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住まいの基本知識

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【FP監修】マイナス金利解除へ。住宅ローン金利に与える影響を考察

日銀は、3月19日に行われた金融政策決定会合にて、マイナス金利の解除を決定しました。政策金利を引き上げるのは実に17年ぶりのことです。

メガバンクが普通預金の金利を引き上げるなどしていますが、マイナス金利の解除は住宅ローン金利にどのような影響を与えるのでしょうか。考察してみます。

マイナス金利とは?解除に至った背景

マイナス金利とは、デフレ対策のため、2016年から続いてきた金融緩和政策のひとつです。

民間の金融機関は「銀行の銀行」ともいわれる日銀に預金口座を作って預金することができますが、マイナス金利の場合、お金を預けるとお金がかかることになります。日銀への預金を減らし、市場にお金が回りやすくなるのがマイナス金利政策の効果なのです。

2023年4月に植田和男氏が日銀総裁に就任した後は、物価上昇率目標2%を上回ってきたことで、いつ「大規模な金融緩和策」を解除するのかが注目されていました。決定打は2024年の春闘。組合側が要求する賃上げ額をそのまま受け入れる満額回答が続出し、中には要求額を超える賃上げを行う企業もあり、平均賃上げ率は5%以上となっています。

そのため、「賃金と物価の好循環を確認し、2%の物価安定の目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断した」として、先日マイナス金利の解除に踏み切ったのです。

マイナス金利解除で、住宅ローン金利はどうなる?

マイナス金利の解除前は、日銀にお金を預けて金利を支払うより貸出金利を低く設定しても個人や企業に貸したほうが利益につながるため、住宅ローンの金利も低い水準を推移していました。しかし、マイナス金利が解除されたことで、これからは住宅ローン金利にも影響が出ることが考えられます。

住宅ローンには半年ごとに金利を見直す変動金利や短期固定金利と、10年以上固定期間が続く長期固定金利があり、それぞれ金利の決まり方が異なります。

変動金利などは、業績の良い企業などに貸し出す際の最優遇貸出金利のうち、1年以内の短期貸出の金利である「短期プライムレート(短プラ)」と連動しており、短プラは政策金利を受け各金融機関で決定しています。

とはいえ、短プラは2009年から1.475%(最頻値)のまま変わっていません。2024年2月の政策金利が-0.1%、3月より0.1%へと0.2%引き上げられましたが、メガバンクの短プラは据え置きとなっています。短プラが据え置きである以上、変動金利などへの影響はあまり大きくないことが予想されます。

一方、長期固定金利は「長期金利」を参考にしており、代表的なものに「新発10年国債利回り(国債に投資した場合の収益率)」があります。今回の政策では「長期国債の買い入れは、これまでとおおむね同程度の金額で継続する予定」のため、すぐに大きな変化はないと予想されます。

しかしながら、長期金利は「将来の見通し」から変動します。今後、市場が「景気が良くなる」と判断すると長期金利が上昇し、連動して住宅ローンの長期固定金利も上がる可能性は高くなるでしょう。

変動・長期固定金利ともに大きく上がっていく可能性はゼロではない

現状では変動金利と全期間固定金利では1.5%~2%程度の金利差があり、当初の返済額には大きな差が出るため、変動金利は魅力的に映ります。けれど、「最初は変動金利で借りて、金利が上がるタイミングで長期固定金利への借換えを」と考えているのであれば、それはおすすめしません。なぜなら、変動金利が上がり始めたら、すでに長期固定金利はそれ以上に上がっている可能性が高いからです。

市場の動きなどによって、今後もさまざまな金融政策が実施されるはずです。景気が良くなり、このまま賃上げも続いていくようであれば、変動・長期固定金利ともに大きく上がっていく可能性はゼロではありません。将来的に金利が大きく上がると考えているのであれば、なるべく早めに全期間固定金利で住宅購入を検討しても良いでしょう。

佐々木茂樹

この記事を書いた人

佐々木茂樹

ファイナンシャルプランナー

1968年、北海道旭川市生まれ。地元の公立高校卒業後、ホテルマン、郵便局を経験。郵便局在職中にAFP資格を取得後、生命保険会社へ転職し、ライフプランシミュレーションを軸にした保険提案を実践。主に住宅購入時の保険見直し相談を行ってきたが、顧客の悩みは住宅ローンや資産形成など保険だけでは解決できないことを痛感し、2011年、独立系FP事務所ファイナンシャルサービス株式会社を設立、代表取締役に就任。金融機関に属さないFPとして顧客目線での問題解決、夢の実現のサポートを行っている。■HP:http://financial-service.jp/

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