住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置】
親、祖父母などから住宅購入用の資金の贈与を受けても贈与税がかかりません。所得額や建物に関して要件はありますが、省エネ等の住宅の場合は1,000万円まで、それ以外の住宅の場合は500万円まで非課税です。
非課税で資金を受け取れるため、将来的な相続税対策にも有効です。この特例を受けるためには、納税地の税務署に申告が必要です。
補助金や税控除を上手に活用すれば、数百万円以上の差が生まれるケースも!
国が主体となって行っている政策以外にも、自治体独自の補助金制度もあるため、住みたい地域が決まったら、一度じっくり調査してみましょう。補助金や税控除に関する申告をすることで、数百万円以上の差が生まれるケースもあります。
合わせて住宅ローンの金利や諸費用、火災保険の保障内容などを吟味し、支払いを抑えることも考えましょう。住宅は人生で最も大きな買い物だといわれています。少しでも負担を減らせるよう、面倒に思わずにやれることはすべてやることをおすすめします。
この記事を書いた人
佐々木茂樹
ファイナンシャルプランナー
1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。■HP:http://financial-service.jp/
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